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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年11月15日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

11月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(11/12終値)
前週末比
(11/5比)
日経平均 9,724.81 +98.82 +1.03%
NYダウ 11,192.58 -251.50 -2.20%
金利・為替 週末終値
(11/12終値)
前週末比
(11/5比)
長期金利 0.975% +0.045%
ドル/円 82.53  
ユーロ/円 113.01  

出遅れ感だけで日経平均株価10,000円台回復は望めない

前週の総括

■日本は高値横這い、海外市場は下落

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は連騰し前週末比+98.82円となる9,724円81銭で引けました。11日の前場には一時9,885円37銭の高値をも付け、市場の一部にはこのまま5カ月ぶりとなる日経平均株価10,000円台回復を期待する声も聞かれました。確かに世界の主要な株式市場の中で日本市場のそれが出遅れているのは事実ですが、とはいえ出遅れ感だけでは10,000円の大台回復には力不足という見方をしています。

 ひとつには海外市場で米国株式市場の主要株価指数が揃って2%強の下落、また中国・上海総合株価指数も11日に付けた戻り高値3,186.720ptsから翌12日は一転して年初来最大の下げ幅となる下落を演じて大引け2,985.435ptsという荒れ模様になっているからです。このところ年初来高値を更新し続けていたタイSET株価指数も10日に高値1,055.25ptsをつけた後急落、週末終値は1,018.86ptsという状態です。ザラバでは1,000ptsを割り込む場面もありました。その意味では、世界の株式市場の流れに日本市場は再び"出遅れた"ということができ、海外市場の動向を見る限り、今週の勢いは限定的になると考えざるを得ません。

■決算発表とその後のアナリスト・コメントが飛び交う

 日本市場では2010年度第2四半期決算の内容と下期見通しの発表がピークを越えて来ました。あわせて、これらへの証券会社のアナリスト達による評価レポートの発表がちょうどピークを迎えています。私の受信トレイにも連日数100本のリサーチ・レポートが送られてきており、国内バイサイドの多くが今はそれらを咀嚼している段階だと言えます。11月末や12月末に決算を迎えるヘッジファンド勢は違う動きをしているはずですが…。

 今回の決算の特徴を一言でいえば、終わった期(2010年度第2四半期もしくは上半期)は総じて市場予想を上回る好結果であり、下期を含む通期見通しについては、円高及びエコカー対策などの政策終了後の反動減を織り込んで予想以上に慎重、もしくは悲観的といった印象が強いです。為替前提については多くの企業で円高修正が行われ、80円から82円程度のレンジに変更、これによる減益要因が大きく足を引っ張る厳しい見通しを組まざるを得ないという状況であり、対ユーロについても殆ど糊代がないレベルに変更になっています。ただマクロ前提についてはみると、米国の最新の雇用関連などの統計や消費者マインドなどが示すものに比べて過度に悲観的と感じられるものが多く、このあたりにバッファーを残した見通しと見ることができます。一般に企業は下方修正発表を嫌がる傾向が強いというのは不変の定理ですから。

 この状況を受けてアナリストの人たちの見通しもやや二極化している感があり、前提を何処に置くかで強弱感にかなり開きが出ているような印象です。ちなみに、ハイテク関連セクターで言えば、モバイル・クラウドを含むスマートフォンのビジネス・トレンドをどう捉えるのか、あるいは薄型テレビなどの新興国需要をどう予測するかで大きな開きが生まれ、また自動車関連でいえば、エコカー減税などの影響をどう織り込むのか、またEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)の今後の世界の趨勢をどう読むかによって相当見通しが変わってきているように思われます。

■やはり欧州の火薬庫には火がついている

 今週海外市場が注目していたのが欧州信用問題の再燃です。アイルランドの財政難を背景にアイルランドやポルトガルの国債利回りが過去最高に上昇するという事態に、欧州の財務省は投資家の不安払しょくに躍起、これらの影響がG20の共同宣言にも影響を与えたという状況です。しかし市場が前週までFOMC(米連邦公開市場委員会)の行方や中間選挙に気を取られている間にも既にPIIGS諸国のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は再び騰勢を強めていましたので、先週になって火が点いた話題というよりは、市場の大勢が注意を払っていなかったというだけとも言えます。欧州はやはりまだ危険な火薬庫の状態にあります。

※ PIIGS…ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字。


(出典:Bloomberg.)

<NYダウの一年分の日足です。-----------折角上昇基調で年初来高値を更新したNYダウでしたが、今週は一転して急落です。>

■経済状況とは全く関係ない我が国政治の混迷状況

 多くの世論調査で現菅直人民主党政権の支持率急低下が伝えられていますが、幸か不幸か市場はこれら政治の状況については目を瞑ってくれています(楽天マネーサービスの最新ブログもご参照ください)。本来、外国人投資家はこうした話題を嫌う傾向にあり、売られないのが不思議なくらいです。15日には2010年度補正予算案の衆院での採決を控えていますが、この問題だけでも与野党のせめぎ合いは13日現在解決の糸口を掴めないままにいます。背景にあるのは小沢民主党前幹事長の国会招致の問題であり、尖閣ビデオ流出事件ということが目下一番ワイドショー的にはホットな話題ではありますが、これらに加えて、普天間問題、環太平洋経済連携協定(TPP)問題、ロシアのメドベージェフ大統領との北方領土問題など未解決な問題は山積しており、逆にいえば、これらにも関わらず先週は日本市場が上昇したというのは奇跡的なことと言うことができるかも知れません。アジア市場内での時価総額からみたパッシブな資金流入が支えていると言えます。


(出典:Bloomberg.)

<CRB指数の1年間の日足です。-----------原油価格をはじめ、商品市況の上昇がコストプッシュ・インフレの引き金にならないかと危惧されますが、一旦は調整が入ったかにも見えます。>

今週のポイント

■スマートフォンと携帯電話は似て非なるもの

 前述の通り、ハイテク関連のセクターの見通しで注意をしないとならないポイントのひとつが「スマートフォンと携帯電話の違い」ということです。どちらもケータイという括り方では同一であり、利用者側でもまだその差別化はほとんどできていないというのが実態かと思われますが、「携帯電話関連ビジネス」と括られた時に、きちんとその差異を見極めることが重要です。日本で販売されている携帯電話はほとんどがワンセグ、音楽プレイヤー、GPS、そして高画質カメラなど高機能てんこ盛りの端末が主流なためスマートフォンとの差異は理解し難いと思われますが、ここを見誤ると折角の投資チャンスを見逃す結果になります。

 例えば近年携帯電話の世界で巨人と言われたノキア(NOK)が失速する傍らで、『iPhone』を抱えるアップル(AAPL)が絶好調であるのがその証左です。ノキアが得意としたような新興国市場に一気に普及を加速させたような携帯端末は基本的には「価格で勝負」のビジネスモデルであり薄利多売の数で勝負、一方『iPhone』に代表されるスマートフォンは、今現在は立ち上がりの「性能と機能で勝負」のビジネスモデルできちんと利幅を取っていくということです。ちなみに、日本国内ではキャリアからのインセンティブなどの関係もありゼロ円端末などを店頭で見ることもできますが、端末自体の機能・性能がそもそも「価格で勝負」というタイプはほとんど見ることができません。

 前者に深くコミットしていた企業は数が売れなくなれば収益に直撃を受けるだけでなく、円高の問題なども抱えて苦労していますが、後者にコミットしているところは引き続き好調を維持しています。日本企業の場合は両者に関わってしまっている企業が少なからずあり、強みだけを必ずしも発揮できていないとも言えますが、グローバルにテクノロジー関連企業を見た場合には違った景色が見えてくるのも事実です。

■キーワードはモバイル・クラウドとブロードバンド・ワイヤレス

 NTTドコモ(9437)がLTE(Long Term Evolution)サービス『Xi』(クロッシィ)を12月24日より提供開始すると発表しました。『Xi』とは、LTE方式によるドコモの高速データ通信サービスで通信速度は一部施設内で下り最大75Mbps、上り最大25Mbps、そのほかのエリアは下り最大37.5Mbps、上り最大12.5Mbpsといういわゆる3.9G世代で、スマートフォンがSMART(賢く)に稼働するための最低必要条件を提供するインフラとなります。これは先月、国際電気通信連合(ITU)が発表した4Gの為の通信規格にも技術的な無駄なく延長線上で展開できるため、3G規格で世界のガラパゴスとなって出遅れた日本勢が失地回復の糸口とすることもできる可能性を秘めたものを期待しています。

 キーワードは「モバイル・クラウド」と「ブロードバンド・ワイヤレス」。つまりモバイル端末でいかにクラウドにブロードバンド接続することができるようになるかということです。パソコンの前にコンピューティング環境があるのではなく、あらゆる状況・環境で最高のコンピューティング環境が利用できるようになる時がもうそこまで来ているということです。

■アップルが映画を『iTunes』で配信開始

 12日からアップルが日本国内でも『iTunes』を利用して映画のレンタルサービスを開始しましたので、さっそく、映画『父親たちの星条旗(字幕版)』をレンタルしてみました。48時間のレンタルが300円と多少割高な感じもしましたが、少なくとも自宅に居ながらにして簡単に観たい映画が借りられるというのは大きな魅力です。

 正直まだまだ問題点はありました。決定的なのは提供されている本数が少なく、今回借りた映画も実はすでに観たことがあるもので、システムを試すために借りたというのが本当です。また何よりダウンロードに時間が掛かり過ぎます。NTTの『光ネクスト』(下り最大200Mbps)の環境で利用してもダウンロードに20分以上掛かり、これではまだモバイル環境では前述のLTEサービスでもとても利用する気になれないだろうと思います。

 ただ思われるのは、映画をスマートフォンなどで持ち出す人が増えるだろうということです。モバイル環境でダウンロードすることは億劫でも、『iTunes』で20分間我慢すれば可能なら、それを『iPhone』や『iPad』に移して観る人は少なからずいるはずです。今までは、映画などを携帯電話やスマートフォン等で見るためには、SDカード版のものを購入したり、著作権に問題がないものであれば、DVDからパソコンに取り込むという方法もありましたが、こういった面倒なことをしなくても『iTunes』でレンタルできるようになれば誰にでも便利なことこの上ありません。そして最終的にはいちいち『iTunes』に繋がなくても直接『iPhone』にダウンロードできれば(ワイヤレスの帯域幅の拡大が必要)もっと言うことありません。

 それこそが「モバイル・クラウド」と「ブロードバンド・ワイヤレス」が可能にしてくれる世界であり、この流れはまさに今から始まろうとしているものです。このビジネス・トレンドは右肩上がりだと確信しています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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