※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年4月5日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

4月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(4/2終値)
前週末比
(3/26比)
日経平均 11,286.09 +289.72 +2.63%
NYダウ 10,927.07 +76.71 +0.71%
金利・為替 週末終値
(4/2終値)
前週末比
(3/26比)
長期金利 1.355% -0.020%
ドル/円 94.61  
ユーロ/円 127.76  

米国景気回復を織り込みに行く強気とテクニカルな弱気

前週の総括

■11,000円を超えても右肩上がり

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。週初月曜日には3月期決算企業の配当落ち約70円相当をハンディとして背負ってスタートしたため、わずかに11,000円を上回ることはできませんでしたが、実質的には前週末水準より値上がり、その翌日にはあっさりと11,000円の大台をクリアするも勢いは止まらず週末終値は11,286.10円となりました。これは2008年10月以来の水準で、すなわちリーマンショックによる急落時の水準にまで日経平均株価が回復してきたことを意味し、やっと日本も長らく続いた低迷を抜け出ることができるのかもしれないという展開が見えてきました。NYダウも同様に2008年9月〜10月の水準を試しているところでもあり、世界的に「一皮剥ける」段階に入ることを示唆しているとも見てとれます。

 蛇足ですが、この水準まで日本の株も回復してきたところで大手外資系運用会社の日本株運用部門が撤退することを表明したことは残念というよりは、むしろ「なぜ、ここまで我慢したのに」と業界関係者としては思わずにいられません。それだけ、ブローキングの世界(証券会社)とアセットマネジメントの世界(運用会社)は収益環境の変化にタイムラグがあるということの表れだとも思うのですが、このタイミングがその判断として適切だったかと思う時、同業者としては疑問を感じずにはいられません。つまり本来本腰を入れて日本株運用と向かい合うべき段階に日本株式市場もやっと来たなと思っています。

 
(出典:Bloomberg)

<日経平均株価の2年分の日足チャートです。-----------ご覧頂けるように、リーマンブラザーズの破綻からAIGショックなどの起こった2008年9月〜10月の水準にまで日経平均株価が戻ってきています。>

■円安傾向続く

 年度替わりしていろいろな材料が重なっての11,000円回復ではあると思いますが、やはり一番大きな影響を市場に与えているのは円安傾向になっていることだと思います。「円高で強くなれる国を作るべき」という議論がある一方で、足下の現実としては日本を支える企業の収益構造は円安によりプラスに振れる方が多いのは事実であり、かつそうした企業の株価が日経平均株価に与える影響度合いが大きい仕組みになっていることがこのところの株高を演出している最大の理由だと思われます。

 週末の円の終値は対ドルが94.61円、対ユーロが127.76円とともに前週末に比べても大幅な円安になっています。3月初めに対ドルが88円台前半、対ユーロが120円台前半まで円高になっていたことを合わせて考えると、このところの株高傾向は当然と言えば当然とも言えます。ちなみに、その3月初めで最も円高となった3月4日から先週末までの株価上昇率を比較すると、外需依存の大きい日経平均株価は+11.24%であるのに対して、内需依存型のJASDAQ総合指数の方は+4.89%にすぎないこともそのことを明らかに示していると思われます。

■雇用統計など、米国経済の回復感が高まってきた

 流れの背景にあるのは、米国経済の回復です。このところ米国の経済統計は住宅関連などには弱含むものもありますが、先週発表になったISM製造業景況感指数など景気回復を裏付ける指標が徐々にだいぶ増えてきました。その最たるものが週末に米労働省が発表した3月の雇用統計です。それによると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比16万2000人増加しています。市場予想の中心は18万人の増加とも言われており、それをやや下回った結果ではありますが、久しくマイナスで推移していたものが大きくプラスに転じたことは大きなインパクトがあったと思われます。それを追認するかのようにガイトナー米財務長官は今回の雇用統計について「米経済が強くなっていることを示している」とブルームバーグのインタビューに答え、また「企業の設備投資は拡大し、輸出は持ち直している」とも伝えています。

■米国金利が上昇傾向へ

 こうした米国経済の回復を受け、米国債市場では10年債利回りが昨年6月以来の高水準に上昇し、4%台も視野に入る3.9485%にまで上昇しました。また金利先物の動向を見ると、11月までにFRB(米連邦準備理事会)が利上げすると読む確率は、ひと月前の45%から60%に上昇しています。さらにFRBが公定歩合を議題に5日に会合を開くことも伝えられているので、2月に続きさらなる引き上げを発表するかもしれません。

 一方、米国経済の回復と金利上昇の流れとは真逆に、日本では今週行われる日銀政策決定会合でさらなる追加緩和策が発表されるのではないかと言われています。つまりはデフレを抜け出られていないからです。こうした流れを受けて日本の10年債利回りは上記表にもある通り、先週末から2bp(0.02%)の低下となる1.355%で取引を終えており、週初1.395%と1.4%載せも近いと言われたのが嘘のように低下傾向にあります。

■信用問題などを除けば、為替は通常金利の高い方へ

 円金利がデフレ対策で上がらない状況が続く一方で、米国金利は経済回復で上昇傾向ということになれば、金利差は拡大する一方なので対ドルでの円安傾向は続くと考えるのが普通です。ユーロに関しては、ひと頃ほどにはギリシャ問題が騒がれなくなり少し沈静化しているので、テクニカルな揺り戻しも含めて円安傾向が続くと見てもおかしくないと思われます。ただギリシャ問題については、引き続き信管が入ったままの不発弾程度に考えておいた方が良いと思われます。

 信用問題と言うことで言えば、企業収益の回復や景気回復に伴う株価上昇と言うことでは円の信用度も失われていませんが、財政規律の緩みについては外国人投資家を中心に危惧するものがあり、債券先物市場を中心に売りが入る場面を見ることができます。「日本の公的債務は個人金融資産が買い支えているから大丈夫」というロジックに綻びが見える時が来れば(個人金融資産も当然無尽蔵ではなく、また未来永劫何も考えずに預貯金だけにおいてくれる保証はないのですから)この問題自体はやはり円安(かなり急落)要因であり、現時点では円高のシナリオは海外要因が弱くならない限り描きにくい絵になってきたように思われます。

 
(出典:Bloomberg)

<チャートは日経平均株価のこの1年間の日足です。--------一本調子にあがってきたとはとても言えませんが11,000円という節目を越えてきたことには、来期に向けて明るい兆しを感じなくもありません。>

今週のポイント

■円安の流れが続く限り株は底堅い

 上記のような流れが続き、円安の目が消えない限りは日本株の当面の見通しは底堅いだろうと思われます。確かにテクニカル的な過熱感、もしくはボラティリティの低下による不安定感など幾つか指摘すべき弱点はありますが、米国景気回復と日銀の金融緩和姿勢の継続という2つの流れがある限り、株を叩き売れるロジックはなかなか見つけにくいと思います。もし、それを国内要因で見出す方法があるとすれば、支持率低下傾向が著しい現鳩山政権下の日本政治の混乱、もしくはそのひとつの断面でもある日本の財政状況への不安拡大などが大きく取り沙汰される時でしょう。現時点においては、少なくとも株式市場はそれらに対しては完全に目を瞑って走っている、あるいは見ないようにしている状況だと思います。ただ、もしそれに目を向けざるを得ない事件が何か起こった時、市場の風向きは大きく変わるかもしれません。ただその際も“円売りによる円安”が企業収益にはポジティブという見方がまだ残るかも知れません。

■スマートフォン戦争開始

 先週4月1日のNTTドコモ(9437)によるソニー・エリクソン製『Xperia(エクスペリア)』発売を機に、携帯電話3社によるスマートフォン(高機能携帯電話)の販売戦争がはじまり、IT分野、ハイテク分野はこれからますます面白くなる段階に入ってきたと思います。携帯電話が初めて身近なものとなりだした90年代後半ほどの勢いにはならないかもしれませんが、『i-mode』が出て来てメールやネット接続ができるようになった時、あるいはJ-PHONE(現ソフトバンク:9984)が『写メール』を開発した時などと比べれば格段に違う展開になることが予想されます。

 『i-mode』登場で携帯メールが可能になった時も、当初は親指でメールを打つということに疑問を投げた人は多かったですし、『写メール』登場時は、最大手キャリアの社長自ら「ケータイでデジカメ写真を撮って人に送るなんて流行るわけがない」と断言されていたことをよく覚えています。今回は『ケータイ』が『スマートフォン』に変わるという流れです。

 『iPhone』を持っている人には説明不要と思われますが、スマートフォンの便利さは一度手にしたら手放せないものと言って過言ではないと思われます。ただそのスマートフォンとして充実したものは今までアップル社のこの『iPhone』しかなく、またこれを利用したければソフトバンクにキャリアを変えるしかありませんでした。そんなドコモ・ユーザーへの朗報がこの米グーグルが開発した基本ソフト(OS)『Android(アンドロイド)』を搭載したソニー・エリクソン製『Xperia(エクスペリア)』です。auも遅れて6月にはAndroid搭載のスマートフォンを発売する予定です。ここにスマートフォン戦争が開始になりました。

 私も実機をすでに触ってきましたが、『iPhone』ユーザーとしても心動かされるものがあり、非常に面白いと思っています。プラスアルファの視点としては(1)週末に総務相が明らかにしたSIMロック解除を携帯各社に要請するという話です。これでユーザーはキャリア選択とは別にスマートフォン選択が可能になります。SIMロックの制度はキャリアとメーカーの甘えの構図であり、日本のガラパゴス化をなくすためにも良い話だと思います。日本のメーカーには間違いなく技術力があるのですから。

 もうひとつが(2)米アップル(AAPL)が米東部時間3日午前9時(日本時間同日午後10時)に発売開始した『iPad(アイパッド)』がやはり好調だということです。これは『ネットPC』の普及とも被りますが、消費者のコンピューティング・パワーの使い方や使うシーンが大きく変わりつつあることを示唆しているということです。携帯電話が人々の生活スタイルを変えたように。この流れは、(価格競争ではなく)こうしたもののキー・コンポーネントを作ることに秀でた日本企業にとっては相当な恩恵があるものと考えられます。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪リーマンショックの急落時の水準まで日経平均株価が回復!≫

■日経平均株価連動を目指すファンドに投資

MHAM株式インデックスファンド225の詳細はこちら
MHAM株式インデックスファンド225

日経平均株価採用されている銘柄の中から200−225銘柄に、原則として等株数投資を行う。日経平均株価の動きに連動する投資成果を目指します。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。必ず楽天証券のホームページなどで最新の情報をご確認のうえ、各サービスをご利用くださいますよう、お願いいたします。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2010 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.