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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年10月18日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

10月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(10/15終値)
前週末比
(10/8比)
日経平均 9,500.25 -88.63 -0.92%
NYダウ 11,062.78 +56.30 +0.51%
金利・為替 週末終値
(10/15終値)
前週末比
(10/8比)
長期金利 0.875% +0.020%
ドル/円 81.46  
ユーロ/円 114.45  

国内要因は力不足、でも米国には好材料が出始めている

前週の総括

■上にも下にも動かない

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。引け値ベースで前週末比との比較がわずかに△88.63円の下落であっただけでなく、上下の動きで見ても値幅はわずかに200円程度、ちょうど日経平均株価9,500円ラインを中心に上下に100円程度です。ただ一方で一時は1日の売買代金が1兆円を割り込むことも少なくなかった売買動向ですが、このところは少し持ち返しこの2週間はそれが1兆2,000億円を切ることはありませんでした。ただ売買代金は多少膨らんできてはいますが、市場が活況さを取り戻してきたというには程遠い気がします。

■問題は為替動向

 市場の動きがこうも膠着状態に入っている最大の理由は為替動向です。先週円は対ドルでついに80円台にまで突入し15日には一時80円89銭の高値まで付けました。82円台は防衛ラインと先の為替介入時に大見栄を切った財務相も、このところは「注視する」などのコメントさえほとんどない音なしの構えとなってしまっています。その為、市場では79円75銭の最高値トライは時間の問題という見方が支配的です。

 ただ一方で対ユーロではこの時114円60銭を付けるなど、日米欧で見た時に日本円が最強通貨という状況ではなくなっています。このことが単純にドル円だけの円高傾向を見て株を売るという動きに繋がらない、故にどっちつかずで上にも下にも動けないという状況を演出していると思われます。日本企業は対ドルでの為替変動には案外と免疫力がある一方、対ユーロでの変動に左右されやすいというのは、この数年で市場が学んだことのひとつだからです。一般に言われるように15年振りの円高、それも79円75銭の史上最高値に向かっていると思われる流れの中ですから、株価が9,500円水準を維持できていることが不思議にも見えかねませんが、その理由は「対ユーロでは円高が進んでいない」というのが裏の背景にあります。ひとことで「円高が進んでいる」と言いますが、どの通貨に対してというのが今後も重要なポイントになります。


(出典:Bloomberg.)

<対ユーロでの円の1年間の動きです。-----------------------9月の初旬まで円高傾向にはすでに歯止めが掛かっており、これが対ドルとの動きは対極をなす流れとなっています。>

■日米金利差の動き、長期金利と短期金利に違い

 最近の為替市場の動きを語る時に「日米の金利差が縮小していることが原因」とよく言われますが、一般に使われる10年債金利の動向でこれが説明できない状況になっています。むしろこの1週間でいえば、前週10月7日の米国10年債利回りの終値が2.3920%に対して日本国債新発10年物の利回りが0.855%ですからその差は1.5033%であるのに対して、週末15日のそれは前者が2.5597%(+0.1764%)、後者が0.875%(+0.020%)ですからその差は1.6847%とむしろ拡大しています。10年物国債の日米金利差でいえば、前週10月7日が直近の最低値でしたが、実際には8月末の1.4933%というのがこのところの最低値です。すなわち、10年債利回りの金利差水準からの議論ならば、現在は円安に動き始めていないとならないことになります。また金利差の絶対水準からならば、当時のドル円は84円台ですから10年債金利の動向からだけでは説明できません。

 ただ一方で、2年物の金利差で見比べると状況が違ってきます。米国のそれが0.3512%から0.3589%とわずかに+0.0077%の上昇であるのに対し、日本のそれは0.125%から0.134%と+0.011%と米国のそれよりも上昇しています。すなわち短期金利の動向で見るとより金利差は縮小したことになり、これが最近の円高の背景にあるということができます。何ともちまちまとした話ではありますが……。

■長期金利は市場が決め、短期金利は中央銀行が決める

 なぜ敢えて細かい話を申上げたかと言えば、市場が今注目しているのが米連邦準備制度理事会(FRB)の動きだからです。先週初の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の開示にしても、週末のバーナンキ議長の話にしても、要はFRBがさらなる追加的な金融緩和というカードをどこでどのように切ってくるかということに市場は注目しています。マクロの経済統計が市場の予想に反して悪いものでも、それがさらなる金融緩和へのインセンティブになると市場は見ているからですが、だからこそ、中央銀行が決める政策金利や金融緩和により影響を受けやすい期間の短い金利の動向にその影響が強く出ていると言えます。

 ただ一方で、10年債利回りのように期間の長い金利になると債券市場の需給が主たる決定要因となります。短期金利が低下する一方で長期金利が上昇しているということは、市場は目先のマクロ動向には眉を寄せながらも、先々の状況にはやや楽観しだしているということが言えます。「その程度の金融政策では駄目だ、効果がない」と踏んでいれば、長期の金利も上がりません。これが米国株式市場を11,000ドル台以上へと引き上げている要因でもあり、そうした楽観的な見通しですら、なかなかたたない状況にあるのが日本経済の現状ということができます。


(作成:楽天投信投資顧問)

<ドル円為替の1年間の動きと、10年債利回りの比較チャートです。-----------------------明らかに最近はこの金利差を反映した為替の動きになっておらず、市場がFRBの動向だけに期待を掛けているかがわかります。>

今週のポイント

■インテルの決算が好調だった

 前回『CEATEC JAPAN 2010』がとても興味深く面白かったということはご案内しましたが、その私の印象を裏付けるようなインテル(INTC)の決算が発表されました。いくつかポイントがありますが、ポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)が「PC業界が依然として今年18%の成長を遂げる方向に進んでいる。景気の二番底は予想していない」とコメントし「2011年はコンピューター販売にとって「かなり好調」な1年になる」との見方を示したことがまず挙げられます。同社が8月に消費者需要の低迷で7−9月期の売上予想を下方修正したために"ハイテク悲観派"が勢いづいていましたが、今回の決算の内容はこれを否定する内容となりました。

 また下記の3点についても注目しました。
1.PC Client Groupの売り上げは、モバイル向けマイクロプロセッサの記録的な売り上げを受けて、前期比3%増加した。
2.Data Center Groupの売り上げは、サーバ向けマイクロプロセッサの記録的な売り上げを受けて、前期比3%増加した。
3.『Intel Atom』マイクロプロセッサおよびチップセットの売り上げは3億9,600万ドルで、前期比4%減少した。

 マイクロプロセッサにも色々な用途に向けた製品があることはご承知の通りですが、まずデータセンターで使われるサーバ向け用途が伸びているということこそ、クラウドの流れが加速していることを示しています。『Intel Atom』はソニーが発表した『Google TV』にも使われるマイクロプロセッサですが、目先の需要はネットブックPCでした。これが新興国などを中心に爆発的に伸びてある一定水準の市場を掘り起こし、これがもう一段上のステップとなるモバイル向けマイクロプロセッサの記録的な売り上げを導いたと言えます。そしてそれらが全て繋がる先としてクラウドがあり、その需要に対応するようにサーバ向け用途が伸びているということです。ここにひとつの綺麗なアップストリームを見ることができます。

 『Intel Atom』を搭載したネットブックPCは、その価格帯からも現状は『iPad』と正面衝突するものであり、またスマートフォンなどともある意味では競合します。目先はこういう展開になることは当然のことであり、すでにその次のステージに向けた需要が動き出したということはとても明るいニュースだと思います。蛇足ですが、先日あるアンケート結果として「現在の『iPad』所有者の多くは、『iPad』を2台目のパソコンとしては使っていない」というものがあったのですが、これこそまさにその通り、新しい市場が創出されたことの証左であり、こうした流れを市場が認識する段階になれば、マクロとは違ったところで株価が動き出すこともあるだろうと考えます。

■続く米国企業の第3四半期決算発表に注目

 先週は前述のインテルのみならず、JPモルガン(JPM)やグーグル(GOOG)の決算発表がありました。JPモルガンの決算内容からは、米国マクロのひとつの懸念材料となっている住宅市場の見通しについて、貸し倒れ引き当てが減少していることが見てとれこれはひとつの好材料であり、またグーグルの決算からはオンライン広告の市場が回復し続けていることが証明され、悲観トーンばかりではないことが読み取れます。これらもあってNYダウは11,000ドル台を回復しているわけですが、今週も引き続く米国企業の第3四半期決算発表には注目したいと思います。

 今週の主なところは18日のシティ・グループ(C)、19日のIBM(IBM)、アップル(AAPL)、ゴールドマンサックス(GS)、20日がウェルズ・ファーゴ(WFC)、21日がキャタピラー(CAT)、マクドナルド(MCD)、AT&T(T)、そして22日のAMEX(AXP)、ベライゾン(VZ)といったところです。米国経済マクロを見ていく上でも欠かせない企業の決算発表が続きますのでご注目ください。

 日本の材料で、日本株市場に楽観できるというシナリオを簡単に描けないこと自体は忸怩たるものがあるのですが、外部要因の好転は見えて来ているように思われます。今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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