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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年7月12日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

7月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/9終値)
前週末比
(7/2比)
日経平均 9,585.32 +381.61 +4.15%
NYダウ 10,198.03 +511.55 +5.28%
金利・為替 週末終値
(7/9終値)
前週末比
(7/2比)
長期金利 1.150% +0.055%
ドル/円 88.62  
ユーロ/円 112.02  

市場は選挙結果を前向きに受け止めたと思われる

前週の総括

■身動きが取れないのか、魅力がないのか?

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。前週末(7月2日)に発表された米国雇用統計を受けた米国市場の反応が穏やかだったこともあり、また週初は米国市場が独立記念日で休場となったことも手伝い、落ち着いた滑り出しとなりました。6日の寄付き直後は為替がやや円高に推移したこともあって日経平均株価で9,100円台を割り込む場面も見られましたが、それ以上に大きく売り込まれることもなく、中国市場などの動向を見ながら株価は底練りを続ける感じとなりました。

 水曜日のNY市場がステート・ストリート銀行の収益予想発表を受けて銀行株を中心に急騰すると、続く木曜日の日本市場も回復、日経平均株価の水準は9,500円台を回復しました。週末金曜日は日経平均オプションの単独SQとなりましたが、大過なく通過したという感じです。むしろSQ清算日であったにもかかわらず売買代金が相変わらず低調に推移する今後の日本市場の動向に中々光明が見えない状況であったと言えます。結局は外部要因だけに振り回される主体性のない市場動向が続いています。

■選挙前でもあり動きが鈍る

 当然にしてその理由の一つは週末に行われる参議院選挙の趨勢を見極めたいというものであると推察できます。ただ果たして現在の市場がどこまで本質的に政治問題を気にしているのかは疑問がないわけでもありません。ただ「選挙結果を見るまでは動けない」という様子見を決め込む理由には最適な材料であることは確かです。機関投資家の多くが行ういわゆる“ベンチマーク運用”の場合、そのベンチマーク通りのパフォーマンスを上げている限り成績は可もなく不可もなくということになりますので、インデックス並みのポートフォリオにしておけば、無理に勝負を挑む必要がなく「様子見」を続けることが容易です。その意味でも、前週末に米国雇用統計発表があり、週末に参議院選挙があり、翌週から米国企業の決算発表開始を控えている先週は売買代金も減少して盛り上がらないという読み通りの展開になったと言えます。

■円安が下値を支える

 様子見気分が強まる中で下値を支えた一つの理由は“円安”です。ドル円のレベルは87円台が88円台になった程度でたいしたことないですが、ユーロについては108円台を見ていた前週に比べると111円台や112円台とだいぶ円安に戻した気がします。5月初めまでは120円台もつけていたユーロですので、112円といえどもかなり円高なのですが、目が慣れるということは恐ろしいものです。円安の理由としてはいろいろな解説が為されていますが、ひとつの見方としては「G20で財政問題がお味噌になった国」の通貨が売られたという面を指摘しておきたいと思います。少なくとも国際的にG20参加国の中で、日本だけは横並びで財政赤字削減計画を論じるのが難しいほどに財政状態は“複雑”なんだと市場は認識したはずですから。

■中国が日本の債権国になりはじめる

 米国債の最大保有国になった中国が、今度は欧州債への振り向けを日本国債に変えているという報道がありました。5月に中国政府が購入した日本国債の額は7,352億円で1〜4月の総額5,410億円をも上回ったというものですが、財務相が6日に発表した9日発行の第309回債(10年物新発国債)の発行予定額は2兆2,000億円でしたから、5月に中国政府が購入した7,352億円の規模感はご想像の通りです。すなわち同じペースで中国政府が購入しているとすれば、日本の10年国債の新規発行の3分の1以上を中国政府が購入していることになります。その後の数値は発表になってみないと解りませんが、これを「外国政府が日本国債を評価して買ってくれている」と手放しに喜ぶとすれば、それはあまりに早計なことに思われます。

 すなわち、今現在の「G20でお味噌になった」日本の財政赤字が大問題にならない理由は、国債の消化の95%が国内で賄われているからというロジックのはずですが、見事にそれが足元で崩れています。それも数%の誤差というレベルではなく、です。この傾向が仮に今後も続くのだとすれば、日本国債も当然世界の他の国のそれと同じように、格付け機関による信用評価などのリスクに動揺に晒されるようになります。それは目先の話ではないかも知れませんが、少なくとも日本の次世代にはリアルな話題になる可能性が大きな話だと思います。少なくとも「お味噌」のレッテルは早く返上しないとなりません。

■半導体需要が絶好調

 かねてよりハイテクの高い将来性をお伝えしてきましたが、その裏付けをするかのように米半導体工業会(SIA)が6日発表した5月の世界半導体売上高は前年同月比48.6%増の247億ドルで過去最高となりました。背景には当然のことながら、パソコンやスマートフォン、あるいは薄型テレビなどの売上好調がありますが、中国やインドなどの新興国でのハイテク機器の需要がそれを押し上げているというのが大きな特徴です。従来のキードライバーは、パソコンであったり、それがデスクトップからノートになったりとか、あるいはネットブックが伸びているとか、さらには薄型テレビが牽引しているなど従来はデバイスのトレンドによるドライブが大きかったのですが、今の特徴は地域性です。すなわち、生活水準の変化自体がデバイス・オリエンテッドの需要の流れから、全体パイの嵩上げに繋がっているということです。これは先月発表になったノキア(NOK)の決算内容とは一見すると矛盾する話のようにも思われるかも知れませんが、新興国の需要水準がレベルアップしているという視点に変えると極めて理路整然とした流れと読むことができます。そして、それは同時に少しでもハイエンドに強い日本企業にとってはプラスな流れということが言えます。

■13日発表のインテル決算に注目

 今週から米国企業の第2四半期決算の発表が始まりますが、中でも注目したいのが13日に発表される世界最大の半導体企業でもあるインテル(INTC)の決算内容です。市場は記憶の限りでも過去8四半期は同社の決算見通しを見誤っています。常に過小評価してきました。つまり市場が織り込んでいた決算見通しよりも、実際に発表された内容の方が良かったということです。ネットブック向けに開発された『ATOM』というプロセッサーの需要を読み間違えたり、『Windows 7』の登場にも刺激された『Core i7』などのインテルの新プラットフォームの需要などを読み違えたりということが続いていますが、今回の発表も設備投資計画なども含めて要注目です。どこに資金が流れ、どこにニーズがあるのか、技術革新と消費者ニーズは沿っているのかなどです。

 

<SIAが発表した世界の半導体の売り上げ推移です。-----------------------5月が過去最高になっていることが解ります。前年の急激な回復の影響もあり対前年比の伸び率は鈍化したように見えますが、これは大きな趨勢判断には影響するものではないと思っています。>

今週のポイント

■与党の過半数割れを市場はどう評価するのか?

 昨晩からの報道でご承知の通り、参議院選挙の結果は与党民主党が大敗し、野党自民党が改選第1党になるという結果に終わりました。選挙前からある程度は予想されていたこととは言え、あらためてその結果を突き付けられてみると、市場が今後これを受けてどう動くのかというのは興味が尽きない話です。

 結論からいえば短期的には「不透明要因が増えた」と捉える指摘も増えるかも知れませんが、中長期的には日本にとってはプラスの話になったと考えています。たとえそれが捻じれ国会になって法案がなかなか決まらない状態になったとしても、です。つまりこの結果は今回の参議院選挙単体で捉えるべきものではなく、昨年の衆議院選挙と一体に捉えるべきものだと考えているからで、長く政治に不感症になっている市場と政治の関係が改善する流れの中にあると考えているからです。

 前回の衆議院選挙では民主党が圧勝しました。そして記録的とも言える支持率で誕生した鳩山内閣でしたがあっという間に人気も剥落し、現在の菅政権へと続いてきます。マニフェスト選挙と言われていましたが、内容は国民が民主党を支持したというよりは、長く続いた自民党政治にNO!を突き付けたということで、実は民主党のマニフェストが支持されたからの圧勝ではなかったということです。その認識のないままに民主党政権が行った政治、さらにはマニフェストに掲げた通りのこともできず(例えば歳出カット)にダッチロールしてしまった普天間問題など、今回国民はそれらを受けて民主党政治にNO!を突き付けました。ご承知の通り、市場はとうの昔に政治問題には左右されなくなっています。というより、半ば諦めムードで傍観していると言えるでしょう。

 今回も決して自民党が支持されたわけではないだろうと思います。それは第三局とも言われた新党の一つ“みんなの党”が躍進したことからも窺われます。捻じれ国会になって、法案審議も難航することが予想されることも承知の上で、国民はこの事態を敢えて選択したのだと思います。きっとひとつひとつの法案に対して、難航しながらも今までよりは丁寧な議論が尽くされるのではないでしょうか?少なくとも、数合わせの論理のみでゴリ押し強行採決などということはできなくなるのですから。日本の将来世代の為にとって本当に正しい選択とは何なのか、今の国情が時間的な猶予がある状況とは思えませんが、それでも拙速に走らずに議論を尽くすという流れに変わる可能性は、中長期的に見れば市場にとってもプラスの流れだと考えます。

 法案審議が遅れ、さらに国民のフラストレーションがもし溜まるとするならば、それは衆議院の解散を早めることになるのかも知れません。ただそうやってでも、今の日本は変わっていかないとならない段階に来ているのだと思います。坂本龍馬でさえ日本を変えるのに1年や2年ではない歳月を必要としました。外国人投資家の目線は、この状態を日本人がどう捉えるかに注がれている気がします。それはやはり日本を理解しているのは日本人でしかないからです。市場の初期反応は、ゆえに重要だと思っています。

■選挙後初日、市場は捻じれ国会さえも材料視せずか?

 与党民主党が大敗し、この先捻じれ国会で法案審議も停滞するだろうという状況の中で迎えた選挙後初日の日本株式市場は、高値と安値の差が僅かに100円程度、売買代金も僅かに1兆円を上回る程度という状況で終わりました。すなわち、政治への不感症的な状況は選挙後も変わらなかったということです。ただ、これは朗報だと考えています。現政権の基盤を揺るがしても不思議ではないこの事態に、株式市場は冷静に反応したということは、前述した通り、市場はこの先のもたつくことは覚悟の上で拙速な法案審議・決定を望まずに日本があるべき姿に向かうことを望んだともいえるからです。また隣国中国や韓国のメディアのみならず、世界中のメディアが民主党の大敗を報道したにもかかわらず、動ぜずに済んだということは寧ろ市場(外国人投資家)からの期待値をも感じます。良い方向へ向かうことを願うばかりです。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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