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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年12月7日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

12月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(12/4終値)
前週末比
(11/27比)
日経平均 10,022.59 +941.07 +10.36%
NYダウ 10,388.90 +78.98 +0.77%
金利・為替 週末終値
(12/4終値)
前週末比
(11/27比)
長期金利 1.285% +0.040%
ドル/円 90.54  
ユーロ/円 134.52  

短期的かつあまりに急激過ぎるこの戻しには懐疑的!

前週の総括

■日本市場は大幅高となった

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価はこの一週間で10.36%もの上昇を見せ10,000円の大台を回復して終了、TOPIXも前週末対比で+9.69%となる78.59ptsの上昇となって889.58となりました。その一方で米国NYダウの上昇はわずかに0.77%であり、S&P500種が+1.33%の上昇、ナスダック総合も+2.69%ですから、いかに日本市場が固有の動きを見せて上昇したのかお分かりいただけると思います。ドバイ問題が拡大しなかったこと、日銀が表明した10兆円の追加金融緩和策を評価して円高が一服したことが主たる背景にありますが、短期的かつあまりに急激過ぎるこの株価の戻しには相当懐疑的な見通しを持っています。

■ボラティリティは上昇、NT倍率は高止まり

 前回までの論点検証ですが、ボラティリティは「株価が下げ止まるためには経験則的には最低でも30以上への上昇が必要」と申し上げていますので、この週末現在34.934まで上昇しており、絶対値としては下げ止まりを示唆しています。しかし、負の相関関係があるという論点が実は大変重要で、「株価が下落しながら」というただし書きがつくことを忘れてはなりません。その意味において、今回は株価上昇でボラティリティが上昇していますので、経験則的には「ボラティリティの水準から急落シグナルの点灯は消えた」ということだけが言えます。底打ちのシグナルにはなっていません。

 一方、NT倍率ですが、こちらは週末の水準が11.27ですから、前週末(11月27日)の11.20よりはむしろ上昇、11月20日の11.32よりはやや下回りますが、11月13日の11.27とは同一ということです。つまり高止まりしたままであるということで、まだNT倍率の修正による株価下落のリスクは充分に残されているということができます。

 相関係数についても、裁定の0.79台からは回復傾向にありますが、0.85台まで戻ったところですでに腰折れていますので、安心するのはまだ早いと思われます。

■為替は金利水準の推移を映しているか?

 為替のこのところの動きもかなり急激です。前週末終値が1ドル86.15円で14年振りの円高水準を経験したところですが、この週末の終値は90.54円と、相当慌てて一気に円安に押し戻した感じがあります。金利水準の状況でいえば、日銀が追加の金融緩和策を発表する直前の1.215%の水準からは0.07%戻した1.285%で引けていますが、11月下旬の水準に戻しただけとも言うことができます。

 一方、米国長期債(10年)の金利も、「雇用統計ショック」とも言われるほどに市場予想を上回る結果(雇用者数の減少が予想よりも大幅に少なかっただけで、雇用が失われているという事実自体は一緒です)などを受けて、週末4日の米国市場では少し持ち直して3.4722%となっていますが、実はこれも11月上旬のゾーンに戻しただけで、まだ金利が上昇基調に入ったと切り出すには材料不足です。ちなみに、11月上旬の頃でいうならば、為替の水準は90円前後、まさに現在の水準です。ただ、当時の日本の円金利は1.4%台ですから、金利差の話(金利が高い方にお金は流れる)からすると、もっと円安になっていないとならないとも言えます。ドル・ユーロの関係は同期間の水準に戻しています。

 
(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは日経平均株価の一目均衡表です。-------先週の戻しがいかに急激な戻しであった、また上に垂れこめる雲を突き抜けていけるのは議論の分かれるところだと思われます。>

 
(出典:Bloomberg)

<今週2枚目のチャートは、今回もヒストリカル・ボラティリティ(10日間)と日経平均株価の推移です。もし、株価が8,500円程度まで下落してボラティリティが上昇していたのならば、これで見事に底打ちと思えたのですが…。>

今週のポイント

■需給ギャップは10兆円の金融緩和では埋まらない

 先週、急激な円高を食い止めたのは、間違いなく日銀のファイン・プレイだと思います。為替市場に介入することなく、10兆円の資金供給策を発表することで市場に一定の安心感を与えたのは紛れもない事実です。10月末にCPや社債の買い取りを止めることを表明したばかりでしたので、市場は「君子は豹変するんだな」ということを認めたのかも知れません。

 しかし、政府が認めた、そして日銀総裁も追認した日本のデフレの原因である需給ギャップの規模は35兆円にも及びます。仮に追加金融緩和分がすべて金融機関から流れて需要創出に向かったとしても、まだ25兆円分は不足です。3.5倍の乗数が掛からない限り足りません。欧米の水準は日本の7%に対して3〜4%ですが、10兆円ではその水準にも回復しません。

 政府は追加の経済対策を取り纏めるとアナウンスだけはしていますが、当初予定の4日には発表できず、現状は8日(火曜日)の予定です。もし、ここで肩透かしをするようなことになれば市場の落胆は大きなものになると思われます。そしてそこには2010年度予算との整合性、財源の問題との整合性が避けて通れません。根拠(財源)なきままの追加経済対策となれば失望売りを誘発しかねません。先週末に相当量のショート・カバーが入ったことを考えると、新規にショート・ポジションは作り易い状況になっています。

■結論:慌ててソワソワする必要はない

 追加経済対策や2010年度予算などの問題も重要ですが、現在最も危惧して推移を見守っている問題は普天間問題です。年内の決着が難しくなったと発表されましたが、日米同盟の根幹に関わる問題であり、これが長引けば長引くほど、両国の関係には冷たい風が吹き込むことが予想されます。「そんなの関係ない」という視点があることは充分理解していますが、すでに日本は米国にとっての最大債権国でもなくなっている(現状は中国が一番)上、支持率低下に悩むオバマ政権にとって、オバマ大統領のメンツを潰すような事態は回避して欲しいと思っています。

 なぜなら、来年は日本で参議院選挙もありますが、米国も中間選挙(上院の3分の1、下院の半分が改選される)の年だからです。すでに国民皆保険制度の問題で支持率低下に悩む同政権にとって、信頼のおけるパートナーと思っていた相手から反旗を翻されることほど不愉快なものはないだろうと思われます。

 民主党の前回衆院選での圧勝は、国民世論の圧倒的な自民党政権に対するNO!の表れだったことは事実です。民主党の掲げるマニフェストなどが大多数の世論の支持を受けたことも事実です。しかし、それが来年の参議院選挙での議席数までをも計算・視野にいれた一票だったかといえば、当然それもNO!です。来年の参院選のことばかりを考えて、足元の重要な政策課題の判断が歪むような連立政権の在り方はいかがなものかと言われても仕方ないと思われます。政治に関する問題はあまり触れたくないのですが、14年前の急激な円高の背景は日米の貿易摩擦問題だったという事実を思い出す時、今そこにある危機は何なのか、答えは明白なような気がしています。日本が円高には耐えられないと考えられているということは、今回の株価急落でも証明されたわけですから。「強い円は国益に適う」とばかり円高歓迎、内需で景気回復と狼煙を上げるには、需給ギャップ35兆円問題はあまりに矛盾した現実と言えます。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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