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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年8月23日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

8月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(8/20終値)
前週末比
(8/13比)
日経平均 9,179.38 -74.08 -0.80%
NYダウ 10,213.62 -89.53 -0.87%
金利・為替 週末終値
(8/20終値)
前週末比
(8/13比)
長期金利 0.925% -0.055%
ドル/円 85.62  
ユーロ/円 108.83  

“国が何とかしてくれる!”、そんな幻想は捨てた方が良い

前週の総括

■肩透かしを食った市場の期待

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。週末同士の定点比較ではわずかな変化にしかなっていませんが、17日火曜日に9,161.68円の安値を付けた後の市場は2連騰、木曜日にはほぼ高値引けの9,362.68円となっており、そして金曜日に急落して週の安値とわずか18円しか違わない水準で取引を終えました。この一週間に何があったかといえば、市場は政府・日銀から何らかの追加経済対策なり、追加の金融緩和政策なりが発動されることを期待し、そしてそれが単なる“淡い期待”でしかなかった事を知って再度失望売りに終わったということです。

■ついにGDP世界第2位の経済大国の看板を下ろす

 わかっていたことで特段の驚きもないはずですが、内閣府が16日に発表した我が国の4−6月期の国内総生産(GDP)は速報値ながらドル建てで中国のそれを下回り世界第3位の経済規模の国となりました。2010年度中のどこかで中国にGDPが抜かれるとはあらかじめ言われていましたので、結論からいえば「4−6月期だったんだ」ということでしかないはずなのですが、年度初めの四半期で追い抜かれるとは予想よりも早い気がします。ましてや円高=ドル安が騒がれる中でのドル建による比較で追い抜かれたのですから、1ドル95円や105円などの頃だったらもっと早かったのかも知れません。

 同じく実質国内総生産(GDP)の成長率が前期比で年率0.4%に留まったことが発表されました。民間の予測の平均値が1.9%ですからいかにこの数値が市場にネガティブ・サプライズであったかはお分かり頂けると思います。これを受けて株式市場は弱含むわけですが、ただ一方でこれを受けて「さすがに政府も追加の経済対策を考えることだろう」という期待を市場が抱き始めたという流れがおこりました。

■23日に菅首相と日銀・白川総裁が会談する!?

 17日は寄付きから9,100円台を割り込むような展開で始まり9,084.24円という安値を付けました。ただ「23日に菅首相と日銀総裁が会談する」と伝わると市場には追加の経済対策や金融緩和などによる円高対策への期待が拡がり、株価のバリュエーション的にもそこから下は売り難いこともあり、徐々に株価は戻して終わる展開となりました。ただ売買代金は月曜日が9,094億円、火曜日も8,962億円と極めて低迷しており、これほど夏枯れが続いたことは久しくありません。

 この間、実は米国株式市場は上昇しており、10,303ドルで終わった前週末に対して、現地時間18日水曜日につけた10,415ドルまで市場は回復しています。必ずしも全ての経済統計が市場を喜ばすものばかりではありませんでしたが、17日に発表された住宅着工が市場の予想をやや下回るものの3カ月ぶりに前月比プラスに転じ、また7月の鉱工業生産指数も2カ月ぶりにプラスに転じるなどすると市場はこれらを好感した形になりました。

■円は再び84円台へ

 前週12日に15年振りに対ドルで84円台をつけた為替市場ですが、再び19日には84.90円と前週の高値を上回る円高を記録しました。週末の終値こそ85.62円とやや円安になっていますが、週を通じておおよそ85円20銭から30銭の間をうろうろする感じとなり、時折為替市場で「日銀の臨時会合があるらしい」という噂が流れるとややドルが買い戻されるものの、結局は再び押し戻されるという展開が続きました。

■結局は何もなく、米国安につられて終わる

 市場が気にしているのは為替動向であり、これは米国経済の動向にリンクする金利の動きに左右されているということは過去に何度か説明してきましたが、その米国経済の動向を表す経済指標の代表格でもあるフィラデルフィア連銀の8月の製造業景況指数がマイナス7.7と昨年7月以来の低水準(市場予想はプラス5.2)となったこと、あわせて新規失業保険申請件数が市場予想よりも増加していたことが嫌気され米国市場は急落しました。米国市場の動向も一筋縄ではいかない様子ですが、今後のポイントは11月に行われる中間選挙です。恐らく民主党が議席を失い、共和党が議席を増やすといった流れになると思われ、それが来年の米国市場の流れを決める大きなポイントになるはずですが、いずれにしても中間選挙に絡んだ材料が今後の市場テーマと米国ではなって来るはずです。アノマリー的には中間選挙の翌年の株価は高いという傾向があり、すなわちここで多くのことを織り込んでいくということなります。残念ながら注目すべきは米国市場という流れは当面変わりそうもありません。

 
(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価の日中足5日分です。-----------------------週初に安値を叩きいったものの、政府・日銀への期待感からさらには下値を叩けず、むしろ一旦はショートカバーで上昇するものの、週末に臨時会合などないことが解ると再度売り込まれて終わったという感じです。>

今週のポイント

■民主党代表選までは多くを期待できる状態ではない

 市場参加者の多くが「何らかの経済対策、もしくは円高対策を政府・日銀が打ってくれるだろう」という淡い期待を抱いていると思いますが、それは残念ながら難しい、少なくとも市場が期待しているような内容のものは発表されないと考えておいた方が無難だと思われます。まず少なくとも、9月14日の民主党代表選まではその可能性は限りなくゼロに近いでしょう。

 いくつか根拠がありますが、まずひとつ目は「政治主導」を標榜するマニフェストに縛られている民主党は、財務相や日銀の主導による経済対策などを好まないという構造的な問題があります。つまり政治家はここで「なんだ結局は官僚たちのノウハウがなければ駄目なんだ」という官僚主導の絵は見せたくないはずです。

 一方、政治主導ということで現在の民主党政権が一枚岩で追加の経済対策を策定できるような状態にあるかといえば言うまでもなく答えは「NO」です。当然と言うのか、残念ながらというべきなのか、菅首相の周りと小沢派との対立による民主党の分裂状態は14日までは日毎高まるばかりで到底ひとつにはまとまりそうにありません。まとまったとしても、政治主導を演出したい同党には官僚組織と互角に渡り合える経済ブレインも不足しており、現下の財政難の状況で効果的な追加経済対策を打ち出すには相当時間が掛かりそうです。

 さらに残念なことに、すでにアップアップの財源を支えてきた“埋蔵金”も円高により目減りが著しく、やはり埋蔵金は埋蔵したままで掘り返せそうにない状態となってきています(そもそも埋蔵金頼みということ自体が問題なのですが)。つまりこれらを総合的に考えて民主党代表選までは早くても“お国からの策”というものは期待し辛いと思われます。市場がそれを猶予してくれるともなかなか考え難く、米国市場の回復(何らかの好材料で株価が上がるとすれば金利も上昇、日米金利差の拡大からやや円安に戻る可能性もある)という他力本願的な視点で推移を見守るということになってしまいそうです。

■もうひとつの爆弾、それは欧州

 前回もご案内しましたが、しばらく市場が安堵していた欧州経済の状況に黄信号が灯りつつあります。ドルとユーロのチャートを見て頂けると一目瞭然ですが、6月7日の1ユーロ=1.1876ドルという水準を底値に反転してきたユーロが8月6日の1.3334ドルを頭に再び下落しています。週末の終値は1.2711ドル、これはギリシャ問題などに揺れていた5月上旬の頃の水準と同じです。この問題に再び火がつくようなことがあれば、世界景気の二番底という話は更に現実味を帯びてくるかと思われます。

 
(出典:Bloomberg.)

<ドル・ユーロの一年分の日足です。-----------------------6月頭に底を打って反転してきていましたが、再び下落傾向になってきたのは明白です。これが何を示唆しているのか、考えると不安になります。>

■早く9,000円を割れるべきとも言える

 恐らく日経平均株価が9,000円割れを示現しない限り、国内世論も含めて円高も株安も大した問題ではないという認識(’90年にバブルが崩壊した時も、当初は「我々は、株式投資はしていない」と言う人は多かったですが、それがいかにミクロな視点かはその後明らかになりました)に大きく変化は起こらないだろうと思います。9,000円という水準は株価のバリュエーション的にもそう簡単には割り込むロジックを作り難いところではありますが、円高が進むことで企業収益が落ち込むことを考えると再計算が必要な水準でもあります。さらに心理的な要因なども含めて下割れしてしまうと売りがやや勢いづくことも考えられます。

 ただそうなった場合、さすがに党内権力闘争に明け暮れていることも政府与党もできないでしょうから、ショック療法という意味でも、一度9,000円を割り込んでしまうというのも良いのかも知れません。今後はオプション取引などが個人投資家にとって有効な投資手段となりそうです。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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