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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年10月4日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

10月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(10/1終値)
前週末比
(9/24比)
日経平均 9,404.23 -67.44 -0.71%
NYダウ 10,829.68 -30.58 -0.28%
金利・為替 週末終値
(10/1終値)
前週末比
(9/24比)
長期金利 0.955% -0.040%
ドル/円 83.22  
ユーロ/円 114.77  

2010年度上半期が終了、下半期には期待が持てるのか?

前週の総括

■期末のドレッシングはもう見られない

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。2010年度上半期末となった先週木曜日の株価は対前日比で△190円安となる9,369.35円。前期末の2010年3月31日の株価と比べると何と△1,720.59円もの下落、下げ率にして△15.51%の大きな下げとなりました。一方、同期間の米国株式市場はと言えば、NYダウはわずかに△68.58ドルの下落(△0.63%)、S&P500種が△28.23pts(△2.41%)、そしてナスダック総合指数が△29.34pts(△1.22%)の下落に留まっています。アジア市場のタイ市場やフィリピン市場の際立った上昇率と比較する気は毛頭ありませんが、じつは9月のNY株の上昇率も71年振りの高パフォーマンスとなっておりセンチメントの相当な改善を垣間見ることができます。日本市場はどうしてこうも情けない展開が続いているのでしょうか?

 米国はカレンダー・イヤー(CY2010などと書きます)といって1月が年度スタートのタイミングであり、日本のそれのように4月から始まるフィスカル・イヤー(FY2010などと書きます)とは締め日が違うため9月末は単なる第3四半期の終了でしかありませんが、日本は当然今年度上半期の業績集計の大切な節目となります。故に、かねてより「期末のドレッシング」という独特のお化粧買いが期待されやすい場面でもあるのですが、市場としての地盤沈下とともにそれもこの数年は全く見られなくなり、当然のように今年もそれはありませんでした。これも正論としては市場の正常化と捉えれば良いことなのだろうと思いますが、こうも米国とパフォーマンスで差がつけられると「ドレッシングでも何でも良いからしっかりしてくれ」と思わず言ってしまいたくなります。


(作成:楽天投信投資顧問)

<日経平均とNYダウのこの半年間のパフォーマンス比較。-----------------------日本市場が際立って出遅れていると一目で解ります。>

■為替介入水準に近づいてきた

 先週末のドル円為替の終値は83円22銭、83円33銭で終了した東京市場に続いてNY市場でも円高が進行、前回6年半ぶりの為替介入が行われた82円90銭台という水準が目の前に見えてきました。一方、ユーロは前週末比で約2円も円安となる114円77銭で終了、対ドルでは円高が進むものの、対ユーロでは円安と真反対の動きとなりました。ユーロは対ドルでも買われ、前週末の1.33ドル台から1.36ドル台まで買われており、8月末の1.26台からわずかひと月で随分と状況が変わってきたようです。FRBの「必要ならば追加緩和の余地がある」という発言が示すように、米国のさらなる金融緩和に期待が広がっていることが解ります。問題は日本がこの先、どう動くかです。

■世界中が中国を警戒し始めた

 尖閣諸島沖の中国漁船と巡視船の衝突問題を巡っての日中間の対立が多くの波及効果を生じ始めました。最も一番肝心なのは普天間問題に次ぐ民主党政権の外交交渉能力欠如の露呈なのですが、レアアースの対日輸出制限や、貿易通関作業の停滞など直接的に日本経済に悪影響を与える事態に発展したことでこれらの問題に対する市場の関心も弥が上にもにも高まってきたと言えます。その1つの証左が(現在集計中の)先週初からご協力を頂いた毎月恒例の個人投資家サーベイ楽天DIにあるのですが、注目の投資先という問い掛けに対して“中国”とした回答が激減しました。「この先、まだ何があるか解らない」という市場の警戒感だと思われますが、日中関係がこれ以上悪化すると実体経済への悪影響もさることながら、日本企業の中国との関わり合い方が今後必ずしもポジティブ材料ではなく、ある一定以上のリスク・ファクターとして評価される流れが出てくるかと思われます。

 その一方で、米国サイドからはこれを機に日米安保の重要性を再認識させ、普天間問題をも含めて日米同盟関係を早期に従前の密なるものに戻したいという意思表示と感じられるものが送られてきています。その1つが来日したグレグソン米国防次官補のコメントで「日本の対応を全面的に支持する」というもの、あるいは「日本政府は適切に行動しており、新たな措置が必要とは考えない」というものです。もちろん、現在の米国にとって最大の債権国である中国に対する配慮もあり「米国は領土の紛争が存在する場合、いずれかの立場を取ることは無い」とは付け加えられていますが、尖閣諸島の帰属については「1972年に沖縄県と一緒に日本に帰属した」などと明言してくれています。

 中国の存在感の増大は多くの国々で脅威と感じ始めるところが出始めており、レアアースに関してだけでも、米国でカリフォルニアの鉱山での採掘・生産を再開することが決まり、またオーストラリアも来年後半から生産が開始されることが決まりました。つまり中国依存を低下させようということですが、こうした流れを受けて、中国もやや態度が軟化してきた感じがありますが、日本の外交の稚拙さだけでなく、中国の脅威も世界が感じた出来事となったと思われます。


(出典:Bloomberg.)

<NYダウのこのリーマンショック前後からの株価推移です。-----------------------米国市場の動向は世界景気の先々を占う上でとても大事なファクターですが、かなり良い感じに回復してきていると言えます。>

■米国個人消費には回復の兆し

 1日に米国商務省が発表した8月の個人消費支出は季節調整済みの年率換算で10兆3,715億ドルとなり、市場予想の0.3%増をわずかに上回る0.4%増となり市場に好感されました。一方で、ISM製造業景況感指数については2カ月ぶりのマイナスとなる54.4となってしまいましたが、市場予想とほとんど変らなかったことから悪材料としての評価はあまり見られません。追加的な金融緩和への期待感の方が上回っているという感じです。

今週のポイント

■2010年度下期に日本市場は回復するのか?

 2010年度も下半期入りをしました。10,800ドル台を回復し、ギリシャ問題や欧州危機騒ぎによるダウンサイドもほぼ克服してリーマンショック前の水準が見えてきた米国市場とは裏腹に、日本市場はその回復の見通しさえも一向に立たない状況が続いています。売買代金はやや回復してきたかにも思われますが、先週も引き続き28日に1兆円を割り込む日があり、まだ安心して見ていられる状況には程遠いと思われます。

 最大の関心事は一義的には為替の動向です。企業の多くが設定している為替前提はドルが90円以上である一方で、市場の円高見通しは82円目前の現在でさえ払拭されていません。前回6年半ぶりに為替介入をした水準が見えるところまで押し戻された為替市場には、82円台に入るともう一度当局による為替介入があるかどうかを試そうという気配があります。日本だけの単独介入では限界があると既に言われている以上、サプライズのない次の介入にはかなりな疑問符があります。その介入が功を奏さなければ、市場はまず間違いなく80円台突破をトライする流れに変わるでしょう。そして株は売られます。

■日本の追加的金融緩和に期待

 市場が期待しているのは今週月曜日と火曜日に開かれる日銀の金融政策決定会合でFRB(米連邦準備制度理事会)と同じように日本もさらなる金融緩和についてどのような声明が発表されるかです。内容によっては単純な介入以上に円高阻止には効果があり、またデフレ脱却の糸口として評価される可能性もあります。ただその一方で「なんだ、結局は日銀も見ているだけか」と思われるようだと、次回のレポートには「15年振りの最高値更新となり…」という内容を書かないとならなくなるかもしれません。もちろん「円高の方が日本の国益に良い」という主張もあるのは事実ですから、それを評価する向きもあるかも知れませんが、ただ恐らくは株価は今の水準より下に居る確率の方が極めて高いと思われます。

■米国の雇用統計に期待したい

 週末には米国で雇用統計が発表になります。最近の新規失業保険申請件数の動向を見ているとあまり改善した内容に期待は持てませんが、もし市場の予想を上回る雇用者数の増加が見られると、米国の追加的な金融緩和の見送り観測に繋がり、この結果として円安に動くかも知れません。ただ11月2日に迫る米国中間選挙の事前予想などから、オバマ民主党政権は相当に景気対策に配慮しており、その意味においても追加的な金融緩和が実施される方向性の方が強く、直接的な効果は限定的になるかも知れません。

 米国市場においては既に共和党が下院で過半数を握るということは織り込まれており、仮に思惑通りに民主党政権が下院で過半数割れ、日本と同じように捻じれ国会となったとしても、これを材料にネガティブ・トーンになるとは考え難いです。例えば富裕層に対する減税案については、市場の世論は減税継続であり、むしろ民主党が負けなかった場合の方がダメージは大きいかも知れません。

■臨時国会の行方に期待したい

 「先送りしてきた重要政策課題に今こそ着手する」という菅首相の所信表明演説で1日より始まった臨時国会、この64日間の進捗と成果には期待したいと思います。恐らくそれは極めて難しい話だということは解っていますが、恐らく今後同じ捻じれ国会を抱えると思われる米国の政治に比べると、すでにあまりに日本国内の政治に対する期待値は低い。だからこそ、国会運営の難航があらためてダウンサイド・リスクになるとは余り考えられず、むしろ何らかのポジティブ・ファクターがあればそれがアップサイド・リスクとなるとも言えるからです。極めて天の邪鬼な見方ではありますが…。

 2010年度下半期に期待出来るかと聞かれれば、正直「ハイ」とは答え難いです。ただ「悲観に振り過ぎた反動」が起こる可能性までは否定しません。個別銘柄には面白い話も幾つか聞こえてきていますが、総論で楽観論を語るのは時期尚早と思っています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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