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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年1月25日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

1月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(1/22終値)
前週末比
(1/15比)
日経平均 10,590.55 -391.55 -3.57%
NYダウ 10,172.98 -436.67 -4.12%
金利・為替 週末終値
(1/22終値)
前週末比
(1/15比)
長期金利 1.325% +0.005%
ドル/円 89.83  
ユーロ/円 127.01  

金融新規制案、米国経済、国内政治と不安材料は多いが…

前週の総括

■下落はしているが、強いなぁという印象

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は一週間で△3.57%の下落となる391円55銭安の10,590.55円となりました。シカゴの日経平均先物は大証の終値10,580円よりも200円安い10,380円で終了、週明けの東京市場にも不安を残す展開となっていますが、一方市場全体の動きを表すと言われる東証TOPIXは週を通じて△2.63%の下落と日経平均株価の下落よりも小幅に留まっており、東証マザーズやJASDAQ総合指数などの中小型株市場の指数は前者が+0.97%、後者が+1.20%とむしろ反対にプラスとなって終わっています。売買代金も週の後半21日と22日にはともに1兆8千億円台に達するなど、外部環境とは裏腹に「強いなぁ」という印象を抱かせる展開となっています。

■オバマ政権もポピュリズムに走るのか?!

 先週後半の市場の話題といえば、米国オバマ政権が打ち出した大手金融機関に対する新たな規制案です。ポイントは2つで(1)預金を取り扱う金融機関に対し、ヘッジファンドのような市場でのリスク投資を禁止するというものと、(2)負債の規模の制限、つまり全米で預金シェアが10%を超えることになるような合併を認めなくするというものです。前者は銀行が過剰なリスクを取って破綻するようなことが起きなくすることを目的としたものであり、後者は「大き過ぎて潰せない」というような巨大銀行の登場を阻むためのものと言われています。

 リーマン・ショックで傷ついた金融機関に公的資金を大量に注ぎ込み、金融危機の拡大を食い止めたまでは良かったわけですが、その結果、急速に業績を回復した金融機関が再び高額な報酬(日本の金融機関では想像もつかないような高い水準)を払い始めたことに対してウォール街批判は高まっています。日和見的対応と指摘されてもやむを得ないほどに今回は唐突感を否定できず、やはり支持率低下に悩むと、オバマ政権と雖もポピュリズムに走りたくなるのかと感じます。

 週初にマサチューセッツ州で大事な民主党議席を補選で共和党に明け渡し、上院での審議妨害を排除できる安定多数(60議席)を割り込んでしまったオバマ政権としては、今秋の中間選挙までに何とか態勢を立て直し、支持率を回復しないとなりません。唐突に今回の金融新規制案が打ち出された背景にはそうした政権内部の焦りがあるのではないでしょうか。

■金融機関の次に標的になるのは?

 だとすると、もし今回の金融新規制案が上述のように支持率低下に悩むオバマ政権のポピュリズム志向に関わるものだとしたら、次の標的になるのは何かを考えておく必要があります。この意味においても、18日から始まった我が国の通常国会が、首相や小沢民主党幹事長の「政治とお金」の問題だけに終始するようだと、日本市場のせっかくの回復はどこかで大きく水を差されかねません。決して「政治とお金」の問題を適当に早く片付けろという意味ではなく(この問題はこの問題として、別に行を割かないとならない由々しき問題です)、「普天間基地問題」に絡んで日本が次の標的になる可能性があるということです。普天間基地問題は環太平洋の米軍再編ロードマップに深く関わっており、そこにはやはり米国の国家予算(税金)が当然大量に費やされています。ここに米国内世論の目が向いたら、支持率低下に悩む政権が次に繰り出すカードはなんでしょうか?

■国内政治も火種が消えていない

 週末、民主党小沢幹事長が自らの資金団体「陸山会」の土地購入問題を巡る事件で、東京地検特捜部の事情聴取を任意で受けました。4時間半に及んだと報道されている内容に、国内世論が納得し、そして再び現鳩山政権の支持率向上が見られるならば、この問題については市場も現時点までのような問題視しない状態が続くとも思われますが、週明け以降の展開の中でより混迷するようだと、市場の上値を圧迫する要因であり続けるかも知れません。首相自身の問題もまだクリアになったと言えず、国内政治の問題はまだ燻り続けると思われます。

■米国経済の先行不透明感も為替変動要因

 米国経済の先行き不透明感が銀行決算の内容や住宅着工の水準などで高まってきています。一時は「いつ利上げが必要か」というような出口論にまで発展していた状態を織り込みつつあった米国債券市場も、足元は極めて慎重な姿勢になり、10年債金利も3.5%台をみるところまで低下してきています。ここしばらくの間のドル円相場の決定要因は日米の金利差にあり、米国の金利低下を受けて週末の終値は89円台。21日に91円台後半があったことが嘘のようです。

 さらに、ギリシャの財政懸念など欧州の信用リスク不安や、中国の金融引き締めなどへの警戒感からユーロが対ドルで2009年8月半ば以来の高値となる1.40台まで売られました。この流れに合わせて、当然対円でも円高が大きく進んでいます。週末の終値は127.01円。瞬間的には126円台半ばまで上昇するなど、かなり円高に進んでいます。

■外国人投資家の日本株買い越しは消極的な理由

 ただこれらを見ていて不思議だなと思うのは、前者が米国の問題、後者が欧州や中国の問題と、日本発の問題ではないということです。外国為替とは、本来2国間の通貨交換に絡む相場水準ですから、当事国同士の状況が共に論じられるべきだと思いますが、日本問題は蚊帳の外。すなわちこれが今年に入って外国人投資家が日本株を買い越している理由ということになります。それは決して喜ぶべき話ではなく(株価が上がるという面では嬉しいですが…)、日本株はアジア・アロケーションの中で引き下げ過ぎていたウェイトをパッシブに引き上げただけと読めます。決してポジティブに評価した結果、積極的に買いに来たのではないという意味です。

 
(出典:Bloomberg)

<チャートはドルとユーロのこの1年間の日足です。--------昨年8月の頃の水準までユーロが売り込まれていることが分かります。ただ週末にはやや反転していますが…。>

今週のポイント

■ハイテク、とりわけパソコン関連企業に好材料続く

 見てきたように、森を見ると悲観論とまではいかなくても慎重論を唱えたくなる材料が山積ですが、一方でハイテク、とりわけパソコン関連企業の好材料は絶え間ない感じです。前回も申し上げたように、インテル(INTC)の決算からパソコン市場が“株式市場の予想以上に好調”なことは明らかですが、おおよそパソコン・ケースの中に入っていると思われるものは好調なようです。HDDのスピンドル・モーターを作る日本電産(6594)や、HDD用ヘッドを作るTDK(6762)などはその代表例ですが、ツガミ(6101)のようにHDDの仕上げに使う小型自動旋盤を作るようなところまでその恩恵が拡がっています。

 また日東電工(6988)のように液晶パネルの偏光板に使う材料などを提供する企業も、タッチパネル(『Windows 7』から導入)に使われるフィルムが伸びるなど、通常の季節性とは違う状況になっています。当然、パソコン関連の代表格としては半導体がありますが、DRAM価格の上昇に合わせて設備投資も再開されるなど動きが活発化しているのはご承知の通りです。

■結論:森を見ながらも、木を見て投資を!

 大きく市場全体を俯瞰すると決して好材料は見えてこないと思われます。しかし、ここしばらくの市場の流れを見ていると、市場はリーマン・ショックを乗り越えて、相当打たれ強くなったかに思われます。増資額が当初市場予想よりも増えた三井住友FG(8316)の株価が材料出尽くしと判断されたのか、逆に上昇したことがそのひとつの証左です。悪材料で下がらなければ、ショート筋(売り方)は買い戻さざるを得ません。今はそうした局面なのでしょう。押したとしても、そう深くはならない展開が予想されます。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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