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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年1月17日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

1月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(1/14終値)
前週末比
(1/7比)
日経平均 10,499.04 -42.00 -0.40%
NYダウ 11,787.38 +112.62 +0.96%
金利・為替 週末終値
(1/14終値)
前週末比
(1/7比)
長期金利 1.200% ±0.000%
ドル/円 82.87  
ユーロ/円 110.95  

内閣改造より、米国企業決算に注目!

前週の総括

■内閣改造を横目に冷静だった金融市場

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は13日の寄り付き直後に高値10,620.57円を付ける場面もありましたが、翌日14日に株価指数オプション1月限のSQを控えていたため伸び悩み、週末は結局3日ぶりに反落、終値ベースでは6営業日ぶりに10,500円を下回って引ける結果となりました。週末の株式市場が弱含んだ背景には、米国で発表された新規失業保険申請件数が前週比+35,000件増の44万5,000件となったことで、市場予想の41万件をやや上回ったことを嫌気してNY市場が下落(現地木曜日)したということがありますが、売買代金も週を通じて膨らみ、後半は1兆5,000億円を上回るという好調を維持しました。じつは日経平均株価こそ対前週末対比で騰落率はマイナスですが、TOPIXはプラス0.42%の上昇、東証マザースはプラス5.46%、JASDAQ総合指数も+1.43%とプラス圏で推移しています。低下が気掛かりであったボラティリティの水準も週末には15.229と回復してきており、印象としてはまずまずという感じです。なにせ永田町では「内閣改造」があったのですから、その割に市場は冷静を維持したと言えると思います。これはかなり皮肉を言っているつもりですが…。

■ITバブル崩壊後の高値も見えてきた米国ナスダック市場

 米国ナスダック市場の好調が止まりません。今週も52.13pts上昇して週末終値は2,755.30pts、ITバブル崩壊後に付けた戻り高値2,859.12pts(2007年10月31日)を完全に射程圏内に捉えて来ました。この一週間の騰落率で見ても、NYダウは+0.96%の上昇(+112ドル高)、S&P500種は+1.71%(+21.74pts高)に留まるところ、このナスダック総合指数のプラス+1.93%の上昇と言うのはやはり「注目はハイテク株」という流れを証明しているかと思われます。今週の好調さの背景にあるのは何と言っても世界最大の半導体メーカーでもあり、パソコンのCPU市場の約80%を独占するインテル(INTC)の動きがあったことは否定しようがありません。同社の株価の動きが市場を牽引したという単純な意味ではなく、同社のビジネスの動向がハイテク市場全体の動向を象徴してリードしたということです。


(出典:Bloomberg.)

<ナスダック総合指数の過去4年間です。----------- ITバブル崩壊後の戻り高値2,859.12ptsを超えそうな勢いで騰勢を強めているのがお分かりいただけるでしょう。>

■予想通り好調だったインテルの決算

 前回のメルマガで今年に入ってナスダック市場の足を引っ張っているのがインテルだということをお伝えし、その市場の思惑の背景にはクリスマス商戦でのパソコン需要の鈍化があることを挙げ、13日に発表される決算が要注目ですとお伝えしました。そして「そんなに失望感を誘うような決算は出ないはず」と断言しましたが、実際申し上げた通り、全く失望感を誘うような結果とはならず、むしろ市場はそれを好感し、また好影響が拡がったという展開です。

 その決算内容はと言えば予想通りポジティブ。2011年1−3月(第1四半期)の売上高が111億−119億ドル(週末ドル円の終値82.87円で換算すると約9,199億〜約9,862億円) となり、Bloomberg.社の集計によるアナリスト予想平均を参照するとそれは107億ドルに過ぎませんでしたから市場の予想平均を大きく上回ったことになります。ちなみに純利益は48%増の33億8,800万ドルでこれも四半期ベースで過去最高を更新しています。

 ポイントとなるのは、やはりデータセンターなどの法人系の需要が強かったことが、コンシューマー部門の低迷をカバーして余りあったということです。確かにクリスマス商戦などで個人のパソコン需要はスマートフォンなどへ流れているのは事実ですが、それとは別にクラウド化という大きな流れの中で、単価の高いサーバー向け用途の需要が伸びているということを市場はカウントしていなかったということだと思います。

 またもうひとつ同社の決算発表から刺激される話と言えば、設備投資計画が市場予想を大幅に上回る90億ドルとなったことです。55億ドルから60億ドル程度の予想を市場は見ていましたので約1.5倍になりました。この設備投資の増加理由は最先端微細化技術である22nmの量産ラインを立ち上げることです。まさに一度勝者になると、余裕を持って次の勝ちのために先手先手を打っていけるという典型のような話です。バジェットがある企業が羨ましい限りです。

 この影響を受けて、週末の米国株式市場では半導体製造装置メーカーの株価が軒並み高くなりました。代表的なところではノベラスシステムズ(NVLS)は12%高と、S&P500種の値上がり率トップとなりましたし、アプライド マテリアルズ(AMAT)も7.6%の上昇、ケーエルエー・テンコール(KLAC)は5.9%の上昇となっていますし、エキシマレーザーの光源を作っているCYMI CYMER(CYMI)はおよそ13%の上昇と急騰しています。やはり世界最大の半導体メーカーの動向に業界は大きく左右されるということだと思います。そしてこうした法人需要がデータセンターを中心に突き進む間に、インテルは新しいCPUを市場投入しました。前回も少し触れた開発コードネームが「Sandy Bridge」と言われたモデルですが、実はこれはコンシューマーの需要を刺激する可能性も高いモデルです。この当たりの話題にご興味がある方は、先週末に更新された私のブログをご覧いただければと思います。内容を詳解してあります。

■菅内閣の再改造が行われた

 市場参加者の一人として正直に申し上げれば、現民主党内閣の改造など「もうどうでも良い」という印象もなくはありません。本来ならば日本の舵取りをしている集団の人事異動ですから、海の向こうの会社の四半期決算の発表などよりも何倍も深甚の興味を持って動静を見守るべきテーマのはずですが、市場参加者の多くが「呆れてものが言えない」という状態になってからすでに相当な時間が経過しており、またちらちらと横目でその内容を気にする限り、やはり「はぁー」とため息をつくようなものであるため、その状況は依然として厳しいと言わざるを得ません。

 もし一昨年の政権交代を果たした時のマニフェスト(公約)を政権与党の民主党として変更するつもりならば、ここはやはり潔く解散して国民に信を問うべきであり、小手先ばかりの政局対策だけを続ける限り内閣支持率は上がらず、政治離れは加速するだけなのではないでしょうか?そうこうしているうちに、小沢元幹事長の国会招致問題など、解決しない問題ばかりが山積する中、静かに今月の給与明細で所得税を増税となっていることを、国民は間も無く気がつくはずです。


(出典:Bloomberg.)

<ユーロの対ドルでの動きです。----------- ポルトガルの国債入札などの波乱をへて再び1.3台に戻してきました。>

今週のポイント

■好調な米国企業の決算発表が続くのかがカギ

 前述のインテルのみならず米国主要企業の決算発表が好調な状況であることが証明され始めています。金融機関の先陣を切って発表されたJPモルガン・チェースの決算内容は過去最高益となりました。10年10−12月(第4四半期)の決算は前年同期比47%の増益、これは主に引当金を減らしたことが影響していますが、これを受けて週末のNY市場では金融株が値上がりしています。

 ただその一方で、雇用市場の動向を示す新規失業保険申請件数が市場の予想を上回って回復がもたついていることを示したり、米消費者マインド指数や小売売上高が予想を下回わったりなど「オール・グリーン(すべて青信号)」とはなっていないのも事実です。まず1月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は72.7と前月から低下、エコノミストの予想中央値75.5を下回りました。また米商務省が発表した12月の小売売上高(速報値)は季節調整済みで前月比0.6%増と前月の0.8%増から軟化、これもエコノミスト予想中央値である0.8%増を下回っています。こうしたマクロデータは労働市場のみならず、個人消費の動向もまだ安心出来る状況ではないことを示してはいます。

 とはいえ、12月の米鉱工業生産指数は前月比0.8%上昇と、5カ月ぶりの大幅な伸びを示すというものもあり、まずは始まった米国企業の決算発表の動向を注視していきたい状況です。ハイテク産業の動向が好調であることは多くの面で確認できていますので、市場全体のベータ・リスクに晒されて足を引っ張られないことを願うところです。ただ、年初にデトロイトで行われた全米最大の自動車ショーの状況などを聞いていると、ハイテク産業と双璧をなす自動車産業も米国では回復の兆しが濃くなっていますから、米国経済の大きな流れは上向きと考えて問題ないだろうと思われます。


(作成:楽天投信投資顧問)

<PIIGSのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)レートの推移です。----------- 落ち着きを取り戻す方向に動き始めたかにも見えますが……。>

■火種燻る南欧、ギリシャ債はジャンクボンドへ

 南欧問題は引き続き目が離せません。中国も日本もユーロ支援の方向を明確にしていますが、格付け会社フィッチ・レーティングスもギリシャの長期発行体デフォルト格付け(IDR)を外貨建て、自国通貨建て共に「BBB−」から投機的(ジャンク級)格付けの「BB+」に引き下げ、格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」としました。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の動きを見る限りはこうした流れは織り込み済みとも言えますが、ジャンクボンドとは何かという意味を真剣に考え直した時、その意味はかなり重いと思います。簡単に“ハイ・イールド・ボンド(高金利債券)”のことだよねと読み替えて良いものなのかどうかということです。ユーロの動きはひとまず落ち着いています。ただ決してこれで終わったわけではないと言うことは肝に銘じておく必要があると考えています。

 中国が準備預金利率を引上げました。昨年もこの時期に引き上げていますが、春節(日本の正月休みに相当)前に市場に出回る貨幣流通量を抑えることが理由だと思いますが、市場のリアクションは気にしておきたいところです。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪1週間の騰落率で、NYダウは+0.96%の上昇(+112ドル高)!≫

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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