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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年12月21日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

12月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(12/18終値)
前週末比
(12/11比)
日経平均 10,142.05 +34.18 +0.34%
NYダウ 10,328.89 -142.61 -1.36%
金利・為替 週末終値
(12/18終値)
前週末比
(12/11比)
長期金利 1.230% -0.045%
ドル/円 90.44  
ユーロ/円 129.66  

新年に向かって潮目が変わりつつあるマネーの流れ

前週の総括

■もたつき続ける日本株市場

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。プラスかマイナスかという議論でいえば、日経平均株価はプラスになりましたが、それもわずかに+0.34%。TOPIXで+0.56%。先週発表された銀行の自己資本規制に対するバーゼル銀行監督委員会の発表(後述)はもう少しTOPIXベースに好影響を与えると期待されましたが、市場はサラっと受け流した感じです。東証マザーズ指数は+1.82%、JASDAQ総合も+1.11%ともたつき続ける大型株に比べれば比較優位感はありますが、それでも東証マザーズの水準は2週間前の水準より若干低いレベルで終わっています。東証一部の売買代金も、バーゼル銀行監督委員会の発表があった16日だけはメガバンクがストップ高を演じるなどの部分があったため、1兆5,354億円まで膨らんでいますが、その前日は1兆2,000億円にも届かず、残る3日間も1兆2,000億円台を辛うじてキープしたという感じです。

■米国市場は揃って52週高値を更新

 翻って米国市場、先週はNYダウ、S&P500種そしてナスダック総合指数と揃って一時52週高値を更新しました。つまり過去1年間の高値を取ってきたということです。終値ベースの週末比較ではナスダックを除きNYダウもS&P500種もマイナスとなってしまいましたので分かりにくいかも知れませんが、この間に行われた重要なイベント「FOMC(連邦公開市場委員会)」の内容を受けて、市場はあるコンフィデンスを持ち始めたのかもしれないとも思っています。あわせて言うならば、グローバルな投資マネーの流れが変わりつつある潮目変化の予兆かも知れないと思っています。

 

<FOMCでは上記のような現状認識から、下記の通りの政策見通しが発表されました>

 
(作成:楽天投信投資顧問)

■自画自賛にも映るFOMC

 16日に行われた米国FOMCの総論としては、サブプライムローン問題に端を発し、未曾有の世界金融危機にまで発展した一連の流れの中で被った米国の経済不況に対するFRB(米連邦準備理事会)の各種施策が功を奏し、良い方向に向かいつつあるということを確認したように思われます。「経済活動は引き続き上を向いている」「労働市場の悪化は鈍化している」「住宅セクターは改善を示す一定の兆候が見られる」などの声明はまさにその好例で、「家計支出は依然抑制されている」などとしながらも、おおむねFRBの制御下にあるかのように受け止めている印象を受けます。

 そして同時に今回のFOMCでは政策金利であるFFレート(フェデラル・ファンドレート)の誘導目標は0-0.25%に据え置くことが発表され、利上げ懸念は一掃、一方で特別流動性措置は2010年2月1日で終了すると発表されました。商業用不動産価格の値下がりなど、まだ諸問題が言われていますが、こうした流れの中で、米国主要市場の株価が52週の高値を揃って越えたということは意味ある出来事だと思われます。

■米国の出口後を探る流れが始まったのか?

 リーマンショックを含むこの1年半程度のドル、ユーロ、円といった主要通貨の相関を追ってみると、世界を駆け巡る投資マネーのスタンスの変化が分かります。ご承知の通り、それ以前はユーロの評価が一番高かったとも言えます。しかし、加盟国自体がデフォルトするような話が飛び交う中で、比較優位としていったんは円が人気を集めた(円高)のは記憶に新しいところで、そして今年に入って流れはドルへと回帰しました。やがてそうしたマネーのリスク許容度の高まりとともに、低金利で調達したドルを売って商品や高金利通貨へ投資するいわゆる「ドル・キャリー取引」が活発になったというのが直近までの流れです。

 しかしここにきて、ドバイショックなどもきっかけの一つと言われていますが、流れが変わってきつつあるようにも見えます。金価格の高騰一服や、原油や高金利通貨の流れもそうした潮目の変化の象徴かも知れません。課税強化などをも跳ね返して人気を集めていたブラジル株も週初14日に高値69,785ポイントを付けましたが、その後は続落状態となり、週末終値は66,794と4.3%の下落となっています。当然、レアルももたつき始めています。年末が近づくにつれ、来年以降の新しい流れを感じさせるような動きが散見され始めつつあるように思われます。逆にいえば、投資収益をどこの市場で稼ぐかにしても、米国市場の流れからは引き続き目が離せないということにもなります。

 
(作成:楽天投信投資顧問)

 
(出典:Bloomberg)

<今週のチャートはブラジル・レアルと日本円のクロスレートのこの1年間の推移です。-------高金利通貨の人気を象徴し、年初から円安基調で推移してきましたが、54円を目前に足踏みとなり、現在は50円台で横這っています。>

■バーゼル銀行監督委員会、規制強化を延期

 今回の世界的な金融危機の流れの中で銀行セクターは不良債権の増加などを理由に世界的に低迷しましたが、中でも日本の銀行株については最近低迷の度合いを強めています。逆に問題の発端となった米銀に関しては、明確にどん底からの回復軌道を描きつつあります。当初は日本の金融機関は相対的にサブプライムローン関連のダメージは少ないとされ、円が買われる理由にもなったのですが、ここ最近は明らかに日本市場の株価低迷の理由、NT倍率上昇の理由の最たるものとなっています。その第一の理由が相次ぐ増資であり、その必要性を迫っていたのが、バーゼル銀行監視委員会が求める銀行の自己資本の充実でした。この基準を満たすために、MUFGは1兆円の普通株による増資を行いますし、他のメガバンクも追随すると思われています。

 ただ今般、同銀行監視委員会は規制強化の延期を決め、事実上の撤回とも思われる発表を行いました。確かに「いずれは増資を迫られる」あるいは「増資しないと投資家からの評価が厳しくなる」などといった考え方があるのは事実ですが、間違いなく足元の需給悪化要因ではなくなったはずです。そうにも関わらず、このアナウンスメントによる銀行株買い戻しの流れが続かなかった状況は、市場の関心が他にあるということの証左です。すなわち、根本的な日本の内需に対する疑心暗鬼です。国内景気の回復により、通常に銀行業務で内部留保を充実させていくことはできないという見通しです。時間稼ぎをしてもな意味だという冷めた見方が根底にあることを否定できません。

今週のポイント

■何のカタリストもなく、クリスマス休暇に突入

 外国人投資家の多くがクリスマス休暇に入る前には、結局これといった株価反騰のカタリストとなりそうな材料は提供されませんでした。言い換えると、当面ポジションをどちらかに積極的に傾けたり、ロングでもショートでも「これぞ千載一遇のチャンス」とポジション・リスクを取りに行ったりする必要性が生じる可能性が感じられないままに、クリスマス休暇に突入するということです。

■2010年度予算の行方と与党の動き

 連日新聞紙上を賑わしているのは経済ネタよりも政治ネタ。政府がデフレ宣言をし、日銀もデフレを容認しないことを表明しても「ならどうするの?」という答えは一向に聞こえてきません。2010年度予算がどうなるのか、どこにどのようにお金が使われ、そしてどこからどのようにその財源を引っ張ってくるのか? その議論がグルグルと回っているだけである限り、日本経済の今後を見極めることはできません。成長ストーリーを描けないでいる内に実体経済悪化の話は、FOMCで自画自賛できるような米国の状況とは裏腹に日毎高まるばかりです。時事通信社が実施した世論調査(2009年12月11日〜14日の調べ)によると、内閣の支持率が50%を割り46.8%になったと報道がありましたが、ポピュリズムで始まった政権の“人気”がわずか3カ月で半分以下になったという現実は、かなり厳しい認識を伝えているように思われます。

■結論:救いはドル買いによる円安

 積極的にここから日本株を売る理由もなく、同様に買う理由もないというのが正直なところですが、90円台をつけたドル円は市場に好感される材料の一つかも知れません。しかし、ギリシャの格下げ以降、欧州に対する不安が根強く、ユーロは対円でこそ129.66円ですが、対ドルでは1.4337と3カ月半ぶりの安値を付けています。ソニー(6758)のように、対ドルの変動免疫力を高めたグローバル企業は国内でも多くなってきましたが、対ユーロになると無策なところが多いのも事実。ゆえに、対ドルの変動だけで10,200円レベルをクリアしていく材料になるのかどうか、半身に構えながら見守っていきたいと思います。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪米国市場主要株式指数、52週高値更新!≫

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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