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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年7月20日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

7月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/16終値)
前週末比
(7/9比)
日経平均 9,408.36 -176.96 -1.85%
NYダウ 10,097.90 -100.13 -0.98%
金利・為替 週末終値
(7/16終値)
前週末比
(7/9比)
長期金利 1.085% -0.065%
ドル/円 86.54  
ユーロ/円 111.90  

選挙結果は過去の話、市場の注目は米国経済へ

前週の総括

■選挙結果は市場を動かさず

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。驚くべきなのか、あるいは当然というべきなのか、与党が地滑り的に過半数の議席をなくして衆参捻じれ国会となり、今後の法案審議が難航することが必至となった選挙結果を見ながらも、市場はまったくと言って良いほど動揺せず、選挙後2日間の取引を終えました。日経平均株価はわずかに上下100円ほど変動しましたが、それは選挙後にやや円安になったことで株が買われ、それが円高に戻したことで売られただけです。

 ただあらためて言いますが、菅首相が選挙前に与党民主党の勝敗ラインを54議席獲得としていたにもかかわらずわずか44議席獲得に留まり、また連立与党である国民新党に至っては1議席も獲得できないという異常事態は、本来であれば、もう少し市場が動揺すべきインパクトがあるはずの選挙結果です。それにも関わらず市場が大人しく推移した理由は2つ、1つ目は、市場が、例え捻じれ国会で法案審議が遅れようとも、各法案をひとつひとつ丁寧に審議すること(郵政改革法案を国民新党や社民党のわずかな議席で帳尻合わせした連立与党の数の議論で強行採決するようなことをしない)を期待したということ、そしてもう1つは、インデックスとの連動率の推移を見ても、今年に入って政治への期待値はすでにかなり低いレベルまで落ちていたという、この2つに尽きると思います。

■インテルの決算に世界中が沸き上がる

 米国では現地13日のNY市場引け後に注目企業の決算としてインテル(INTC)の決算発表がありました。前回も同社の決算に注目しましょうと申し上げておきましたが、それは期待を裏切らないどころか、極めて素晴らしい決算内容となりました。同社社長兼CEOのポール・オッテリーニ氏のコメントを引用すれば「最も先進的なプロセッサーに対する力強い法人需要に支えられて、42年間のわが社の歴史の中で、過去最高の第2四半期を達成することができました」と言わせたぐらいですから。

 これを受けた14日の日本株式市場は、朝から関連するハイテク株を中心に値を飛ばし、政治の話などどこへやら、日経平均株価は前日比プラス258円となる9,795.24円まで上昇し、一時は9,800円台をも回復しました。前日発表された大手アルミメーカーであるアルコア(AA)社の決算内容が良かったことも手伝い、インテルに限らず米国企業の決算が総じて良いのではないかという連想が働いたこともプラスに作用しました。

■米連邦準備理事会(FRB)が米景気足踏み懸念を表明

 この流れに水を差したのが、米連邦準備理事会(FRB)が発表した前回6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の内容です。「経済見通しがかなり悪化した場合、追加刺激策を考える必要がある」とあり、FRBが追加的な金融緩和策、すなわち現在0%〜0.25%としている政策金利の誘導目標上限をさらに引き下げることなどを考えていると市場は受け取っています。これを受けて短期金利だけでなく、米国では長期金利が軒並み低下し、週末現在10年物国債の利回りは前週末比0.1305%となる2.9215%にまで低下しています。この間の日本の同期間の金利推移は、そもそもすでに1%ギリギリで糊代も少ないこともあり、その半分程度の0.065%の低下に留まった結果、日米の金利差が(0.1305%−0.0650%=0.0655%)も縮まったことになりました。当然こうなればドルが売られて円が買われるという流れが起こり、為替は円高となり、週末終値は86.54円となっています。

■7月ミシガン大消費者マインド指数:昨年8月来最低

 現地時間16日に発表になった米消費者マインド指数が1年ぶりの最低水準となりました。経済の大部分を占める個人消費が勢いを失いつつあることが示唆され、米国株式市場が急落して週末を迎える要因となりました。週末のNYダウの終値は前日比△261.41ドル安となる10,097.90ドルでインテル効果を全て吐き出して余りある結果となってしまいました。これによると7月の消費者マインド指数(速報値)は66.5と、前月の76から低下、これは2009年8月以来の最低水準であり、最も悲観的なエコノミストの予想をも下回ったようです。

 実はこの前日に発表になったニューヨーク連銀及びフィラデルフィア連銀の景気指数が揃って低下、景気判断の分かれ目となる5に対して前者が5.1で後者が5.05となったことが景気に対する弱気感を誘っていただけに、消費者マインドを示す同数値の結果は市場センチメントを冷やすのに充分な効果があったように思われます。

■米国企業決算の状況

 アルコアやインテルの決算が市場予想を上回ったことは先に触れましたが、週末発表になったバンク・オブ・アメリカ(BAC)やシティグループ(C)やゼネラル・エレクトリック(GE)は1株利益の段階では市場予想を上回ったものの、トップライン(売上)が市場予想に届かず、軒並み下落する展開となっています。またグーグル(GOOG)の決算内容も利益が市場予想を下回ったため7%以上の下落と市場は決算に対して厳しい目線を向け始めています。

 
(作成:楽天投信投資顧問)

<連銀景気指数の推移。-----------------------通常、ニューヨーク連銀の指数よりもフィラデルフィア連銀の指数の方が重視されますが、明らかに両方が下がり基調になり、景気判断の分かれ目となる5に届く展開となって市場は自信を失っています。>

今週のポイント

■米国企業の決算発表と為替に振り回される展開続く

 今週も引き続き米国企業の決算発表には注目が集まります。現地時間19日にはIBM(IBM)やテキサス・インストルメンツ(TXN)の発表があり、20日にはゴールドマン・サックス(GS)やアップル(AAPL)の決算発表があります。こうした世界の有力企業であり、米国景気の回復感を占う上で試金石となる企業の決算発表は必然的に市場の注目を集めるものと思われます。

 さらに今週は、20日に米国住宅着工件数が、22日には6月の中古住宅販売件数が発表になります。先月の発表分は住宅取得減税の駆け込み需要とその反動が明らかになった米国住宅関連統計の発表ですから、注目を集めます。住宅投資はそれ自体も重要ですが、通常は住宅取得と合わせて耐久消費財である電化製品などを一緒に購入するケースが多く、消費のリーディング・インディケーターとしての意味も強く持ちます。これは万国共通なことで、住宅取得層が活況であることは、自ずと消費が元気になるというシナリオが成り立つからです。

■日本企業の決算発表もそろそろ始ります

 日本でも22日頃から4−6月期決算の発表が始まります。事前予想は数量面でポジティブな状況が予想されているものの、為替の影響がどの程度企業収益にインパクトを与えているかが大いに注目されるところです。多くの企業がドルは90円−95円、ユーロが120円−125円で今期の予想をスタートさせていますから、どちらもかなりな円高デメリット(為替差損)が出ることが予想されています。ただ上期分程度の為替予約は済ませてあるという企業も多々ありましたので、中にはポジティブ・サプライズがあるかも知れません。そしてさらなる注目は下期以降の為替前提だと思います。またトヨタ(7203)やホンダ(7267)の中国工場でのストライキに示されるように、安い人件費を求めた先々でのコスト上昇がどの程度企業収益に悪影響を与えているのかも注目したいところです。

■半導体産業は元気なまま

 しかしその一方で、明らかにハイテク産業、取り分け半導体産業の収益環境はこの数年間では想像できないほどに改善してきています。米国の調査会社が14日に発表した4−6月期のパソコン世界出荷台数は前年同期比プラス22%増、インテルの決算発表カンファレンスで示された同社CEOのコメント同様、欧州景気のネガティブな影響が懸念された環境でしたが危惧に終わったという感じです。

 問題のひとつは市場関係者のセンチメントがどうも自信喪失というか心配性に陥っている点ではないでしょうか?日本市場の投資家が株式などの価格変動リスクに対して過度にナーバスになっていることは今に始まったことでないですが、世界的にマイナス思考が強くなっているように思われます。

 インテルの決算発表、市場はこれで過去9四半期も予想が外れたことになります。それも常に見通しの方が実際の結果を下回るということで、いつも弱め弱めに予想していることになります。それでもまだ負けを認めず頑なに弱気を言っている米国のアナリストがいました。芸術的な屁理屈の域にすでに達している気がしましたが……。例えば、同社の決算が冒頭のポール・オッテリーニ氏の発言にあるように「法人需要」に拘った形で発表されると「個人需要は盛り上がっていない!」と論評するわけです。しかしその翌日に発表されたアドバンスド・マイクロ・デバイス(AMD)は品揃えが個人需要に強いメーカーですが、その決算内容も個人の需要が盛り上がっていることを裏付けるものでした。さて、この先彼はどう理屈づけるのか? 10回連続で予想を外すことにまっしぐらと思っている人も多いと思います。

 また今話題のスマートフォンや『iPad』と言ったものはどう考えても個人です。なかには医療法人などで『iPad』をまとめ買いというところもあるかも知れませんが、それは実需の数%の範囲だと思います。そして通常の『ネットブックPC』に比べると、『iPad』に搭載される半導体の数は60%増にもなると、今週行われているセミコン・ウェストで世界最大の半導体製造装置メーカーであるアプライド・マテリアルズ(AMAT)のCEOがコメントしています。台湾企業で世界最大の半導体受託生産会社である台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)は16日に半導体生産能力を2割増にすると発表しました。これは日産自動車がSTマイクロ製半導体の供給不足からラインストップに追い込まれた今の状況とぴったりと一致します。

 予想が外れたり、ネガティブ・シンキングが終わらないひとつの大きな理由は「使っていない知ったかぶりが多い」というのがあると思います。ハイテクのことを論評する立場にある市場関係者の発言で『iPad』を電子書籍の亜種ぐらいに論じる人を見ると驚きを禁じえません。話を聞いていると「持っていない」ようです。インターネットや携帯電話の普及初期も同様でしたが、使ったことがない人に限ってだいたいネガティブなコメントを発します。ただそれはこの先の潜在需要の保証とも言えるので嬉しい限りなのですが、そういう目線で今を見ると、投資対象はいろいろと見えてくるような気がしています。投資アイディアはいくらでも膨らむのですから、アクティブ運用のファンドマネジャーには個別銘柄の選定も、本当はとても楽しい時期なのだと思います。あとは必要な事前調査をして銘柄を絞り込むだけですよね。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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