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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年3月8日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

3月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(3/5終値)
前週末比
(2/26比)
日経平均 10,368.96 +242.93 +2.40%
NYダウ 10,566.20 +240.94 +2.33%
金利・為替 週末終値
(3/5終値)
前週末比
(2/26比)
長期金利 1.305% +0.005%
ドル/円 90.28  
ユーロ/円 122.99  

外部要因の改善に期待する

前週の総括

■海外要因に振り回されるばかり

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。最終的には週を通じた上昇率は日経平均株価が各指数の中で最大となる2.40%、市場全体の動きを表すTOPIXもプラス1.87%と水準だけは上げて引けました。ただ内容的には前回もお伝えした通り、国内要因で動いている主体性のあるものではなく、極めて外部要因に振り回される情けない展開が続いています。それぞれの指数の上昇を比較した場合に、外部要因に影響を受けやすい日経平均株価指数が最大の上昇率であることがそれを端的に語り、週末金曜日に223円も上昇したにも関わらず、その売買代金は1兆2,711億円に過ぎないことがその証左となります。

 ちなみに週明け月曜日の売買代金は今年に入って4回目となる1兆円割れです。今回は中国本土市場も開場していましたし、もちろん米国市場も取引をしています。東証にも何のトラブルもないにもかかわらずこの水準に落ち込んだのは初めてであり、日本株式市場の人気離散という問題の根は予想以上に深いかもしれないと思わざるを得ません。

■注目の米国雇用統計は市場予想よりは良かった

 先週、市場関係者に「どうしてこんなに薄商いなのか?」ということを質せば、まず間違いなく帰ってくる答えは「週末3月5日に発表になる米国の雇用統計が米国のこれからの金融政策を占う上で欠かせない統計データの発表となるから」となったと思いますが、事実私もそう考えていました。

 その問題の米国雇用統計ですが、結果は市場予想よりはよい結果が出ました。市場はこのところ米国東部を中心に襲っている大雪の関係で非農業部門の雇用者数の減少が相当増えると踏んでいましたが、出てきた結果は前月比36,000人の減少に留まりました。もちろんマイナスとしては3カ月連続になるのですが、もっとマイナスが増えているだろうと考えていた市場にとっては予想外に改善している結果と映り、失業率自体も10%を切る9.7%のまま横ばいと言うことを好感して米国市場の週末は終わったという感じです。

■米国市場はこれらを好感、金利は上昇傾向へ

 米国の株式市場はこの雇用統計を歓迎し全市場が上昇、週を通じた動きで見るとナスダック総合指数は4%近い上昇となる3.94%の上昇を演じました。市場全体を示すと言われるS&P500種も3.10%の上昇でNYダウの2.33%を上回りました。

 米国債券市場ではこの流れを受けて米国の金利上昇期待が高まり、米国債10年金利が3.61%前後から3.7%近くまで、同5年債金利が2.27%前後から2.36%まで、同じく同2年債が0.8%前半から切り上げて0.9%超まで上昇しました。ただその水準感で言えば、10年債と5年債は昨年6月以来の米国景気回復期待が高まった頃に近づいてはいますが、2年債の金利は昨年6月の1.4%や8月の1.3%、あるいは年末の1.1%超に比べれば遥かに低く、足元目先での回復までは期待できていないと見てとれます。すなわち急激な回復感は見ていないということです。

■ドルは買われやすい

 こうした金利観を受けてドルは買われやすい状態が続くと思われます。ギリシャ問題を抱えるユーロ圏では、ギリシャが財政危機問題の火消しに躍起になっている一方でEU全体としても、必要な時は支援をするという姿勢を明確に打ち出してはいますが、具体的内容については不透明なままであり、ユーロの動きから判断するに、市場は未だそれらに半信半疑という感じを否めません。ゆえにドルの方が安心して買える状況にあります。

 ドルと円の関係でいえば、両通貨間の問題では、現状ではクレジットリスクはほとんど論じられることなくほぼ金利差で動く展開が続いていますが、今回の雇用統計の発表を受けて金利が上昇しやすい環境が整いつつある米国に比べて、さらなる金融緩和姿勢を示した日銀の動向を鑑みると対円でドルは買われやすい環境が整っているということが言えそうです。これに合わせて対ユーロでも円がやや売られれば株式市場にとっては朗報となります。週末終値はドルが90.28円、ユーロが122.99円と東京市場の終値より両通貨ともに円安に動いています。

■中国全人代の行方に期待

 3月5日から中国全国人民代表会議が始まりました。温家宝首相の冒頭報告では9年のGDP(国内総生産)成長率目標の8%が8.7%という大きく上回る水準で達成されたことが報告され、引き続き8%成長を維持することが確認されました。市場の関心事は、金融緩和姿勢を継続してきた中国がどの段階で引き締め策に転じるのか、すなわちそれにより中国経済の発展の勢いが減速するのか否かという点にありますが、機動的な方針転換はインフレ動向を見ながら必要な場合もあるとしながらも、現時点はまだその段階ではないという認識が示されました。つまり「適度な緩和的な金融政策」の継続が言明されたということです。

 
(出典:Bloomberg)

<チャートはユーロの1年間の日足です。--------120円を超える円高が危惧されていましたが、先週末の陽線を見る限り、いったんは方向転換したかに思われます。>

今週のポイント

■3月SQを週末に控える

 今週は週末に先物とオプションの同時SQを控えます。数年前までは3月のこのSQは市場の大きな関心事でした。年度末決算を控えて市場の需給が段々と悪くなる中で、国内の証券会社も自己ポジションで行っている裁定取引を決算前にロールしないで確定するなどの動きがあったからですが、幸か不幸か、最近ではこれらも話題になることはほとんどなくなりました。しかしながら、これだけ売買代金の低調な状態が続くと先物主導のインデックス取引で簡単に指数が上下する可能性は高く、指数の水準は10,000円か10,500円あるいは11,000円といった区切りの良い水準に週末に向かって収斂していく可能性が高いと思われます。週末のシカゴの日経平均先物の終値は10,545円と大証の10,380円を上回っていますから、まずずは10,500円を固めるところからスタートし、海外市場の動向を見ながら11,000円に向かって意外高をすることも考えられます。為替が円安なのもポジティブな材料です。

■中国市場がカギを握る

 米国の雇用環境や、中国の国会(全人代:全国人民代表大会)の内容で日本市場の株価動向が左右されるというのは何とも歯痒い感じですが、残念ながら国内要因で市場を振り回せるものは前述のSQ程度と言うのが実態だと思います。国内政治についてはこの先よほど大きなスキャンダル問題でも出ない限り、市場はほぼ“政治は無視”という姿勢を続けるだろうと思われ、金融政策が劇的に変化することも予想し辛いです。

 ただ一方で、隣国中国の国会に相当する全人代の流れ如何では、中国株式市場が波乱要因となり、その結果が日本市場に波及してくる可能性は高いと言えます。今回の全人代では金融政策や通貨政策についても触れている場面が多く、これらを市場がどう受け止めて評価するかがポイントです。ただ、中国経済の流れでいえば、足元上海万博の開催を間近に控えていることや、そもそも10月の国慶節に向かって景気を拡大させていくというのが従来の中国当局のやり方でもあるので、市場が想定している以上に急激な引き締め政策にこの段階で転じるようなことは考えづらく、冷静に見ていけると考えています。

■国内要因もたくさん発表になりますが……

 正直、これらを見て市場がどうこう反応する状況とは今は思えませんが、8日は1月の貿易収支と経常収支、2月の景気ウォッチャー調査そして2月のM2+CD、9日に1月の景気動向指数・速報と2月の工作機械受注、10日は1月の機械受注と2月の企業物価指数、11日が第4四半期GDPの速報値、12日に1月鉱工業生産指数・確報などが発表されます。

 敢えて注目すべきものを上げるとすれば2月の工作機械受注と1月の機械受注かも知れません。これらは日本国内の企業の設備投資動向をマクロで映し出してくれますので、国内の景気実態がどうなっているのかを確認する上では重要なものと言えます。でも、為替変動や海外株式市場の動向の方が今の日本の金融市場に与える影響は大きいというのが偽らざる感想です。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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