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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年1月24日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

1月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(1/21終値)
前週末比
(1/14比)
日経平均 10,274.52 -224.52 -2.14%
NYダウ 11,871.84 +84.46 +0.72%
金利・為替 週末終値
(1/21終値)
前週末比
(1/14比)
長期金利 1.205% +0.005%
ドル/円 82.57  
ユーロ/円 112.48  

中国の利上げよりもアップルの動向

前週の総括

■日経平均株価の調整は当然の流れ

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は前週末対比で△2.14%の下落となる10,274.52円となりましたが、じつはいささかの驚きもありません。むしろそんなに元気良く現状の日本の株価が上がっていることの方が不思議なくらいでしたから。先月中旬にひと桁台にまで低下し株価下落のシグナルを灯しつつも、いったんは16台まで戻していたボラティリティ(10日間ヒストリカル)が再び低下傾向をたどり始め、20日にひと桁台(9.435)にまで低下したことを受けて「いつ始まるか?」と考えていました。そして週末の株価下落の過程で売買代金が平常取引日としては昨年5月26日以来となる1兆9,152億円に達したことは、むしろ今後のことを考えると多くの意味で好ましい傾向かと思われます。下落の目途としては、一目均衡表で見る雲の上限が現在10,150円前後にありますので一時的にはその水準で止まるかも知れませんが、雲の中に入ってしまうと75日移動平均線とも重なる10,000円割れというのが心理的にも一つの目安になると思います。というよりは、むしろ売買代金を伴っていったんはドスンと10,000円割れを示現してくれた方が、その後の株価上昇のためには有意義かと考えています。今週に入って無難に戻してしまうようだとその上昇は長続きしないと思われます。

■決算内容よりもカリスマCEO不在が気になる

 先週の最大の注目ポイントはアップル(AAPL)の株価動向でした。同社の株価は前週末(14日)に好決算期待から上場来高値348.48ドルをつけましたが、17日(米国時間)にカリスマCEOとも評判高いスティーブ・ジョブズ氏の病気療養が伝えられるといったん株価は326ドルまで急落、しかし18日に市場の期待を上回る好決算が発表になると時間外取引では356ドルまで上昇するなど値動きの激しい動きとなりました。ただ週末の終値は結局326.72ドルです。


(出典:Bloomberg.)

<アップルの14日からの値動きです。----------- 17日は米国市場がお休みだったことから18日に寄付き直後に326ドルまで一気に急落、その後好決算とCEO不在のバランスに悩んだ市場が一目瞭然です。>

 なぜこの一社の動きが気になるかと言えば、理由は二つです。1.スマートフォンの先駆者『iPhone』、そしてタブレットPCの火付け役『iPad』の本家であること、2.時価総額が世界第2位(為替など評価の仕方によっては第3位)という世界有数の企業であるということです。この結果、今週NYダウは対前週末比でプラス0.72%の上昇であるにもかかわらず、ハイテク企業のウェイトが高いナスダック総合指数はマイナス2.39%もの下落となりました。

 たしかに同社をここまで導いたカリスマCEOが3度目の病気療養に入るということはネガティブなものであることは事実ですが、一方で同社ほどの企業規模になることはひとりのカリスマの才だけに頼るところだけではないということも事実です。また今回発表された決算内容は収入及びEPS(一株当たり純利益)も市場予想を大きく上回っており、収入ガイダンスが予想を上回ったのは3四半期連続、EPSガイダンスが予想を上回ったのはここ数年間で初めてという快挙を成し遂げています。これは従前より申し上げている『スマートフォンはWindows98』という大きな時代の変化が始まっている証左であり、個社の株価動向の問題はさておき、全体への影響は短期間に収束するものと思われます。

■改善しつつある欧州の信用不安

 週末のユーロの終値は対ドルが1.36台、対円が112円台半ばと2カ月ぶりの高値水準まで買い戻され、年末年始の状況からすると大きく変化したような印象を受けます。理由としては前週行われたポルトガルやスペインの国債入札が順調に終了したことで、市場のPIIGS(※)に対する信用懸念が和らいだことが挙げられ、事実それら南欧諸国のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は一時1,000ptsを大きく超えていたギリシャを筆頭に大きく低下しました。しかしその一方で、根本的な問題はまだ解決していないという見かたは根強く残されており、今後も定期的にこの問題が蒸し返されるリスクが消えたとは言えません。南欧諸国の景気回復が明確になり、財政改善目標の達成に確実視するものが出てこない限り、状況はまだ不安定なものが続くと思われます。
※ PIIGS…ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字。

 
(作成:楽天投信投資顧問)

<PIIGSのCDSレートの推移です。----------- 年末年始には1,000の大台を超えていたギリシャのCDSも900を下回る水準にまで低下しています。>

■中国の金融引き締め不安

 中国の金融引き締め観測が市場に暗い影を投げ続けています。預金準備率の引き上げに始まり、春節明けには利上げがあるだろうという不安が中国経済の失速を連想させ、これが商品市場など多くの取引に影響を与えていますが、ある意味では経済大国となった同国の季節的な金融調節の流れと割り切って見ることができるように思われます。もちろん、インフレ懸念を同国金融当局が考えていることは事実ですが、昨年の同時期にも同じ現象が起きています。中国にとっては春節が米国のサンクスギビングのホリデー週間であり、日本のお盆や正月休みにあたります。世界経済に与えるインパクトが相対的に大きくなればなるほど、今後は中国の暦が大きく資本市場の動向に関わってくることになりそうです。


(出典:Bloomberg.)

<ドルベースの日経平均株価の動きです。----------- 上昇トレンドを支えてきた25日移動平均線を下に抜けてしまったことが気掛かりです。>

今週のポイント

■米国企業の決算発表は現状好調

 先週「好調な米国企業の決算発表が続くのかがカギ」とお伝えしましたが、ここまで発表された米国企業の決算動向を見る限りにおいては、ハイテク関連も金融関連も総じて好調を維持していると言えます。前述の通り、アップルの個別理由でナスダック総合指数な影響を受けましたが、NYダウは11,871ドルと12,000ドルの大台到達も射程に捉えて来ました。

 IBM(IBM)の決算内容も、ハイテク動向に強気見通しを持つ者にとってはまさに勇気づけられるものでした。事業別に見てサービス事業全体は前年同期比2%増に留まっていますがソフトウエアとハードウエア関連は極めて好調で、とりわけメインフレームの需要が大幅に伸びていることが印象深いものです。これはインテル(INTC)の決算内容とも符合しており、企業のIT関連の支出が増加していることが窺えます。また地域別の売上高を見ると、米大陸が122億ドルで前年同期比9%増加した一方でEMEA(欧州/中東/アフリカ)は95億ドルと同2%減少となったものの、アジア太平洋地域が66億ドルと同14%増となり、前述の中国の動向ともあわせ、世界の経済地図が塗り替わる中で、ハイテク業界には新しい息吹が流れ込んでいることが実感できます。

■米雇用創出で新会議の議長にGEのイメルトCEO

 報道によるとオバマ大統領は経済再生諮問会議を刷新し「雇用競争力会議」に衣替えした上で、新議長にゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)を起用すると正式に発表しました。米国民主党はその支持基盤が労働組合であるため、従来は大企業にとっては厳しい政策運営をしてきましたが、中間選挙で共和党に大きく議席を奪われたこともあり、一気に舵取りの方向性を変えて来ました。これに併せて当然ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は任を解かれるわけですが、同氏が「ボルカー・ルール」と呼ばれる金融機関に極めて厳しい内容の米金融規制改革法成立の立役者だったことはつとに有名で、資本市場関係者に取ってこれはかなり好印象な出来事のように思われます。まさにこうした流れが昨年の中間選挙でオバマ民主党が大敗したことに市場が期待したものであり、今後の米国の景気回復への期待は高まるものと思われます。

■どうなる日本の国会?

 第177回通常国会が24日に召集されます。当初予定の28日の招集も無理だろうと言われていた状況からすると改善したかに見えますが、ただ永田町のドタバタ劇は終息するどころかむしろ、より混迷を深めている印象を強く持ち、冒頭から荒れ模様となることが予想されます。年金支給年齢の引き上げや税と社会保障の一体改革に関する検討開始にまつわる話などその好事例かと思われます。ただ一方で、目先の状況としては、市場はすでによほどのことがない限りもうネガティブ・リアクションなど起こさないほどに免疫ができていることも確かなようで、まずは脇目でそれらの様子を気にしながら、米国や中国などの動向に注目する展開となりそうです。本来はこれではいけないと思うのですが…。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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