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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年11月22日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

11月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(11/19終値)
前週末比
(11/12比)
日経平均 10.022.39 +297.58 +3.06%
NYダウ 11,203.55 +10.97 +0.10%
金利・為替 週末終値
(11/19終値)
前週末比
(11/12比)
長期金利 1.070% +0.095%
ドル/円 83.55  
ユーロ/円 114.24  

10,000円台回復、強気なセルサイド、慎重姿勢のバイサイド

前週の総括

■世界の市場と対照的な動きとなった日本株式市場

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は18日(木)、6月22日以来約5カ月ぶりに10,000円の大台を回復し、そのまま週末を迎えました。一週間で約3%の上昇となった日本市場は、ほとんど前週末と水準を変えていない米国株式市場(NYダウは+0.10%、S&P500種は+0.04%、ナスダック総合株指数は0.00%)とは大きな違いを見せています。さらに、約△3.2%もの下落を演じた中国・上海総合株指数などの動きと比べても対照的な動きと言うことができます。そして、この先の市場見通しについてもいろいろなコメントが発せられていますが、総じてセルサイド(証券会社)のストラテジストなどからは強気なコメントが、一方バイサイド(機関投資家)筋からは慎重なコメントが発せられているように思われます。

■確かに、少なくとも円安には動いた

 日本市場の株価動向にとって重石となっていたひとつの要素は円高ですが、確かに前週末に比べると先週は円安に振れました。前週末に比べると対ドルが82円53銭から83円55銭へ、対ユーロでは113円01銭が114円24銭となっていますから円安を評価した株価上昇と見ることができなくはありません。ただ先週のこの為替の動きを従来通り、日米の金利差で説明しようとすると、じつは無理があります。

 米国が3日に追加の金融緩和に入ったことで米国の長期金利が上昇したのは事実ですが、これを受けてドルが買われたという金利差の議論を従来のように行おうとしても、じつは直近の日米金利差の状況は15日(月)にいったんはピークアウトし、その後は金利差縮小の方向に動いています。それは10年債金利においても、2年債金利においても同じことが言えます。従来の金利差の議論から言えば、先週初めがいったんのドル買い戻しのピークで現在は円高になっていてもおかしくない状況です。

■利上げ懸念で中国市場が再び下落へ

 前週12日に大きく急落した中国株式市場は先週に入っても流れが変わらず、19日には直近の安値となる2,806.691ptsまで下落し、大引けに向けて多少戻して2,888.566ptsで終了しました。背景にあるのは米国など主要国の金融緩和によって過剰流動性が中国などの新興国に流れ込み、これが原因でインフレを引き起こすという懸念からくる金融引き締めに対する不安です。実際、中国は週末に今月に入って2度目となる異例の預金準備率0.5%の引上げを行いました。市場はこうした当局の動きをずっと危惧していると言えます。ただ一方で、今回は利上げではなく、預金準備率の引き上げで済んだという見方もでき、すなわち中国当局のジレンマとともにあまりこれ以上の過度の引き締めは今後もできないであろうということが窺えます。


(作成:楽天投信投資顧問)

<日米金利差(2年債)の推移です。----------- ご覧いただける通り、足元では金利差は縮小傾向にあるにもかかわらず、ドルが買われて円安になっていることが解ります。>

■アイルランド問題など、PIIGS関係の問題は燻り続ける

 直近の米国市場の株価下落のきっかけとなっているのは欧州の信用リスク問題の再燃ですが、アイルランドやポルトガルのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ )自体は実際のところ足元にあってはやや低下傾向と言えます。ただ一方でギリシャのそれは6月のギリシャ危機説が高まっていたピーク時に匹敵する水準にまで上昇してきており、今後再びこれらの問題を市場がどう評価していくのか、極めて注目すべきだと思っています。ただその一方で、こうした流れの中でユーロ安のトレンドはドイツなどの輸出型欧州経済の部分には極めてポジティブに効いており、ダイムラーやBMWなどに代表される企業の収益は好調を維持、低迷するPIIGS各国の株式市場をよそにDAX指数などは上昇するという収益機会を提供してくれています。

※ PIIGS…ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字。


(作成:楽天投信投資顧問)

<PIIGSのCDSの推移です。--------------------実はアイルランドやポルトガルのCDSはやや低下気味ですが、逆にギリシャのそれが再び最高値を更新しそうな勢いとなっています。>

今週のポイント

■ヘッジファンドのアン・ワインド取引

 11月末と12月末にはヘッジファンドの決算が集中します。ヘッジファンドの多くがその収益の中から成功報酬を運用会社が得られるような仕組みになっているため、この時期のヘッジファンド・マネージャーはかなりピリピリしているというが事実です。一方で、多くのヘッジファンドがこの時期に顧客からの解約を受け付けます。というより、この一年間のパフォーマンスを見て、顧客が来年も運用を委託し続けるか、それとも解約して他ファンドに乗り換えるのかを考えるというのが正しい見方ですが、一般の追加型投資信託などと比べて、多くのヘッジファンドのそれはやや手続きに時間が掛かります。

 通常は45日前NOTICE(通知)といって、実際の解約日に先立つこと45日前に解約を申し出でるというのが普通です。なぜなら、ヘッジファンドの多くが複雑なポジションを取って運用していることが多く、いきなりファンドサイズの縮小ということになっても、そのポジションをアン・ワインド(解消)するのに時間が掛かる場合があるからです。例えばアジアの新興国市場の株式を買い持ちにして、反対に日本の株式を売り持ちにしているようなポジションがある場合、アジアの株式を売り、そして日本の株式を買い戻します。これらをアン・ワインドと言いますが、流動性の違いなどにより、おいそれと簡単に反対売買がし難いということがよくあるということはご想像いただけるかと思います。

■45日前NOTICEのタイミングではポジションは動かない

 よく市場ではヘッジファンドの解約日の45日前と言うスケジュールが意識されますが、実際の運用現場から見ると、通知を受けた途端にこうしたアン・ワインド取引を行うかと言えばそうではありません。45日前から解かないとならないようなポジションは私知る限りにおいて少なくともそう多くはないからです。11月末決算・解約のファンドの場合、10月中旬に45日前NOTICEを受け付けていたとしても、実際にそれに対応するアクションを起こすのはもっとずっと後のはずです。

 こうした前提に立つと、先週日経平均株価が前述のように世界の流れとは異なり強い展開となったのは、これらのポジションのアン・ワインド取引によるものが多かったからという見方が妥当に思われます。すなわち、売り持ちの日本株式を買い戻したという状況です。なぜなら、今週米国が日本の年末年始、あるいはお盆休みに匹敵するサンクス・ギビングのホリデー・ウィークとなるからです。多くの米国人が休暇を取り里帰りを行うため、この時期のウォール街などは閑散とした状況になりますが、11月末のポジション整理が必要な場合は、その休みの前に行うというのが一般的ではないでしょうか? そう考えると、先週が正にその一週間該当し、カレンダー的に考えても先週の市場動向の違和感については納得性が高いと思えるということです。

■投資家に動いて欲しいセルサイド、パフォーマンスを高めたいバイサイド

 直近の売買代金の推移は極めて低調です。1日のそれが1兆円を割り込むことこそありませんが、先週も5営業日中2日間は1兆円台ととても寂しい状況が続いています。証券会社の収益には株価の低迷より、売買の低迷の方が痛手が大きいというのは自明の理ですから、何とか材料を見つけて投資家に動いて貰いたいと思うのが当然と言えば当然です。

 一方、バイサイドと言わる投資家側は当然のことながら売買があろうがなかろうがそれは関係なく、株価の水準こそが自らのファンドのパフォーマンスに影響を与えます。当然、何らかの確信が無いと取引には慎重になるというのがこれまた当然のことと言えます。

 こうした事情を勘案して最近のマーケットコメントを見て頂くとひとつの傾向があるように感じられるのですがいかでしょうか?それが「強気なセルサイド、慎重姿勢のバイサイド」という意味なのですが、現状の株価水準の戻りに対して私は引き続き極めて慎重に見ざるを得ないと考えております。その理由の中には、当然、混迷を続ける日本の政局も大きなポイントであり、原材料価格の値上がりに繋がる商品市況の上昇なども大きなポイントです。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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