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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2010年2月8日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (2/5終値) |
前週末比 (1/29比) |
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日経平均 | 10,057.09 | -140.95 | -1.38% |
NYダウ | 10,012.23 | -55.10 | -0.55% |
金利・為替 | 週末終値 (2/5終値) |
前週末比 (1/29比) |
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長期金利 | 1.355% | +0.040% | |
ドル/円 | 89.26 | ||
ユーロ/円 | 122.10 |
先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。先週の日経平均株価の下落幅は△140.95円に留まりますが、上下の値幅でいうと402.08円と、そこそこ上下に大きく振幅した感があります。その背景にあるのは表面的には外部要因(1.ギリシャ問題に始まった欧州信用不安の再燃、2.米国雇用統計の悪化懸念に起因する米国株急落、3.急激な対ユーロでの円高)に違いありませんが、この一週間の新聞スクラップをこの原稿を纏めるために再度振り返ってみると、国内的にはまさに「プリウスに始まり、プリウスに終わった」、つまりトヨタ自動車(7203)のリコール問題の拡大に伴う“トヨタ品質神話の崩壊”に振り回されたような気がします。そしてこれを単なる国内自動車メーカーの取るに足らない品質トラブル問題程度に考えるとしたら、それは大きな間違いのもとになると考えています。詳細ついては後述します。
ギリシャの財政不安問題がポルトガルやスペインなどの南欧諸国に波及し、ヨーロッパ全体の信用不安問題として認識がより強まってきました。これを受けてユーロは対ドルでも対円でも大幅に下落、対ドルの1.35台は昨年5月以来の水準、対円では週末に120.70円台を一時付けていますが、これは昨年2月以来の水準です。週末行われたG7でも、これらの国々の財政赤字問題に対する話題が中心になったようですが、現時点においては具体的な解決策は見出されておらず、南欧諸国を中心にソブリン債への投資リスクについてはかなり神経質な展開(価格下落=金利上昇)が継続されることが予想されます。
発表がピークを迎えている日本企業の決算内容を見る限りにおいては、新聞等の報道にもある通り、2010年3月期の上場企業の経常利益は前期比8%増となるなど、“円高の影響を受けやすい”と言われる自動車や電機などの製造業を中心に回復の兆しが明らかになってきています。
しかし、現在の円高基調の背景にあるのは日本のこれら民間企業の努力を評価しての円買いというよりは、前述のようにユーロなどからの逃避先としての比較優位感と考えることができます。5日に発表になった我が国のプライマリーバランス(基礎的財政収支)は、2009年度の赤字幅が過去最悪の40兆6,000億円にも及ぶということで、わずか1年前の2008年度のそれに比べて一気に2.5倍にも膨らんでしまいました。まさに国ごと借金漬けになっている実態が明るみにでています。そしてここで何が一番問題かと言えば、この状態に対する財政健全化に向けた具体的な道筋が政府から全く現状示されていないということです。財源を確保しないままに、ポピュリズムでバラ蒔きを続ければ当然の帰結と言えば当然なのですが、長期金利の上昇と言うかたちに跳ね返り始めた時には、それはもうコントロールを失うとんでもない事態に成りかねません。
欧米に比べて、日本の国債はその発行分を国内で消化できているので国債増発に伴う需給悪化は金利上昇に簡単には繋がらないという論も聞きます(だから郵貯を再び“官営化”に戻したとまでの憶測が飛び交うほど)が、先月26日はS&Pが日本国債の格付け見通しの引き下げを発表しています。国内投資家がいつまでも安心して日本国債を購入し続けてくれる保証など何処にもなく、むしろ昨今の個人投資家の動向などを勘案すれば、一気にそっぽを向かれるリスクさえあります。その時に起こるのは、長期金利の急騰を伴う、“輸出企業にとって居心地の良い円安”などという生温い話ではなく、“円の暴落”なのかも知れません。
週末の株価急落の背景にあるのは、米国の雇用統計発表を控えた前日に新規失業保険の申請件数が市場予想を上回ったことで、再び悪化した雇用統計が発表されて市場が混乱することを予期して米国株式市場が急落したことが大きな要因でした。そして翌日発表された雇用統計自体はポジティブにもネガティブにも評価し難いまだら色の結果でした。
失業率は9.7%と4カ月ぶりに10%を切ってきましたが、一方で非農業部門の雇用者数は前月比マイナス2万人と市場予想を下回り、「雇用の改善による個人消費回復」というシナリオを描きたい向きにとっては残念な結果となっています。これらを受けて米国の債券市場では出口政策を求めて金利が上昇する局面には終止符が打たれた感じであり、再び米国10年債金利は3.5%を下回る水準にまで低下しています。
市場関係者があまり政治に関して持論を展開するべきとは思わないですが、民主党小沢幹事長の検察側不起訴の判断と、それを受けた鳩山首相以下民主党側の対応も「政治と金」という大きな問題に対して国民の納得を得られるものであったかと言えば決してそうではないと思われます。一方の最大野党である自民党の追及もどこか迫力に欠けるものであり、このままで本当に大丈夫なのかという市場の不安には与野党ともに全く答えていないという思いが強くしています。これだけ日本を取り巻く諸問題が多い中で、政治がリーダーシップを発揮してくれないというのは、経済的にも致命傷になりかねません。
(出典:Bloomberg)
<チャートはトヨタ自動車(7203)の1年間の日足です。--------今年1月21日には1年振りの高値を付けていたのですが……。昨年の市場がどん底を見ていたころの水準に逆戻りです。>
トヨタ自動車の株価はこの一週間だけでも3,490円から3,315円まで5%以上の下落となり、1月21日の高値4,235円からの下落率は△22.7%にも及んでいます。ただ一方で、日経平均株価全体へのインパクトで言えば、その下落幅△140.95円分の内の△7.08円にすぎず大した問題と捉えられて居ないのかも知れません。確かに、最も値幅を稼いだのはファーストリテイリング(9983)の△38.03円分であり、次がTDK(6762)の△22.66円分です。
しかし、同社がこの間に失った時価総額はこの1週間だけでも6,000億円にも達します。1月21日の高値から計算すると優に3兆円以上の時価総額が失われています。同期間で計算するファーストリテイリングの時価総額減少額はこの1週間が約1,000億円弱、後者が約1,900億円、決してわずかとは言えない額ですが、トヨタの失ったものとは桁が違います。東証1部の時価総額は約300兆円ですから、あっという間にその1%が失われました。それもそのはず、同社の東証TOPIXに対する時価総額比率はこの1週間で約0.3%程度低下したとはいえ、それでもなお3.84%と単独で日本最大の企業であり、時価総額第2位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の2.99%を1%以上上回る巨大企業だからです。そして念を押しておきますが、これはトヨタ自動車単独一社の影響度だけの話であり、グループ企業や、その裾野までの影響度を勘案した数字ではありません。
トヨタ自動車の対応も悪いと言えば悪いです。これだけ問題が大きくなり、株価急落により株主に迷惑を掛けているにも関わらず、豊田章男社長による本件に対する記者会見は先週末5日(金曜日)午後9時から、名古屋で急遽行われるまで一度もなかったのですから。市場関係者、アナリストなどのどれだけ人がそこに駆け付けられたのか解りません。上場企業として資本市場から資金を吸収している以上、ある程度は、経営トップは市場と対話をすることが求められていると思います。このあたりは同社の対応の悪さに市場が憤るのも無理からぬこととも言えるのですが、逆にいえば、あれだけ表に出なかった社長が今回はやっと出て来てくれたとも言えます。
ただそれと同時に首相や国土交通相も単に消費者と同じ目線でそれらを評価して論じている感が否めません。トヨタ自動車に対する米国側の対応がより先鋭化したのは2月3日経済産業省が発表した環境対応車の輸入車に対する形式認定(※下記リスト参照)で、米国車は43車種中わずかに8車種に留まった時と一致すると言えます。これを受けて、即座に米通商代表部は「失望した」と不快感を表明しており、そうした政治色の強い問題に今回のリコール問題が発展していると見ることができるにも関わらず、消費者目線だけで同じように同社を非難しても良いのかということです。
前回も書きましたが、支持率低下に悩むオバマ大統領の一般教書演説では米国の雇用問題に対する問題意識が色濃く示されました。そしてビッグスリーを(結果として)追いやったトヨタ自動車が品質問題で隙を見せてしまった。このタイミングでトヨタ・バッシングをすることが都合の良いガス抜きになると考えることは極めて容易です。時価総額が示す通り、同社が日本経済に与える影響度合いは非常に大きく、そして自動車の品質問題にかかわるレピュテーショナル・リスクは極めて大きく深刻です。もしこうした仮説が成り立つとするならば、今、国を挙げて救うべきはJALよりもトヨタ自動車なのかも知れないと思えてなりません。
ただちょっとこの問題は長引きそうな気がしています。リコールで部品を取り換えて、それで終了となるほどに簡単な問題だとは思えません。
今週も素晴らしい一週間になることを願っています。
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※参考資料
平成22年2月3日現在
ブランド | モデル | 型式 |
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アウディ | S6 SEDAN/AVANT | ABA-4FBXAS |
アルファロメオ | Brera/Spider 2.2JTS | ABA-93922S |
キャデラック | CTS 2.8 | ABA-X322A |
CTS 3.6/CTS SPORT WAGON 3.6 | ABA-X322B | |
CTS 3.0/CTS SPORT WAGON 3.0 | ABA-X322C | |
STS 3.6 | ABA-X295S | |
クライスラー | GRAND VOYAGER | ABA-RT38 |
シトロエン | C4 | ABA-B55FW |
ABA-B5NFU | ||
C4 Picasso | ABA-B585FTP | |
ABA-B585FT | ||
ABA-B585FXP | ||
ABA-B58RFJP | ||
ABA-B585F04P | ||
C5 2.0 | ABA-X7RFJ | |
C6 | ABA-X6XFV | |
ダッジ | JC SXT/RT | ABA-JC27 |
ハマー | H3 V8 | ABA-T345E |
BMW | X5 M | ABA-GY44 |
X6 M | ABA-GZ44 | |
BMW アルピナ | B3 BiTurbo Cabrio/Touring/Touring Allrad | ABA-3K2H |
B7 BiTurbo Limousine | ABA-JM10 | |
B7 BiTurbo Long | ABA-KM10 | |
D3 BiTurbo Limousine/Touring | ADC-3N1A | |
D3 BiTurbo Limousine/Coupe | ADC-3N1M | |
BMW MINI | MINI JCW CLUBMAN | ABA-MMJCW |
MINI JCW CONVERTIBLE | ABA-MSJCW | |
フィアット | Grande Punto | ABA-199142 |
Panda | ABA-16912 | |
フォード | ESCAPE XLT/LIMITED | ABA-LFAL3P |
プジョー | 207 | ABA-A75FWP |
207 STYLE 1.4 | ABA-A7KFUP | |
207 SW GTi | ABA-A7W5FY | |
308 GTi | ABA-T75FY | |
メルセデスベンツ | E320 CDI | ADC-211022 |
E320 CDI STATIONWAGON | ADC-211222 | |
G500 | ABA-463248 | |
G550 | ABA-463236 | |
ルノー | KANGOO | ABA-KWK4M |
KOLEOS | ABA-Y2TR | |
MEGANE Glass Roof Cabriolet | ABA-EMF4 | |
TWINGO | ABA-ND4F | |
TWINGO GT | ABA-ND4FT |
※上記は全て、経年車(車齢13年超)の廃車を伴う新車購入補助金の対象。
(出典:経済産業省 ホームページより)
楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。
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