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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年3月1日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

3月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(2/26終値)
前週末比
(2/19比)
日経平均 10,126.03 +2.45 +0.02%
NYダウ 10,325.26 -77.09 -0.74%
金利・為替 週末終値
(2/26終値)
前週末比
(2/19比)
長期金利 1.300% -0.030%
ドル/円 88.93  
ユーロ/円 121.21  

主体性、自主性がなくなった日本市場

前週の総括

■海外要因に振り回されるばかり

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。この1週間の日経平均株価の高低差は約350円ありますが、このうち純粋な国内要因で変動した部分がいくらあるかと言えば、極めて少ないと言わざるをえません。週初は前週末のNY市場が大方の予想に反して下落しなかったこともあり急騰して始まり、火曜日は欧州市場がドイツの景況感の悪化から大幅な下落となり、さらに続く米国の消費者信頼感指数が2009年4月以来となる悪化で下落したことを受け週初の上場分をすべて吐き出すまで下落、水曜日を方向感がないままに過ごすと、木曜日はギリシャの財政危機が再燃(ストライキの影響)との見通しから再び下落、そのまま週末は上でもなければ下でもないといった展開で終わってしまいました。24日に米国議会で開かれたトヨタ自動車(7203)の豊田章男社長の公聴会を気にしたという見方もありますが、この主体性のなさには情けなくなります。

■膨らまない売買代金と公的年金の運用方針

 呆れるくらいに売買代金が膨らみません。国内要因での主体性がない市場になってしまっているので仕方がないのかもしれませんが、この2週間、1日たりとも売買代金が13兆円台にさえ載せたことがありません。前週の平均売買代金10兆8,640億円に比べれば若干は増えていますが、それでもわずか12兆1,392億円です。これは決して日本企業の株式が投資先として魅力がないからではなく、根本的な理由は違うところにあると思っています。その証左の1つが後述しますが、円とドルとユーロといった主要3通貨の比較した場合、最も現時点で強いのが円だということに見出せます。いろいろな理由付けがされていますが、最も強い通貨の国の株式が見向きもされていないというのは、その国の企業の株式に対する投資魅力以外のものと見るのが普通ではないでしょうか?

 例えば、現在議論となっている公的年金基金120兆円の運用方針ですが、自国の将来世代の福祉を支えるはずの長期投資の公的年金基金でさえ、その67%が10年債金利でわずか1.3%前後の国債に投資され、自国の成長を支え、将来のこの国の繁栄を支えるべき企業の株式にはわずかに11%(13.2兆円)しか投じられていません。リターンが期待できないから投資できないというのが運用現場の立場ですが、ならば投資できるような手立てを講じるというのがさらに上の次元で議論されるべき問題だと思います。ことは私的年金の運用ではなく、公的年金基金の運用なのですから。2年や3年先の話(当面の4年間なのかも知れませんが…)ではなく、20代や30代の人の年金受給が開始される30年後、40年後を見据えた議論なのではないでしょうか? ちなみに、米国の年金基金の多くは50%以上を自国の株式で運用しています。

■米国住宅市場に陰り

 先週までに発表になった米国の住宅市場に関する各種統計は、米国市場の住宅市場の回復が足踏みをし始めたことを示していると言えます。住宅ローン減税の期限の影響とも言えますが、今年の大雪のせいだという見方もできます。根本には雇用情勢が回復していないなどの景気実態から来る個人消費の低迷があると思いますが、少なくとも発表された住宅着工、新築住宅販売そして中古住宅販売共に芳しいものではなく、さらに言えばケース・シラーの住宅価格指数なども再び下落傾向を示し始めてしまっています。

 こうしたことを反映した結果とも言えるのが、23日に発表された米国消費者信頼感指数の2009年4月以来の悪化です。ただその一方で、耐久財受注額について言えば25日に発表された内容は市場予測平均の約2倍の伸びとなるもので2カ月連続のプラスとなりました。こうした斑模様の経済統計の出方がゆえに、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は公定歩合の引き上げは金融政策の正常化を意図したもので、出口戦略を意図したものではないと、はやる債券市場を牽制し続けたのかも知れません。

■ギリシャ問題はドイツ景気に依存する

 市場を騒がせ続けているギリシャの財政問題ですが、Moody’sが25日ギリシャのソブリン格付け「A2」を数カ月内に引き下げる可能性を示唆しました。欧州中央銀行(ECB)は年内に融資担保基準の変更を計画しており、ギリシャ国債が格下げされると、変更後の基準で同国債は担保として不適格になってしまいます。この原稿執筆時点(2月28日)で確認できている情報によれば、ドイツが独復興金融公庫(KfW)を通じて欧州連合(EU)の計画の一環として、必要が生じればギリシャに最大250億ユーロ(約3兆円)の支援をする手段を検討しているということです。こうした流れがあるからこそ、先週23日にドイツの景況感が悪化しているという報道に市場が敏感に反応したものと思われますが、具体的に確定するまではギリシャが抱える目先4月と5月に合わせて160億ユーロ(約1兆9300 億円)を超す債務の償還期限まで、この問題は幾度となく蒸し返される可能性があります。

米格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、「1カ月以内に」ギリシャの信用格付けを1-2段階引き下げる可能性があると示唆
(作成:楽天投信投資顧問)

■対ドルでユーロは買い戻され、円は再び独歩高

 週末の為替市場では、前述のドイツによるギリシャ支援の話もあり、売り込まれていたユーロが対ドルで買い戻されました。この結果、ユーロは対円では週の途中に一時期は119円台をみるような場面もありましたが、週末の終値としては121.21円となっています。

 一方、ドルは対ユーロで売られたばかりではなく、週末に発表となった1月の中古住宅販売が市場予想に大きく反して前月比7.2%も減少、これは過去2番目に大きい水準となったことから対円でも売られ、週末の終値は88円93銭となっています。

 
(出典:Bloomberg)

<チャートは中国 上海総合指数の1年間の日足です。--------春節明け後の市場動向が心配されましたが、上値を抑えていた200日移動平均線をも超えてきました。>

今週のポイント

■上海市場は200日移動平均線を越えてきた

 2月初めに中国人民銀行が今年に入って2度目となる預金準備率の引き上げを行ったので、春節明けの中国本土株市場の動きは多くの注目を集めていましたが、その心配は杞憂だったと言えます。休み明けこそやや軟調になる部分もありましたが、それまで上値を抑える抵抗線となっていた200日移動平均線を木曜日には上回り、週末も同水準が3,032ptsにあるところを3,051ptsと上回って終了しています。やはり注目すべきは活力ある市場と言うことになるのでしょうか。すでに新興国と言う括りでは収まりきらないほどの規模に拡大している中国経済ですが、隣の大国が目立てば目立つだけ、小さな島国は存在をアピールしないと影がますます霞んでしまいそうです。

■トヨタ社長の米国・公聴会の印象

 このメルマガでも、あるいはマネーサービスのブログでも何度も取り上げてきたトヨタ自動車のリコール問題ですが、先週の豊田章男社長の米国議会公聴会での発言で最初の峠は越えたと考えるのが普通だと思います。市場の受け止め方ですが、その後の株価推移を見ていても「時期を逸した感は免れないが、その後の対応としてはベストなものとなったのではないか」と見ているように思われます。少なくとも市場全体が下落する中でも値下がりしないで踏み止まっていましたから。

 今回の公聴会とそれを報道している米国メディアの状況を理解するためには、米国の現在の政治状況とそれを支える基盤、あるいはCEOが積極的にアピールする米国企業文化とその正反対の日本文化ということを考慮に入れて考えないとなりませんが、その意味においても少なくとも同社が今回の問題を現時点において極めて真摯に受け止め反省し、“カイゼン”して行こうとしている姿勢は伝えられたのではないかと見ます。

 議会証言で、泣きながら車が勝手に時速160キロまで加速した話をする証人の映像は何度も放映されていましたが、一方で当局が調べたところでは、その証人が運転していたレクサス車の現在の所有者(走行距離3000マイルで購入)が購入後、現在までに24000マイル走行をしているが同様なトラブルは一度も発生していないことを掴んでいることをウォールストリートジャーナル(WSJ)が報じています。つまり偏重された報道だけではなくなってきたということです。

 また同国内で関連企業を含めると17万人とも20万人とも言われる雇用を創出している同社への批判に対して、少なくとも最大の工場を有するケンタッキー州などの選出議員は全く違ったトーンの発言をしています。今はとにかくこの問題が早く終息することを願うばかりです。

■当面は為替の動向に要注意

 現時点では残念ながら日本の株式市場は国内要因と言うよりは海外要因に振り回されていることの方が多く、その話題の中心となるギリシャ問題については着地点を見つけるまでもう少し時間が掛かりそうな印象です。とうぜんそれにつられてユーロが動きます。

 日本の輸出関連企業は対ドルの変動よりも対ユーロの変動の方が影響を受けやすいということは段々と市場に浸透してきました。つまりユーロの変動により敏感になるであろうということです。円高とひとことで括ってしまうと、それが対ドルなのか、対ユーロなのか分かり難くなりますが、きちんと見極めていけば短期的にも収益機会は狙えるかも知れないと思います。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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