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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年12月20日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

12月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(12/17終値)
前週末比
(12/10比)
日経平均 10,303.83 +91.88 +0.90%
NYダウ 11,491.91 +81.59 +0.72%
金利・為替 週末終値
(12/17終値)
前週末比
(12/10比)
長期金利 1.195% +0.010%
ドル/円 83.99  
ユーロ/円 110.77  

ボラティリティが急低下、次の展開に要注意!

前週の総括

■ボラティリティの急低下は危険水位

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は前週に引き続き上昇、週末時点で比較していくと10月29日の9,202.45円から7週間連続で上昇したことになり、日本市場の出遅れ感が取り沙汰されていた状況とは随分と変わってきました。また売買代金の方も先週は一度も1兆3,000億円を一度も下回ることなく、5営業日のうち3営業は1兆4,000億円を上回りました。ただその一方で、ここしばらく1日の値幅が極めて小さな日が続いておりボラティリティの水準が危険水位にまで低下しています。

 ここで気にしているボラティリティは10日間のヒストリカル・ボラティリティです。私がクウォンツ運用と真剣に取り組んでいた1990年代初めの頃から、この指標を気にし、その経験則からもこれが一桁の水準に低下した時は遠からず「ヒヤッ」とする瞬間がくる、逆にそれがないと市場がそのまま上昇を続けることはないということは、何度かこのメルマガでもお伝えしてきた通りですが、そしてその結果はほぼその通りになってきたと思われますが今まさに再びそうした状況になっています。

 先週のボラティリティの水準は水曜日が8.385、木曜日が8.415そして週末金曜日が8.381と3日間連続して10を下回る8台をつけたままです。直近で10を下回ったのは4月5日の9.709、4月14日に9.757となり、その時の日経平均株価は11,339.30円と11,204.90円でした。その頃の記憶を紐解いて頂ければと思いますが、市場参加者の多くが強気に傾きつつあったこの頃もすでにこのシグナルは灯っており、このボラティリティがそれなりな水準にまで戻ってくるまでにひとまず日経平均株価は1,000円程度の下落をしています。市場の上昇ムードに水を差したくはないのですが、ますます市場の強気派とは組みできない状況が続いています。ご承知の通り、現状の私は弱気派です。


(出典:Bloomberg.)

<ボラティリティと日経平均株価のこの1年間です。----------- 黄色が日経平均株価、白色がボラティリティですが、理論通りに負の相関関係があり、今年4月に高値を付けに行った頃、静かにボラティリティはひとケタ台に低下していたことが解ります。その後の展開については言うまでもありません。>

■与党民主党が分裂する?

 この国の政権与党は何をやっているのかという憤りを超え、すでに諦めに近い(だから直近の世論調査でもさらに内閣支持率は低下したのだと思います)ものがありますが、小沢前幹事長の衆院政治倫理審査会への出席問題でついに与党民主党が分裂状態へと突入しました。やはりこれが寄せ集め所帯の限界なのか、支持率低下で求心力がなくなってしまえば理念や思想の違いから綻びが出るのは理の当然ですが、ただでさえ衆参捻じれ国会が新年早々から開始される国会で、2011年度予算の審議目途すら付かないこの状況下において、与党自ら内部崩壊していくというのはそれぞれの政治家としての責任論としても本当にいかがなものかと思います。考えてみれば菅内閣発足後、話題になってきたのは政局話ばかりで、外交問題も年金や健康保険問題を含む国家財政問題も、本来やるべき国家運営の問題は何一つ解決していないどころかひとつも手が付いていないとも言えます。

 前回も政府税調の発表内容について疑問を呈しましたが、財源なきバラマキ政策を続けようとする限りは、既に公的債務が国内総生産(GDP)比200%を超えて世界最悪の国家財政となっている我が国は、ひたすら第2のギリシャになる方向へ向かっています。埋蔵金の捻出と無駄遣いの削減というのが財源確保の目玉であったはずですが、埋蔵金はあっという間に掘り返しつくし(もともとそんなにあったわけではない)、パフォーマンスこそ派手でテレビ・ワイドショーでは受けていた例の事業仕訳は、素人目にも日本の将来発展に必要な技術開発・振興項目を斬り捨てるような内容であったにもかかわらず、目標金額とは1桁以上違う数値しか上げられていません。従来は公的債務"残高"の問題は“残高”の問題に過ぎず関係ないという論調も多かったですが、このままいけば歳入不足から単年度の財政赤字もどこまで跳ね上がるかわかりません。

 それでもなお2011年度予算では農家の戸別所得補償制度は大筋で公約に沿う約8,000億円規模に増やすなど、やはり選挙・政局ばかりを意識した状況が続いているのが現状でしょう。今すべきことは何なのか、永田町界隈の人たちにはぜひ真摯に再考して貰いたいと思いますが、それよりこの酷い現状に市場がいつまで目を瞑っていてくれるのかということが気になる毎日です。

■米国住宅着工に回復の兆し

 米国商務省が16日発表した11月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算、以下同じ)は前月比3.9%増の55万5,000戸となりました。前月比プラスとなったのは3カ月振りです。市場の予想は55万戸だったので予想も上回りました。ただ住宅着工に約半年先行すると言われる住宅着工許可件数は2カ月ぶりのマイナスで2009年4月以来の低水準に落ち込んでしまったことも手伝い、また今週中古住宅販売件数と新築住宅販売件数が発表になることから直ぐに抜群の好材料とは受け取られませんでしたが、これは悪くない話です。

 また米国労働省が発表した11日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から3,000件減少して42万件とこれもまた市場予想の42万5,000件への増加よりも良い結果となっています。

 米国では住宅市場の停滞が個人のバランシートの改善を遅らせており、また労働市場の回復の遅れは所得の伸びならず将来不安を助長しているとして、住宅市場と雇用環境というのが久しく注目材料として考えられていますが、前述の2つはこれらに対するポジティブ要因であることは間違いありません。

 一方で、株価上昇による資産効果などもあり、今のところは年末商戦も含め個人消費は悪くないという印象が続いており、これらを受けて米国株式市場はNYダウが3週連続で上昇するとともに、S&P500指数が2年振りの高値を週末に付けて終了しています。

■FRBは6,000億ドルの国債購入方針を堅持

 米連邦準備制度理事会(FRB)は14日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表し、来年6月にかけて6,000億ドルの国債を購入する方針を堅持することを示しました。国債購入の狙いについては「残念ながら遅い」景気回復を促進し、「長期的に物価を安定させる」ことだと説明し、政策金利を「長期にわたり」低位にとどめる方針をあらためて示しています。政策金利であるFFレートの誘導目標についても、現状と変わらぬゼロから0.25%のレンジにとどめ事実上のゼロ金利政策維持を発表しています。ブルームバーグ社のリサーチによるとFOMCは2012年第1四半期まで利上げを実施しないと予想されています。


(出典:Bloomberg.)

<米国10年国債のこの一年間です。----------- このところ急激な上昇が続いていた米国長期金利ですが3.53%台をつけたあとはやや低下傾向になり、週末終値は3.33%と前週末とあまり変わらない水準にまで戻しています。>

今週のポイント

■閑散相場が恐ろしい面もある

 先週はクリスマス休暇入りしたところも多くなってきた割には売買代金も増加するなど悪くない状況であったと結果としては言えますが、さすがに今週はどこまで市場が閑散となるかに注目しています。米国市場では24日がクリスマスの振替休日となるため、日本の23日の休日と合わせるとなかなかフルに市場参加者が登場することは考えられないからです。冒頭でご説明した通り、現状のボラティリティの水準は何があってもおかしくはないところまで低下していますので、正直嫌な気分です。


(作成:楽天投信投資顧問)

<PIIGS(※)5カ国のCDSです。-----------------------ご覧いただける通り、ここにまだ火種があると思っている市場関係者は多いものです。>
※ PIIGS…ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字。

■欧州という火薬庫

 先週17日、格付け機関ムーディーズがアイルランド国債の格付けを「Aa2」から「Baa1」へと5段階引き下げた上に、格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」とさらなる格下げ含みを残す発表を行いました。また国際通貨基金(IMF)はアイルランドの財政赤字削減目標は達成が難しいとの見方を示したことでユーロが対ドルで売られ、また質への逃避から米国債が買われるという展開がありました。

 正直に言えば「またか」という気もしなくはないですが、PIIGSと呼ばれる5カ国のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のうち、ギリシャはいまだに高止まりをしており、アイルランドとポルトガルが上昇傾向、スペインもジリジリと上昇し始めているという状況です。市場は何度も「もう大丈夫」と思ったかのようにも言われていますが、このCDSのチャートを見る限り、まだまだ火種は消えていないというのが印象です。もしこの火薬庫に火がつくことがあれば何が起こるかわかりません。北朝鮮という隣国の実際の火薬庫同様、気を緩められる状況にはまだまだ入っていないと考えています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪日経平均株価は前週に引き続き上昇≫

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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