※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年10月25日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

10月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(10/22終値)
前週末比
(10/15比)
日経平均 9,426.71 -73.54 -0.77%
NYダウ 11,132.56 +69.78 +0.63%
金利・為替 週末終値
(10/22終値)
前週末比
(10/15比)
長期金利 0.890% +0.015%
ドル/円 81.16  
ユーロ/円 113.54  

目を向ける場所を間違えなければ、収益チャンスは高くなってきた

前週の総括

■NY市場が下落したので…

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。引き続き主体性がなく面白みに欠ける日本の株式市場の動向ですが、NY市場の株価急落(現地時間:火曜日)を受けて始まった水曜日の取引開始段階から、日経平均株価はその水準を100円から150円程度切り下げた感じです。ただ「中国が0.25%の利上げしたことにより世界景気の鈍化が懸念された」ということが日本国内では株価下落の要因として伝えられていますが、きっかけとなったNY市場の下落についてはNYのトレーディング・フロアからは別のコメントが届いています。いわく「午後2時過ぎにニューヨーク連銀や大手運用会社であるPIMCOとBlack Rockがバンク・オブ・アメリカ(BAC)に対し、470億ドル規模のモーゲージ債の買い戻しを求めていると伝わったことが急落のきっかけだ」と。中国の利上げも予想外ではありましたが、そのショックを織り込んだ後にNY市場が深押ししたその日中足を見る限り、やはりこのモーゲージ債買い戻しの話の方が、市場に与えたインパクトは大きかったように思われます。そしてこの米国株の2カ月ぶりの大きな下げが膠着状態の日本株を下に引きずり下ろしたという印象で、その後は再び狭い範囲のボックス圏となっています。

■日本市場は取り敢えず雲の上で止まった

 しかし当のNY市場の方はその翌営業日には前日の下げ分を取り返し、その翌日には年初来高値とほぼ並ぶ水準まで切り返してしまいました。日本市場はひとまず一目均衡表で言うところの雲の上で辛うじて踏み止まったものの、切り返すだけの力はないというのが現状です。80円台に突入した円高が企業収益を圧迫するということが懸念事項として消せず、これから始まる決算発表を前に「企業が前提為替を変更してきた場合、どの程度まで予想収益を下方修正するのか不透明」というのがその背景にあります。また対ドルでの円高よりも寧ろ市場が気にしているのは対ユーロでの円高です。前回もお伝えしましたが、対ドルでの円高が進んだ局面においても、対ユーロでは114円台を維持していた間は株価も持ち堪えていましたが、今週は111円台まで対ユーロでの円高が進んだため、これも市場の上値を重くした大きな要因となっています。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価の一目均衡表です。-----------------------持ち合いから下放れを始めた感じ、ながらも取り敢えず雲の上で踏み止まっています。月末あたりの雲の薄いところで下に回ると、上には帰り難くなりそうです。>

■ブラジルが金融取引税(IOF)を4%から6%に引上げ

 弊社楽天投信投資顧問のWebサイト(PDF)上にも臨時レポートとしてご案内させて頂いておりますが、ブラジルのマンテガ財務相は、通貨レアルの上昇抑制を目的として、現地時間10月18日、今月2回目の金融取引税(IOF)引き上げと、通貨デリバティブ取引に関する税率引き上げを発表いたしました。前回2%から4%への引上げからわずか2週間でさらに2%も再び引き上げられたことで市場にはかなり驚きが広がりました。また今回の特徴は海外投資家による確定利付証券投資に対する税率引上げのみならず、通貨デリバティブ取引に関わる税率まで引き上げられたのが特徴ですが、同財務相は最近の米ドル下落は「通貨戦争」によるものであるとしており、必要であればレアル高を抑制するために他の措置を実施する可能性もあると述べました。日本の為替介入がそうであるように、今後のブラジル・レアルに対するこうした措置による影響は未知数ですが、短期的な投機資金の流入を同国が拒んでいることだけは極めて明らかになりました。ただ一方でブラジルのファンダメンタルズからすればファイナンスの為にも安定的な長期資金の流入を必要としており、今後も市場動向を見極めながら微妙な駆け引きが続くものと思われます。完全に外国人投資家によるブラジルへの資金流入を止めることは、今後も多くのインフラ投資を必要とする同国経済にとっては命取りとなりかねないからです。長期安定資金ならば熱烈歓迎、短期投機的資金は拒絶という難しい舵取りを強いられています。

■上海総合株価指数、3000ptsを一時回復

 前述した通り、中国人民銀行(中央銀行)は19日、約3年振りに期間1年の金融機関の預金金利と貸出金利をそれぞれ0.25%引き上げると発表しました。その背景にあるのはある意味ではブラジルと同様に、人民元引き上げ期待から海外から大量の投機資金が流入し、株価を押し上げると同時に、再びインフレ懸念が台頭しているからであり、過度にダブついた資金が徒に金融市場を過熱させないための事前の策と見ることができます。ただこうした流れの中で、上海総合株価指数は19日に3000ptsを4月以来6カ月ぶりに一時回復し、やはり新興国市場の経済への期待値の高さを証明した形になりました。世界の通貨戦争の中で日本市場だけが振舞い方が巧くなく、どこか負け組として取り残された感じですが、残念なのはそれでもなお、あまり永田町方面からは危機感が伝わってこないということにあります。


(出典:Bloomberg.)

<中国本土株指数「新華50」の1年間の動きです。-----------------------基本的に上海総合株価指数と動きは近似しており、4月中旬の水準までは回復してきました。>

今週のポイント

■絶好調アップル社決算から見えてくるもの

 前回、インテル(INTC)社の決算が市場予想を上回る結果となったことをお伝えしましたが、そのインテルと共に新しいハイテク市場の流れを作っているアップル(AAPL)社が過去最高益となる好決算を発表しました。時価総額世界第2位の企業がこうした好決算を発表してくれることは「景気の2番底懸念」といった不景気な話をする人が多い中で、極めて喜ばしい話です。このところ決算のカンファレンスコールには体調などの理由から出席することのなかったスティーブ・ジョブズCEOもCFOのプレゼンの後から約10分間のプレゼンを行い、その後のQ&Aセッションにも参加するという力の入れようでした。考えてみると、日本企業の中間決算や、ましてや四半期決算の発表のカンファレンスコールにトップ自らがスピーチやQ&Aに出席する企業は少ないと思います。

 中でも面白かったのは、『CEATEC JAPAN』などでも多くの新機種が発表になったタブレット型PCと『iPad』との競合関係に関するCEOのコメントでした。それら7インチ・サイズのスクリーンを搭載したモデルに対して、かなり強気に酷評しているそのコメントは以前Windowsをこけおろしている時とジョブズCEOのそれと同じトーンであり、またパソコンOSの競合の時とは違い、今回はすでにマジョリティを獲得しての立場ですから、その並々ならぬ自信のほどには感じ入るものがありました。要は、7インチ画面は中途半端であり、『iPhone』というスマートフォンと『iPad』のサイズは全く別々の存在であり、それをひとつのサイズで賄おうとするのは二兎追うものは一兎も得ずになるというものです。両方を所有する1ユーザーとしても、それは極めて納得いくロジックです。また年内にはさらなるサプライズがあるとしたコメントに興味を繋ぎます。

 またもうひとつのカンファレンスコールのお楽しみは、市場関係者のQ&Aのトーンにどの程度まで期待感が織り込まれているかが見えるところにありますが、印象としてはアナリストたちの目線は「何とか駄目出しをしたい」というものに感じられました。中には"アップル教信者"もいた感じですが、どうにか粗探しをしたいと固執するアナリスト側の質問に対して、スティーブ・ジョブズCEOが余裕で交わしていたという感じが印象に残りました。その面では日本電産(6594)の永守社長のそれが似た感じかも知れません。

■やはり電子部品関連に面白みが残る

 日本の株式市場では半導体製造装置が前工程と後工程の区別なく括られてしまって元も子もないということがよくありますが、電子部品関連も十把一絡げになる傾向が強く、この限られた文字数のメルマガでの説明は難しいのですが、前述のアップルの決算などを踏まえても、やはりハイエンドの電子部品には日本がまだ充分に力を発揮できるものがあるということが証明されつつあります。その好例が例えば村田製作所(6981)が得意とする『MLCC』などであり、この先、スマートフォンなどの高機能デバイスが加速的に普及していく中で力を発揮する日本企業は幾つもありそうです。

 ポイントは安価なコモディティ化しているパソコンに使われる部品も、ノキア(NOK)が新興国向けなどに量で稼いでいるロー・エンドの携帯電話に使われる部品も共に電子部品ですが、続々と登場してくるスマートフォンなどに使われているものも電子部品だということです。半導体も同じですが、パソコン向けのある成長段階に入ると「目方でドン!」的な価格競争だけに突入するDRAMも半導体ですが、用途や容量がまだまだ広がりつつあるフラッシュも半導体だというのと同様です。大きなこれからのテクノロジーの流れの中で、今後は電子部品A群と電子部品B群とでもいうような見方をしていかないと投資チャンスを逸するかもしれない、逆に言うと投資チャンスが広がっているのが今だと強く思っています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪進む円高! 円安への反転を期待し、外貨建てMMFへ投資!≫

■少額でグローバル投資! 10通貨単位から買付可能!

米ドル建てMMF(ゴールドマン・サックス米ドルMMF)の詳細はこちら
米ドル建てMMF(ゴールドマン・サックス米ドルMMF)

マスターファンドに投資することを通じて、高格付けの米ドル建て短期金融商品に投資し、米ドルベースの元本と流動性を確保しつつ最大限の収益の獲得を目指します。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)より「AAAm」、ムーディーズから「Aaa/MR1+」とそれぞれ最高位の格付けを取得しています。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。必ず楽天証券のホームページなどで最新の情報をご確認のうえ、各サービスをご利用くださいますよう、お願いいたします。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2010 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.