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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年6月21日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

6月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(6/18終値)
前週末比
(6/11比)
日経平均 9,995.02 +289.77 +2.99%
NYダウ 10,450.64 +239.57 +2.35%
金利・為替 週末終値
(6/18終値)
前週末比
(6/11比)
長期金利 1.200% -0.030%
ドル/円 90.70  
ユーロ/円 112.35  

『iPhone 4』、予約殺到で受付中止!これが今のスマートフォンの需要だ

前週の総括

■欧州債務危機は和らぐ

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。週の初めにMoody’sがギリシャ国債の格付けを投資不適格であるジャンク級にまで引き下げたことを受けて欧州債務危機問題が再燃することも危惧されましたが、NY株式市場がややネガティブ・リアクションを起こしただけでその後は特に材料視されず、むしろユーロに買い戻しが入る流れがこの一週間の市場動向を左右したという感じです。ユーロは6月7日につけた安値1.1876ドルを底値に、この週末には1.2387ドルにまでほぼ一本調子で回復、溜まっていたユーロのショート・ポジションの巻き戻しが相当量入ったように見てとれます。

 こうした流れが資本市場全般にリスク許容度を高めたともいえ、NYダウはこの一週間だけでも240ドル近い上昇となりました。ただ一方で日本の株式市場にとって大変気掛かりなのが売買代金の急減です。外国人投資家が売り越しているとの報道もありますが、週初14日の売買代金は3月1日以来となる1兆円割れとなり、その後も極めて低調な水準で推移し、日々の平均の売買代金は1兆1,118億円と極めて低調なままで週末を迎えました。5月月間の1日当たりの平均売買代金が1兆7,424億円ですから約2/3にまで低下したことになります。あわせてボラティリティも週末には急低下しており、私が日頃からウォッチしているヒストリカル・ボラティリティ(10日間)は週初の33.6から一気に17.5まで低下しています。これ自体は直ぐに何かを示唆するものではありませんが、市場が極めて“面白くない”状態になっていることだけは確かです。

■ユーロは円安、対ドルでは円高、米景気回復にやや?マーク

 このところ市場が「円高、円安」と表現する時の対象通貨はドルではなく、ユーロという傾向が強くなっていました。それは円とドルの関係はユーロとの関係に比べて変化幅がとても限られていたからでもありますが、今週ユーロは対ドルでも対円でも買い戻しが進む一方で、ドルは対円でも売られてやや円高が進みました。それはこのところ発表になる米国の経済統計に米景気回復のテンポにやや疑問符を投げ掛けるようなものが多くなったからです。

 たとえば米国商務省が16日に発表した5月の住宅着工件数は市場予想の約65万5,000戸に対して46万8,000戸と大きく落ち込み、減少幅は2009年5月以来のものとなりました。4月末に期限切れとなった住宅購入減税制度の駆け込み需要の反動ということで、問題視しない見方もありますが、今週発表になる中古住宅販売件数や新築住宅販売件数には注目が集まるところです。

■中国人民元の弾力性を強化?!

 報道によれば、中国人民銀行が19日「人民元相場の弾力性を高める」とする声明を発表したとあります。ただ内容を見ると1日の変動幅の容認レンジは前日比0.5%以内という従来方針を変更せず、また切り上げを伴うものではないので、単純にまずは2008年7月以降金融危機モードの中で復活させたドル・ペッグ制を解除するということに留まります。当然40%も過小評価されているという論陣があることですから、やや切り上がる方向で動くのだろうとは思いますが、人民元レートの参照する先はドルを含む11通貨のバスケットであることがこの先重要になってくると思います。また中国にとっての主要な輸出先が欧州圏であり、また米国債の最大の保有者ということから鑑みると、米国債金利の水準(10年債で3.3%前後で推移)から考えても、人民元切り上げが仮にあったとしても3−5%程度が最大幅と見るのが妥当なのではないでしょうか。米国から催促されればされるほど、中国政府も頑なになるという傾向も踏まえておく必要があると思います。まずはG20(20カ国・地域首脳会議)に向けてどうなるか注目です。

■『iPhone 4』、予約初日に60万台

 『iPad』市場投入の興奮もまだ冷めやらぬままに15日に予約を開始した『iPhone 4』ですが、初日に60万台を超える予約を受け付けたと報じられると、早くも3日後の18日には予約受付中止と発表されました。4月に市場投入になったドコモのスマートフォン『Xperia™』も申し込み中止にこそならなかったものの、当初は相当な予約待ちを強いられており、『iPad』ともあわせて、最近の相次ぐスマートフォン(『iPad』は、スマートフォンではないですが)の市場投入実績を見ている限り、消費者のニーズはメーカーの予想を遥かに上回るところにまでヒートアップして来ているように思われてなりません。これは同時に株式市場などの予想についても同様で、私の様なハイテク楽観論者でもない限り、多くの市場予想モデルはこの辺をまだまだ過小評価しているように思われます。

■ノキアでさえ、スマートフォン市場を読み誤った

 その象徴となったのがフィンランドの携帯電話の巨人、ノキア(NOK)が先週発表した決算コメントだと思われます。16日に発表になったノキアの決算を一言で概説すれば「市場のニーズがスマートフォンに大きく動いているにもかかわらず、その対応が極めて遅れているため惨憺たるものになった」というものです。ご存じの通り、ノキアと言えば携帯電話の世界では“世界の巨人”でした。とりわけ、新興国市場が携帯電話の有望な市場となるにつれ、高機能と独自の通信規格に拘ったガラパゴス島に留まる日本メーカーを尻目に、機能を絞った廉価モデルの投入などで韓国サムソン社と競合しながらも世界市場を席巻することに成功した携帯電話メーカーの覇者です。その同社でさえ消費者ニーズの変化とそれに基づく市場見通しを商品開発に生かし切れずに失敗したということです。同社が現在慌ててスマートフォンの市場に舵を切っていることは事実ですが、現時点で見えている限り(8月に新モデルを投入予定ですが前評判は……)では先行する各社のモデルに追いつくにはまだ時間が掛かりそうです。ビジネスの最前線で顧客ニーズを汲んで新商品開発に繋げているはずでも、見極め切れない時もあるという盛者必衰の理を表すという証左にも思えます。

 
(出典:Bloomberg)

<ユーロの対ドルチャートです。-----------------------最安値となった1.1876から切り返し始めてのトレンドは、今現在一本調子です。>

今週のポイント

■スマートフォンと携帯電話

 「スマートフォンと携帯電話は何が違うんですか?」とよく質問を受けます。確かに日本の“何でも機能てんこ盛り”の高機能携帯電話を利用している人にとっては、スマートフォンの機能を言葉で明確に定義づけしてその差別化を説明するのは難しい作業です。ましてやこのメルマガの様な媒体で、それを書き文字として説明するのは、美味しいお料理の匂いの解説を試みるようなもので、まず不可能に近いと初めに降参しておきます。ハードウェアのスペックだけの比較を試みたら、まずまだ間違いないく高機能携帯の方が機能は上だと思われますから。カメラも、テレビも、GPSも、あるいは携帯音楽プレイヤーとしての機能や防水機能など、カタログ上のスペック比較をしたら絶対に高機能携帯の方がレベルは上です。プロセッサーの周波数も双方1GHz程度にいるはずですし、最近では無線LANモジュールをMicro SDカード・サイズにした後付け(auモデル)まで登場しているのですから、これらが差別化要因にはなりません。

 スマートフォンとは言えませんが、『iPad』が何故これほどまでに世間の注目を集め、人気沸騰しているかという理由を考える時、その答えの一つが見えてくるように思われます。『iPad』のハードウェアとしてのスペックは決してずば抜けて高いわけではありません。ただ実際に手にして使いだしてみる(初回出荷となった5月28日より手にして使っています)と、これほどユーザーの今現在のニーズに合致したものも少ないのかも知れないと実感します。このゴールデンウィークにネットワーク環境を一新し、無線LAN環境もパワーアップした我が家(IEEE802.11n方式も対応したハイパワーの無線LANルーター、引き込みは最大200Mbpsの『Flet's光ネクスト』です)にいる時は、ほぼ朝起きてから寝るまで、(誇張でなく)肌身離さず常に持って歩いているくらいです。視点を変えてその理由を考えると、高機能携帯やハイスペック・パソコンを利用する時に今までは暗黙の了解で我慢していたものが『iPad』によって解き放たれたということを実感しているからかも知れません。

■タッチパネルの優位性

 人間は生まれたての赤ちゃんの頃から、まず興味のあるものは実際に自分の指で触ってみるということから始めます。その後、口に入れてしまうので問題が大きくなるのですが、まず実際に「触れる」ということへの本能的な欲求というものは大人になっても高いと思います。例えば、紙焼きの写真の表面は「平らで滑らか」であることが解っていても、古い写真を見て想い出にふけるような時、気がつくとふと無意識に写真の表面を触っているみたいな時はありませんか?

 パソコンも携帯電話もキーボードが入力手段です。一方、スマートフォンも『iPad』もタッチパネルが基本です。そこ(モニター)に映し出されているものに触り、位置を動かしたり、大きさをちょっと変えたり、指先が画面の上で大活躍します。それは極めて直感的な行為です。ブラインドタッチができるとかできないとか、見ないでも親指一本で打てるとか打てないとか、そんなこと関係なく、見えている通りに触ればいいというのがタッチパネルです。使い方を何も教えていないのに小さな子供でも直ぐに使えるということがその何よりの証です。

■パソコンの普及もユーザー・インターフェースの進化がカギだった

 パソコンが一般の生活の中で市民権を得たのは『Windows 95』(実際にはWindows 3.0というのがありましたが)のお陰だというのは議論のないところだと思いますが、その理由は画面上のアイコンを、マウスを使ってクリックするという使い勝手の良さによるものです。それ以前のパソコンの画面は「C:>」だけという無味乾燥なもので、そこに『123』とか『TARO』とかコマンドを入力してアプリケーションを立ち上げないとなりませんでした。今のそれのように、画面上のアイコンに直感的にマウスでカーソルを動かしてクリックすれば良いというものに比べれば、ハードルが一段高かったのは事実です。

 今の人たちはマウスを使ってカーソルを動かすことには何の違和感もありません。というより、それに慣らされてしまったのだと思います。ただ机の上でマウスを水平移動させた結果が、画面上(垂直)で動くというのは、考えてみれば不自然です。でも今や慣れてしまって何の不思議もない。ただ画面に表示されているものを直接指で触るということと比べたら、その直観性は比べ物になりません。会社のどのパソコンのモニターにも、指で触った跡があります。きっと誰かとモニターを見ながら話し合う時など、指をさしたのだと思います。その直観を取り入れたのが、『iPhone』であり、『iPad』です。そこからスマートフォンの時代が始まったといえます。

■まだまだ“Just the beginning”

 OSの立ち上がり時間などまだまだ議論はたくさんあります。確かなことはまだこの新しいユーザー・インターフェースの流れは始まったばかりだということです。今月初めに台北で行われた『COMPUTEX TAIPEI 2010』でも多くの新商品アイデアが発表になっています。これらに突き動かされるように、トラフィックの増大(ARPUの向上に繋がる)に対応するため大手携帯キャリアが携帯基地局の大幅増設を発表しました。この流れは当分止まらないだろうと思われます。実に楽しくなってきましたね。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪前週末対比+239.57ドル!引き続き、上昇するNYダウに注目≫

■NYダウに採用されている米国の主要な株式30銘柄へ投資

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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