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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年6月14日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

6月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(6/11終値)
前週末比
(6/4比)
日経平均 9,705.25 -195.94 -1.98%
NYダウ 10,211.07 +279.10 +2.81%
金利・為替 週末終値
(6/11終値)
前週末比
(6/4比)
長期金利 1.230% -0.035%
ドル/円 91.65  
ユーロ/円 111.01  

注目すべきはハイテク株、これで決まり!

前週の総括

■新内閣支持率回復は市場評価とは別

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。週初、ユーロの信用不安問題がギリシャやスペインの南欧諸国から中東欧のハンガリーにまで拡がったことを嫌気してユーロが1.19ドル台(対円では108円台)にまで下落すると、日経平均株価も寄付きから急落、今年最大の下げ幅となる前週末対比380円39銭(△3.8%)の下落を演じました。

 一方、そんな株式市場の動向とは関係なく、永田町では第94代61人目の内閣総理大臣に就任した菅直人民主党代表が組閣を開始し、一部の閣僚を除きほとんどの新内閣の顔ぶれが月曜日早々に決定されました。しかし7日に発足した菅内閣で郵政・金融担当相に正式就任した亀井国民新党代表が、11日には早くも辞任を表明、連立の枠組みの弱さを早くも露呈した形となりました。党首が閣僚を罷免された社民党の連立離脱から始まった首相交代劇は、新首相誕生後に残る国民新党の党首辞任という形に発展しましたが、参院選後も連立は維持されるという永田町的論理で幕を引こうとしています。背景にあるのはすべて来月に予定されている参議院選挙。民主党が代表交代劇をわずか3日で決着させたのも選挙のためなら、亀井氏の辞任もそのためであり、また考え方が違う国民新党が連立に残ることを認めるのも選挙のため。60%台にまで回復したと伝えられる内閣支持率とは裏腹に、日本経済のため、国民のためになるものとは市場はあまり受け止めていないかに見えます。

 その証左がこの一週間の株価推移です。もちろんベースにはユーロ動向が不安定だったという国外事情による企業収益面でのマイナスインパクトが足枷になったということがありますが、新内閣発足の“ご祝儀相場”がまったくなかったことがそれを端的に表しています。週末金曜日こそ対前日比で162円高となったものの、週初の下げ分を半分も埋めきることができず、また上昇の理由はこれまた国外事情の米国株高とユーロ高に尽きるからです。

■中国の5月輸出額48.5%増 伸び率2カ月連続拡大

 中国税関総署が発表した5月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比48.5%増の1,318億ドル(約12兆円)となり2カ月連続で伸び率が拡大しました。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は195億ドルの黒字で2カ月連続、3月に一度貿易赤字になりましたが、その後は再び回復が明確になってきました。

 市場では中国の最大輸出先である欧州の信用不安、ユーロ安の進行で、どの程度中国経済がダメージを受けているかが危惧されていましたが、5月のEU(欧州連合)向け輸出は前年同月比49.7%増と、4月(28.5%増)より伸び率が高まり欧州信用不安の影響は今のところ出ていないことが確認されました。これを受けて10日のNY株式市場は前日比273ドルも上昇、その勢いが前述日本市場週末の162円高に繋がるものとなりました。

■ユーロが安値からリバウンド

 ギリシャ問題に始まった欧州の信用不安ですが、南欧圏の問題に留まらず、ことはハンガリー(中東欧圏)へまでも拡がっているとのショックがダメージとなり、ユーロは対ドルで一時1.1876ドルとユーロ導入時の1.18を間近にみる水準にまで急落しました。

 しかし中国の貿易統計により、欧州景気に対する過度の悲観論がやや落ち着くとともに、ECB(欧州中央銀行)が10日政策金利を現状の1.0%に据え置くことを発表したことにより買い戻しが入り、対ドルで1.21ドルの水準を回復、対円でも108.07円まで売り込まれたこともありましたが、111円台まで買い戻されて週末を迎えています。

■やはりテックが強い!米国株式市場

 週末の米国株式市場の動きを見ていると、やはり注目はハイテク株、この一言に尽きると思わずにいれません。金曜日寄付き直後のNY市場は米商務省が発表した5月小売売上高(速報値)が季節調整済みで前月比△1.2%減となったことが嫌気され売られたものの、6月のミシガン大学消費者マインド指数が75.5と市場予想(74.5、前月は73.6)を上回ると切り返しました。つまり結局はマクロデータに一喜一憂する姿が全体では感じられますが、NATIONAL SEMICONDUCTOR(NSM※)の動きなどを見ていると、やはり注目すべきはハイテク株であると確信づけられます。

 同社はシリコンバレーとして有名なサンフランシスコの南、サンタクララにある半導体メーカーで、私は何度もファンドマネジャーとして企業調査に赴いたことがありますが、パワーマネジメント技術をリードする企業としてアナログICなどを提供するトップ企業のひとつです。そのチップは『iPhone』や『BlackBerry』などのスマートフォンに使われています。同社が11日に発表した第4四半期(3月〜5月)の業績は直前期に対してプラス10%、前年同期比でプラス42%増加、その要因はパーソナル・モバイル・デバイスおよびインダストリアル・マーケット向けのアナログおよびパワーマネジメント製品の売上高の増加と発表されました。これを受けて株価は5%も上昇、フィラデルフィア半導体株指数も1.4%上昇するなどNYダウが0.3%の上昇に留まる中で上げをリードした銘柄となりました。

 この日のフィラデルフィア半導体株指数の上昇をリードした上位5銘柄は、NATIONAL SEMICONDUCTOR(NSM ※)、マーベル・テクノロジー・グループ(MRVL)、ブロードコム(BRCM)、アルテラ(ALTR)そして、アプライド マテリアルズ(AMAT)です。普通には身近な銘柄たちではないかも知れませんが、テクノロジーを追い掛け続けている目線からすると「やはりここに来たか」と興奮してしまう銘柄群です。
※ NATIONAL SEMICONDUCTOR(NSM)は、楽天証券でのお取扱いはございません。

 
(出典:Bloomberg)

<フィラデルフィア半導体株指数。-----------------------ユーロ不安などの外部要因には振らされるものの、大きな流れは右肩上がりなのが明らかに確認されます。>

今週のポイント

■政治で株価は動かない、ならばファンダメンタルズでハイテク株投資

 本来、我が国としては嘆かわしいことですが、首相交代劇の一連の流れの中で、政治を反映して株が動いたなと感じられる場面はほとんどありませんでした。内閣の支持率が鳩山前政権の時に20%をも割れるかという水準まで低下し、そして菅新政権で60%を超える水準までV字型回復をしたと報道されていますが、株価はレの字回復どころか、印象としてはL字の動きです。70%を超える支持率で登場した政権が瓦解したのですから、それを憂いて株価が下落するとか、期待の剥げ落ちた政権から新政権に変わったのだから株価が急騰するとかするならば、株価見通しの重要なファクターに「政治」を組み込まないとなりませんが、残念ながら重要なファクターにはなっていないようです。マルチファクターモデルを作って解析したところで、説明変数として政治の決定係数は極端に低いものになるだろうと思われます。

 それは新政権が「強い経済、強い財政、強い社会福祉」を目指すと相当な宗旨替えをしたかに聞こえ、あたかも小泉政権時代に逆戻りかとも思えるほどですが、その傍らで国民新党との連立を参院選挙後も維持すると表明しているあたりに、民から官へのお金の流れをもう一度太くすることも厭わない矛盾を市場は見抜いているからだろうと思われます。

 しかし、その一方で前述の米国株市場の動きでご説明したように、米国市場においてはハイテク株への注目は高まるばかりと思えてなりません。背景にあるのは、目立った所では『iPad』や『iPhone 4』などの登場だと言えますが、これは決してアップル(AAPL)だけが喜ぶ話ではなく、幅広く波及効果のある話です。ユーロ安は、実はドイツの輸出産業の競争力を高めている話でもあり、時間経過とともにグローバル経済の違った側面が見えてくるのかも知れません。現実に中国の対欧州向け輸出は伸びていたのですから。

 ならば、この問題がクリアになった時に備えて投資対象の選別をし、投資チャンスを窺っておくべきかと思います。動き出したら案外早いとも思われます。

■広義のワイヤレスがポイントになる

 この週末、実は体調を崩して寝込んでいます。その枕元には『iPad』と『PSP®』があります。『iPad』があれば便利だろうということはご想像の通りですが、『PSP』もなかなか便利です。実はPS3®に『torne(トルネ)™ ※』をつけてある(ブログ参照)ので、『PSP』でリモートコントロールすることにより、どこにいてもテレビが観られます。ベッドの中で寝返りをどっち向きに打とうが、目の前にいつでもあります。ふと思ったのが、このまま寝たきりになっても大丈夫だなと変な発想ですが、『iPad』についても、『PSP』についても、その便利さを支えているのがワイヤレス技術です。前述、NATIONAL SEMICONDUCTOR(NSM)の業績が好調なのも解るというものです。無線LANを含む通信のワイヤレス化は、ロードマップが確かであり、実用化も進んでいますが、次に必要なのは充電だと思われます。アプリケーションの技術進歩(基本的に消費電力は増えます)に電池の蓄電容量の増加が技術的に追いつかない(エネルギー密度の水準などすでに物理的に極めて難しい段階に来ています)現状、ACアダプターやコードレスで充電する技術の必要性は高まるばかりです。そこに目をつけている企業はもちろんあります。投資の着眼点は寝込みながらも浮かぶものだと自嘲しつつ……。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

※『torne(トルネ)』…プレイステーション3(PS3)で利用できる地上波デジタルレコーダーキット。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪前週末対比+279.10ドルの上昇のNYダウに注目≫

■NYダウに採用されている米国の主要な株式30銘柄へ投資

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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