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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年12月14日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

12月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(12/11終値)
前週末比
(12/4比)
日経平均 10,107.87 +85.28 +0.85%
NYダウ 10,471.50 +82.60 +0.80%
金利・為替 週末終値
(12/11終値)
前週末比
(12/4比)
長期金利 1.275% -0.010%
ドル/円 89.08  
ユーロ/円 130.20  

Good News & Bad News

前週の総括

■為替に振り回される株式市場

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価こそ週末比較ではわずかにプラスを維持できたものの、TOPIX、東証マザーズはともにマイナス圏、JASDAQ総合はほんのわずか(0.31%)にプラスという展開です。要するにこれといった動きはなかったということです。12月4日に日経平均株価は米国雇用統計の市場予想を大きく上回る好結果を受けて反騰して始まりましたが、米国景気の回復期待から再度ドル・キャリー取引(低金利のドルを調達して、ドルを売って、高金利通貨などに投資する)が復活し円高になると値を崩し、逆に週末には円高に一服感が出たので、株価が少し戻ったという感じ程度です。株式市場固有の理由というよりは、また国内要因というよりは、まさにすべて外部要因に振り回されているだけと言えます。

■SQは無事通過、ただ出来高は低調なまま

 先週末は先物とオプションの同時SQでしたが、これもまた日経平均株価に採用されている1銘柄あたり約200万株程度の売買で、差し引きでは10万株程度の買い越しと同時SQの売買高としては極めて低調です。裁定解消絡みの売買を含めても、この日の売買代金は2兆500億円ですから。SQ値は9,982円59銭と10,000円にはわずかに届いていません。何らかの意図的な水準作りがあったとすれば、10,000円に乗せたくなかったと見る方が無難、つまり逆に言うと9,500円よりも上にあれば良かったということです。先週来の戻しに腕力があるとすれば、そのためだったと言えます。ゆえに、SQ明け後となる今週以降に自ずと警戒感が求められます。

 
(作成:楽天投信投資顧問)

■国債44兆円以下は撤回された

 いろいろなアドバルーンがありましたが、結局、2010年度予算の新規国債発行額について、当初発表されていた「44兆円以下にする」という目標はうやむやなまま撤回されることになりました。なぜ44兆円という数字なのか、というより44兆円とはどんな水準なのかということはきちんと認識しておく必要があり、それが今後の日本経済にどんな影響を与えるのかということについては、冷静に判断しておく必要があります。

 本当は44兆円という数字自体には大した意味はありません。それが45兆円になろうが、極論を言えば50兆円になろうが、その数字自体は大した意味はありません。ただ問題は、どういう考え方でそれをどこまで膨らまし、またそれをどういう形で将来的に減らしていき、削減していくのかという、正しく論理的に因数分解されたロードマップが示されているかということです。単純に「親子リレー・ローン」で2世代、3世代にわたって返済していきましょうという絵では困ります。

 44兆円という数字自体の意味は、前麻生自民党政権時代に示された“戦後最大規模となる景気対策実施”により膨張する支出項目と、景気低迷により落ち込む税収分を見越して差し引き計算された“すでにかなり水膨れした”水準です。だからこそこの「44兆円以下にします」という主張がされてきたわけです。それがころっと前言撤回され、目標が明示されなくなってしまいました。財政規律崩壊が始まったと危惧されるのも無理からぬことです。

 
(作成:楽天投信投資顧問)

 
(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは原油価格の推移です。-------世界景気の回復見込みなどもあり80ドル台も見た原油価格ですが、再び先週末60ドル台まで下落してきました。何を意味するのかは考えておく必要があります。>

■ただ債券市場は冷静な反応、ゆえに怖いとも言える

 前述の44兆円以下撤回という話が出てきたことで危惧したのは債券市場の反応です。先週はギリシャ国債の格下げなども出た直後ですから、財政規律の崩壊などもあわせて考えると、いつ日本国債の価格が急落(長期金利急騰)してもおかしくはないとも思われたからです。

 ただ日本国債は、米国債を中国や日本などの国外投資家が大量保有するのとは違って、ほとんど国内でその発行分が消費されているため、国外からの目というよりは、国内機関投資家の景況感見通しを大きく反映します。その結果、先週末の1.285%に比べてむしろ金利は低下して1.275%になっています。これこそ、景気が回復して設備投資などの資金需要が高まり、貸出先が増えるという見通しがない、少なくとも国内機関投資家(銀行や生命保険など)はそう考えているということに他なりません。1.3%前後を押し目買い水準と彼らが考えている以上、それは日本の景気見通しがそうなんだということに他ならないということで、かなり憂慮すべき状況とも言えます。

今週のポイント

■普天間問題は越年? 日米関係はどうなるのか?

 あっという間に師走も半ば、残された時間はあまりありません。2010年度予算の問題なども大いに注目されるところですが、普天間問題の行方は引き続き最大関心事のひとつであり続けています。18日に開催されるCOP15(国連気候変動枠組み条約締約国会議)で「時間の無駄」と言われてオバマ大統領との会談が成立しないような状況が続くようならば、これは年明け以降に大きな問題として日本経済の前に立ちはだかるだろうと思われます。現政権の解決すべき難題はあまりに多くなってしまったと感じます。

■株主配慮の増資はGood News

 12月13日の日本経済新聞の報道によれば、東京証券取引所が株主への影響が少ない株主割当増資の活用を促せるような環境整備に乗り出すと発表したようです。事実ならば数少ないGood Newsであることは間違いありません。

 現状の日本株の低迷理由の一つには増資ラッシュがあります。銀行の自己資本規制の強化などにより、すでに三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が年内1兆円超の増資をおこない、これに他のメガバンクも続くと言われ、また一方で事業法人なども転換社債などを含めて資金調達を急いでいます。これが市場からリスクマネーを吸い上げる形になり、また公募増資により希薄化する株式価値を敬遠するため、公募増資予定銘柄は叩き売られるという構図が続いています。しかし、既存株主の持ち分の希薄化が起きない形の増資となれば、少なくとも今現在のように株価が需給悪化だけをはやして低下することはなくなるとも言えます。もし、次に増資を発表するメガバンクが、すでに発表している三菱UFJフィナンシャル・グループとは違う形での増資を発表すれば、それを市場は好感することさえ考えられるのではないでしょうか。少なくとも、すでにそれらの株価はある程度“覚悟した株価”になっているからです。

■結論:まだまだ気を緩めるのは早い

 今週が、まともに外国人投資家が市場に関与する年内最後の週になります。来週になれば、クリスマス休暇に入る外国人投資家がグッと増えるため、市場の閑散度合いはさらに強まるでしょう。

 ただ、現実には12月末決算のヘッジファンドなどはパフォーマンス報酬を狙うためもあり、最後の最後まで粘る可能性があります。少なくとも、昨年、今年とそう稼げているファンドはありませんから、悠長にクリスマス休暇だからと言って休まないはずです。一方、大手機関投資家などの動きは停滞することが予想されますゆえに、この機をついて仕掛け的な動きがあるという可能性は多分に否定できません。もともとすでに低調な市場ですが、この時とばかり仕掛けてくる可能性はあります。だからこそ、まだまだ油断は禁物です。私は先週末の12月SQがある転換点になるとずっと考えていましたので。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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