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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年2月1日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

2月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(1/29終値)
前週末比
(1/22比)
日経平均 10,198.04 -392.51 -3.71%
NYダウ 10,067.33 -105.65 -1.04%
金利・為替 週末終値
(1/29終値)
前週末比
(1/22比)
長期金利 1.315% -0.010%
ドル/円 90.18  
ユーロ/円 125.92  

下がってきた時こそ、投資のチャンスは広がるもの

前週の総括

■大型株は総崩れ、JASDAQは持ち堪える

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。先週の日経平均株価の下落幅は前週と1円違いの△392.51円となりましたが、下落率に換算すると△3.71%で前週の△3.57%よりさらに大きくなりました。前週持ち堪えた感じのあった市場全体の動きを表す東証TOPIXが日経平均株価の下落率を上回り△4.23%の下落と厳しい展開となりました。市場は先週オバマ大統領が打ち出した金融新規制案の波及効果と中国の金融引き締め観測、あるいは欧州の主としてギリシャを中心として発した信用不安によるユーロ安などを背景にリスク許容度の低下を見極めたいという流れになりました。東証マザーズも△3.13%となりましたが、JASDAQ総合は+0.31%と辛うじて下落を免れています。

 月間の売買代金を振り返ると、1兆6,000億円台や1兆8,000億円台に膨らむ日も多く、1兆2,000億円台や1兆円割れも多々見られた12月相場に比べると、市場全体は大分こなれて動き始めたという印象をもちます。

■ユーロが叩き売られる

 ギリシャの財政難問題が引き金になり、ギリシャ政府は市場に飛び交う噂の火消しに躍起になっているという感じですが、これらを受けてついに先週末終値のユーロは対ドルで7カ月ぶりとも言える1.40台を割り込む1.3864でNY市場での取引を終えました。これを受けて対円では9カ月ぶりとなる安値水準である125円台で取引を終了、日中では124円台に突入する状況もありました。ただ実はチャートを見ていただくと簡単なのですが、9カ月前にあたる09年4月28日の125円割れは一瞬のことで、ユーロが現状の125円前後でしばらく取引されたのは09年2月末から3月中旬のことです。従って、本当は11カ月ぶりの水準まで売られていることになります。まさに世界中の株価が底を打って反転し始めた時にまで遡ります。市場の読む欧州の現状はかなり酷いようです。

■米国FOMCでは金融政策維持が決まったが…

 米国連邦準備理事会が27日に開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)では現状の低金利政策が維持されることが決定しましたが、先週発表された住宅投資関連の経済統計から出口戦略の実施が遅れる可能性も再び懸念され、米国10年債金利も3.5844%と低下して引けました。昨年12月初めに出口戦略の議論から米国長期金利が上昇し始め、これを受けた日米金利差の拡大がドル高円安の流れの源となりましたが、この流れに歯止めが掛かった感じがあります。

 先週27日に発表になった米国新築住宅販売件数は季節調整済みの年率換算34万2,000戸で前月の改定値に比べて7.6%の減少となり、これは市場予想を2万4,000戸下回る水準でした。週初25日に発表された中古住宅販売件数の方も、季節調整済みの年率換算545万戸で前月の改定値比べて△16.7%の減少で、これも市場予想を45万戸下回る結果でしたから、米国商業銀行のリテール部門の決算内容と合わせ、米国住宅市場の回復感にはやや黄信号が灯りつつあるように思われます。ここがしっかりしないと、個人消費の回復が鈍くなりますので、推移を見守らないとなりません。

■中国は元気です!

 一方、そうした主要先進国の流れとは裏腹に中国経済は元気です。市場はマイナス要因とまずは受け止めましたが、26日に「不動産向け融資業務の監督と窓口指導を強化する」と中国銀行業監督管理委員会の主席が正式発表して、バブル懸念を封じないとならないほど元気なようです。まるで1989年頃の日銀発表と市場反応を彷彿とさせます。当時、同様なことを日銀総裁が発表し、公定歩合を引き上げ、金融引き締めに向かい始めましたが、当時の市場動向を駆け出しの頃の自分が重回帰分析した結果(クウォンツ運用のファンドマネージャーとしてデビューしていましたから)を思い出すと、金利に対する感応度はこの当時を境にとうぶんの間、正の相関(利上げ=株高)となっていました。

 確かに、このところ発表が本格化してきた日本企業の決算内容を見ていると、中国経済との関係をどうとっているかが如実に収益状況に反映されています。中国経済に橋頭堡を築いていた企業の決算は好調であり、米国経済に依存し過ぎていた企業のそれは伸びが弱い。ホンダ(7267)や日産自動車(7201)が好調なのに対して、トヨタ(7203)のそれが回復感に乏しいのは、現下話題の大量リコール問題がためだけではないことが何より証明しています。

■ハイテク企業の決算も元気です!

 “ハイテク企業”といっても、どの範囲を指すのかということは議論のあるところだとは思いますが、エルピーダメモリ(6665)の最高益発表のみならず、電子部品など多くの企業で好調な決算発表が予想通り続いています。また半導体製造装置業界の受注状況も好調です。決算数字に表れる利益水準に難癖がついたところもありましたが、基本的に半導体製造装置関連の株価は受注状況に連動しており、当面の半導体業界の動向(技術動向も含め)を考えると受注は伸びざるを得ない状況が続くと思われます。

 ノキア(NOK)の決算が好調だったことも好材料の一つです。世界最大の携帯電話メーカーですが、前年同期比で65%増の大幅増益を発表、その背景にあるのはスマートフォンの予想以上の好調です。ソニーエリクソンはまだ水面下で格闘している感じですが改善の兆しです。また同社がNTTドコモ(9437)から投入予定の『アンドロイド』(Google開発のOS)携帯電話『SH-01B』のレポートを見ましたが、『iPhone』のほぼ独走を許しているスマートフォン市場においても良い競争が生まれ、さらなる発展が見込めるように思われます。

■国内政治は……いけません!

 ただそうした種々の好材料がある中で、国内の政治状況はいかがなものかと指摘せずにはおれません。日本経済新聞で既報(1月28日朝刊)の通り、内閣の支持率を不支持率がついに上回りました。この最大の理由は「政治と金」の問題がクリアにならないからですが、かねてより指摘している通り、普天間基地問題などに起因する日米関係の動向に不安を抱く人が67%にも及ぶことが明らかになってきています。

 トヨタ自動車のアクセルペダルに関するリコール問題などは米国政府の日本に対する“ある意思表示”の可能性が高いと本メルマガ上でも、また幾つかの講演会などでも申し上げてきましたが、現在の状況を見ているとまさにそれが正しかったと思われます。日本最大の企業(TOPIXに対する時価総額比率で単独4%以上の断トツのトップ企業です)であり且つ企業グループ(デンソー(6902)とアイシン精機(7259)を加えた3社だけでも4.8%にもなります)である同社の事業状況は、その裾野を含めるとどれだけ日本経済に影響を与えるのかを真剣に“経済対策”としても考えるべきかもしれません。

 こうした流れはホンダなどにも波及しそうな勢いです。日本政府と同様に支持率低下に悩むオバマ政権も世論に訴えかけやすい政策を打ち出し始めている以上、これら早期の決着が望まれるところです。ただ名護市長選挙の結果を受けて、鳩山首相の選択肢はより限られ、より困難な決断を迫られる状況になったことも確かです。ズルズルと引き延ばすことは決して良い結果を生まないと思われます。ただ野党も野党で何とも頼りないのですが…。

 
(出典:Bloomberg)

<チャートは円とユーロのこの1年間の日足です。--------昨年8月の終りに一度125円台を下回る下髭がありますが、滞留時間が長いのは2月末から3月初めなのが一目瞭然です。>

今週のポイント

■オバマ大統領の一般教書演説に見る日本のリスク

 今月28日に就任1年が経過したオバマ大統領が今年の一般教書演説を行いました。新聞でもいろいろと取り上げられていましたが、ポイントの1つは国内の雇用問題にとても意を割いた内容であったということです。着実に米国経済は回復しているということを強調しながらも、米国人の10人に1人は仕事が見つからないという失業率10%超という現状に配慮したものだと思いますが、全文を読んでみると日本にとっては分が悪いなと思われるような内容が随所にあります。たとえば「最も困難な時代を経ても、人々はせっせと自動車を組み立てている」というくだりがあります。現在、全米では韓国車がシェアを高めかつての日本車の立場に似ており、日本の自動車メーカーは現地生産することで雇用確保の一翼を担っていることは確かですが、さはさりながら、ビッグ・スリーと呼ばれた自動車帝国を崩壊させ、世界最大の自動車メーカーの王座を奪ったのはトヨタです。理屈ではなく、国民感情の問題です。今週、雇用統計が発表になりますがそうそう改善は期待できません。

 別なくだりにはこんな話があります。経済の側面へ話題を展開した段階で「中国の経済革新は待ったなしだ。ドイツもインドも待っていない…」とはじまるのですが、情けないことに日本に対する言及はたとえ話の中にも出てきません。中国に最も勢いがあり、米国にとっての最大債権国が日本では無く中国になってしまった現状では仕方がないのかもしれませんし、単なる私の僻み根性かも知れませんが、日本に言及する点がありません。対中問題では台湾への武器売却問題や、Google(GOOG)の中国撤退にまで発展しそうな難問を抱えつつも、中国のことをとても意識していることは明らかです。日本は身内のように信頼できるパートナーだからという考えがあるからとは、さすがに現在の政治問題を見ていれば誰も思わないでしょう。

 中国をはじめとした新興国への経済依存シフトを進めれば日本経済は安泰だという論点はあまりに飛躍し過ぎたものだと思います。先々はそうかも知れませんが、足元の現状は決してそうじゃありません。今の日本を沈めないためにも何とか政治には頑張って欲しいものです。

■結論:下値は限定的、目線は押し目買い

 さらなる円高、あるいは金融新規制案の具体化によるリスク資産の急激な縮小懸念などが具体化してこない限り、今週の下値は限界的に留まる可能性が高いと考えています。例のごとく、指数の遊びはありますから、日経平均株価が10,000円を割るかどうかを試しに行く局面がある可能性を否定はしませんが、10,980円台で打ち返してきた流れは大台割れトライをすることで一段落になるだろうと思います。

 中国の金融引き締めについても、過度なバブルに走ることを警戒しての政策であり、景気を減速させる意図は微塵もないはずです。ただ市場が浮かれて走り過ぎると時々まさに水を差されるといった形だと思います。

 一方、先週発表されたマイクロソフト(MSFT)や既報のインテル(INTC)の決算内容に象徴されるように、パソコンに代表されるハイテク企業は総じて世界的に盛り上がる需要に勢いを増しています。投資対象を選別してチャンスを狙う、あるいはグローバル・エコノミーの伸長を享受できるような投資を行うなど、投資機会はむしろ増えつつあると考えています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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