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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年3月23日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

3月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(3/19終値)
前週末比
(3/12比)
日経平均 10,824.72 +73.46 +0.68%
NYダウ 10,741.98 +117.29 +1.10%
金利・為替 週末終値
(3/19終値)
前週末比
(3/12比)
長期金利 1.360% +0.020%
ドル/円 90.56  
ユーロ/円 122.51  

日本株は動けない? 動きたくない? 動かない?

前週の総括

■年度末で動き辛いのか、動きたくないのか

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。前週末対比で日経平均株価はわずかに+73.46円の上昇、上下の値幅を見ても約150円程度と極めて狭い範囲での動きになり、ボラティリティも一気に急低下(週末現在11.304(10日間のHV(ヒストリカル・ボラティリティ))してきました。象徴的なのは週初月曜日の対前日比がなんと74銭とたった1円にもならなかったことでしょうか。市場は日銀の政策決定会合や米国連邦公開市場委員会 (FOMC)を気にしていたからと報じられていますが、今ひとつそれもピンときません。確かにFOMC後のNY市場の上昇を好感して17日は120円程度の上昇を見せましたが、翌日にはそのほとんどを吐き出しています。売買代金の水準は相変わらず低調なままで、このまま年度末に突入するとより閑散とした市場展開となることが予想されます。市場は良くも悪くももう少し具体的な日本の変化を期待しているかに思います。

■債券市場に仕掛け的な動き

 株式市場がそんな低調な中で、債券市場にやや仕掛け的とも思われる動きが先物中心に見え始めています。日銀は金融政策決定会合の後、追加的な金融緩和策としてさらに10兆円を「新型オペ」として実施し、現在の10兆円規模の供給枠を20兆円に倍増することを発表しました。これを受けて17日の株式市場は前述の通り120円程度の上昇を見せた訳ですが、逆にその翌18日の午後には債券先物にCTA(商品投資顧問業者)のものと噂される仕掛け的な売り物が入りました。前週3月10日は新発10年国債の利回りは1.300%でしたが、先週末終値は1.360%とプラス0.06%も上昇しています。嫌なタイプの金利上昇です。

 いくつかの理由を挙げることができますが、その1つの理由は、追加の10兆円は、この3月で期限切れとなる通称「モンスターオペ」と呼ばれる企業金融支援特別オペの5.8兆円分と相殺すると“真水”部分はわずかに4.2兆円しかないという見方です。株式市場は追加的金融緩和策と聞いていったんは素早く反応しましたが、債券市場は冷静にその中身を分析したという感じです。日銀は政府に対してポーズは取ったけれども、その実態はあまりないということです。

 もう1つの理由は政府・与党内から聞こえてきた追加経済対策論に対する市場の疑問符です。通常はさらなる追加経済対策が打たれるかも知れないと解ると市場は好感しやすいものですが、7兆円規模とも言われる経済対策に見合った財源問題の方に、市場はまず疑問符を投げかけたということです。すなわち、すでに2010年度予算について財源確保はどうするのかという議論が決着を見ていないままで、さらなる借金政策が追加されることに市場が投げ掛けた疑問符と言うことです。先週申し上げたことが現実味を帯びつつあります。この債券先物が売られ始めた頃より株式市場も軟調な展開へと変わってきています。

■ギリシャ問題はやはりまだ続いている

 PIIGS問題も峠を越えて少し改善基調に入っていたかに見えたユーロですが、17日に対ドルで1.38レベルまで戻したのを最後に再び弱含み週末には1.35レベルまで再び弱含んでいます。同様に英国ポンドも弱含んでいます。背景はやはりギリシャ問題の再燃で、一向にこの問題は解決する方向性も見出せていないというのが正直な印象です。いろいろな議論が為されているのは確かな事実ですが、最終的な具体案の詰めになると欧州各国ともにおよび腰になるというのが実態と言う感じがしてなりません。現時点においては残念ながらユーロの動向については安易な楽観論は禁物と思われます。

■米国株式市場は2008年10月初め以来の高値圏へ回復

 一方、米国株式市場はゆっくりながらも上昇基調にあり、再び2008年10月初め以来約1年半ぶりの水準まで回復してきています。2008年9月後半からの動きと言えばすなわち9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻から始まった世界金融危機の初動であり、逆にいえば、米国株式市場はリーマンショック以前の米国経済の状況に戻れるかどうかを確かめる段階に差し掛かってきたと言えます。この原稿執筆時点では医療保険制度改革法案が下院を通過したかどうかは定かではありませんが、オバマ大統領の公約の一つであった難問がここで解決できると状況はさらに一歩前進出来るのではないかと期待しています。

■インドが利上げ

 19日、インド準備銀行(中央銀行)がほぼ2年ぶりとなる利上げを行いました。内容はリバースレポ金利を過去最低の3.25%から3.50%に、レポ金利を4.75%から5%に引き上げるというものですが、市場では早くもこれはインフレとの闘いに向けた最初の一歩にすぎず、来月にも政策金利を再び引き上げる公算が大きいという認識が示され始めています。世界的な金融危機に対して世界中の中央銀行がバルブを全開にしていた状況から、中国やインドの様な勢いのある国からインフレ抑制のためにこうした流れになるのは遅かれ早かれ当然なことなのですが、為替市場を中心にさらに踏み込んで世界的な金融刺激策が弱まっていく兆候といった受け止め方も出始めているようです。

 
(出典:Bloomberg)

<チャートはユーロの対ドルでの1年間の日足です。--------2月の終わりから3月初めで底を打ったかに思えたのですが、どうやら第二ラウンドに入ったという感じです。>

今週のポイント

■3DTVに夢を感じる

 先週、取材の機会があってソニー(6758)のショウルームで初めて3DTVの映像に接することができました。正直言ってかなり感動し、6月の発売に向けて個人的にも引当金繰入を検討したくなるでき栄えでした。恐らく“売れる”と思います。これは実際に体験して頂かないことにはその凄さを言葉で説明するのは難しいのですが、例えばサッカーの試合でコーナーキックされたボールが自分の方向に飛んでくるという感じは何とも説明し難い迫力です。また別のシーンでは、水族館の映像があったのですが、50インチの画面の向こうに水槽が拡がっていて、その中を白クマが泳ぎ回っているというのも今までにない体験でした。まさにそこに水族館の水槽がある感じなのですから。

 確かに地上波テレビでこうした3D対応のコンテンツを配信するには、フルHD映像の大きなデータを既存のひとつのチャンネルで「両目」分を流さなくてはならず、現状ではそのための帯域の余裕がないという技術的問題があるのですが、スカパー(9412)やWOWOW(4839)といった帯域に余裕がある有料放送だと問題がありません。

 日本ではなかなか有料放送の分野がキックオフできずにいるのですが、もしかするとこの3DTVを起爆剤として有料放送の分野が動き始めるかも知れません。少なくとも是非一度ご自身で確認されてから3DTVについては賛否を考えていただけたらと思います。そのくらい“百聞は一見に如かず”そのもののコンテンツの在り方でした。

 ちなみに、『PS3』向けのゲームコンテンツはそもそも3D対応で作られているようで、この普及とともに、さらに踏み込んだものになるのかも知れません。車のレーシングゲームなど、まさに映像は運転している感じそのままの迫力でした。個人的には3D化されたファイナルファンタジーを早く観てみたいと思うのですが、コンテンツが広がれば拡がるほど、3DTVの普及には弾みがつくと思われます。その時、放送局のプロ用機材に始まり、既存を含めコンテンツビジネスでも映画とゲームの両方に足掛かりがあり、そして携帯用から据え置き型まで出力端末をもつ同社の強みが如何なく発揮されるのだろうなと、久しぶりに日本の家電メーカーの未来に明るいものを感じたとご報告しておきます。

■年度末受渡し最終で需給は変わる

 今週が年度末受渡しの最終週です。配当金取りの商いもあるでしょうし、期末特有の決算調整の売りもあると思います。一方でファンダメンタルな話ではあまり動かない状況が続いていますから、国内市場に関して言えば上にも下にも動きづらい展開が予想されます。ただ年度が変われば2011年3月期の業績に基づくバリュエーションに必然的に変わります。例えばPERで見ても、現状の日経平均株価採用銘柄ベースで約31倍程度から約17倍前後に低下することが予想されます。決して割高とは言えません。何か面白い材料が出てくれば、個別では充分仕込みを行えるところだと思います。前述の3DTVのような話がヒントになればと思います。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪米国市場、2008年10月初め以来約1年半ぶりの水準まで回復!≫

■3月23日現在、上昇基調である米国株式市場へ投資!

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含むへの投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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