※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年11月30日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

11月第5週

マーケット概況

株式 週末終値
(11/27終値)
前週末比
(11/20比)
日経平均 9,081.52 -416.16 -4.38%
NYダウ 10,309.92 -8.24 -0.08%
金利・為替 週末終値
(11/27終値)
前週末比
(11/20比)
長期金利 1.245% 0.060%
ドル/円 86.54  
ユーロ/円 129.71  

安易な楽観論より、下落後の準備の時

前週の総括

■悪い予想が当たってしまった

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。先月来(1)NT倍率の高止まり、(2)日経平均株価とTOPIXとの相関係数の歪み、そして(3)ボラティリティの水準の話と3段階で論を展開しながら下値リスクの高まりを考えてきましたが、悪い方向に予想は当たってしまっています。この一週間の市場の動きは上記表の通りですが、先月末と比較すると、さらに日本市場の停滞ぶりが浮き彫りになります。

 10月30日との比較でみると、NYダウは+6.15%、S&P500種は+5.34%そしてナスダック総合指数は+4.56%という米国市場の流れに対し、日経平均株価は△9.50%、TOPIXは△9.35%と多く下落、さらに東証マザーズに至っては△14.15%の下落とかなり厳しい状況になっています。

 長期金利の状況についても、月末対比でも△0.160%の下落なのですが、税収不足と来年度予算膨張に伴う国債増発による需給悪化懸念などから月中に跳ね気味の時につけた高値1.490%から見たら△0.255%も急低下したことになります。そして残念ながら、株も債券も、まだそのネガティブな流れに変わった状況は始まったばかりという感じをいなめません。

■ドル全面安が招いた結果の円高

 先週の株価下落の大きな要因の1つは急激な円高です。(結果は同じことなのですが)円が買われたのではなく、ドルが売られたゆえの“円高ドル安”なのですが、水準は95年4月から6月の頃の水準(4月19日に最高値79.75円)に匹敵する一時84円台への突入がありました。ユーロも一時126円台に突入しましたが、週末の終値は129円台で終わっています。

 米国の低金利政策が当面は続きそうだという読みが続く中、米国金融当局はドル安を容認するようなスタンスを示したため、安心して低利のドルを調達してドルを売る「ドル・キャリー取引」が続いていることが背景にあります。日本では藤井財務相が「注視する」といった発言をしていますが、財務相就任早々の介入否定論発言や外需主導ではなく内需主導による景気回復を目指すという現政権の考え方などをベースに、市場参加者の間には日本は円売り介入はしない(できない?)との読みが根強く、円高の流れが加速したとも言えます。

■寝耳に水のドバイ問題(債務返済繰り延べ)

 しかし、ことドル・キャリー取引の問題に関しては、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの政府系投資持株会社ドバイ・ワールドによる債務繰り延べ要請が発覚したことにより解消が進み始め、やや巻き戻しが起こっています。とは言え、これをきっかけとして世界的な株安が中国上海市場からブラジル市場に至るまでおこり、欧州株は7カ月ぶりの大幅安となりました。もしドバイの債務が不履行になった場合、欧州系金融機関の不良債権額が大きく膨らみ(欧州の金融機関のリスク資産は最大400億ドル(約3兆4380億円)に上る)、回復過程にある金融機関のバランスシートが再び毀損するという懸念が拡がったからですが、ドバイ全体の債務800億ドル、ドバイ・ワールドだけで約600億ドルの債務を抱えているといわれています。

 
(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは1994年からのドル円チャート(週足)です。------ まさに14年ぶりの円高、その当時の記憶を紐解くことは、今後の投資の参考になると思われます。>

■ボラティリティは底打ち、反転を始めたのか?

 ボラティリティと日経平均株価との間には負の相関関係があり、また「ボラティリティの水準が危険水域にまで低下しています」ということは前回ご説明しましたが、先週の4%を超える下落により、やや水準は回復し週末現在の水準は17.2286です。ただ、このように一度1桁台にまで低下したボラティリティが、原資産(日経平均株価)の下落を伴って上昇し始めた場合、株価が下げ止まるためには経験則的には最低でも30以上への上昇が必要で、その意味においてはまだ“経過観察中”という感じです。また今回の下げ局面ではまだNT倍率の修正が始まったばかり(週末現在11.20)というのも、「これで下げ終了」と思わせるにはまだ不充分な材料となっています。

 
(出典:Bloomberg)

<今週2枚目のチャートは、前回も掲載したヒストリカル・ボラティリティ(10日間)と日経平均株価の推移です。持ち直し始めましたが、安心するのはまだ早いです。>

■ブラック・フライデーは前年を上回る

 明るい話題をひとつみつけました。米国では感謝祭翌日の27日が年末商戦の始まりで、また多くの小売業が黒字になることからブラック・フライデーと呼ばれていますが、今年のそれは比較的好調なスタートを切ったようです。全米最大の家電量販店であるベスト・バイのブライアン・ダンCEOによると、早朝の来店客数は前年を上回るペースで伸びているというコメントが発表されています。『Windows 7』を搭載したパソコンや薄型テレビなどが人気を集めているようです。前回も申し上げた通り、こうした分野には明るい回復の兆しが出てきているのは確かなようです。どうして『Windows 7』の立ち上がりが好調で、それが何をもたらすかについては、マネーサービスの最新号などに書き下ろしましたので、ご参考になさってください。

今週のポイント

■ドバイ・ショックはまだ織り込めていない

 先週がサンクス・ギビング・デー(感謝祭)による休日で26日は休場、翌27日も半日だけの取引であったこともあり、先週末の米国市場でドバイ・ショックは完全に織り込めたとは言えないと思われます。同期間の米国を訪問された方ならお分かりだと思いますが、日本で言うならお盆休みや年末年始のお休みのような状況だからです。多くの人が休暇をとり、故郷に帰省したりしています。金融市場はそんなにのんびりしていないという見方もできますが、それは期待し過ぎだと思います。

 ゆえに、今週の米国市場などの立ち上がり状況には注目したいと思います。欧州系金融機関への影響についても、もう少し議論が進むことと思われますし、その連鎖反応を含めて「金融危機はまだ終わっていなかったのか」というような見方についても、市場はその解釈を求めて深めていくものと思われます。現状、米国市場のみならず、日本を除く多くの市場ではポジション的に利益が乗っている水準のところが多く、利益確定の動きがどこまで進むかは確認していきたいところです。

■グローバルな投資資金は駆け巡っている

 ベトナム中央銀行が25日に利上げと通貨ドン切り下げを発表したことを受けて、ベトナム・ホーチミン市場のVN指数4.5%急落し、3カ月ぶり8月19日以来の安値水準となる503.41で引けるなどの超金融緩和状態から抜け出すような動きは見られ始めていますが、今回のドバイ問題などもあり、当面は、全世界的な金融緩和状況が引き続き続くものと思われます。すなわち、グローバルな投資資金は潤沢に供給され、商品などを含めてなお引き続き収益期待の高いところへはマネーは押し寄せることになると思います。日本市場においても、国債の増発がこれほど懸念されるなかでも、長期金利が上がるどころか大きく低下するというのは、貸出先のない金融機関が国債を買い続けているからにほかなりません。つまり、金余り状態は続いていますし、まだ当分続きます。

■結論:出動の準備を始める時

 円高は目先的には間違いなく輸出企業の収益にはネガティブな影響を与えますから、これらの株価は下がることはやむを得ないとも言えますが、一方で、外国人投資家などの間には来春の100円以上の円安を見込むストーリーが広がりつつあるのも事実のようです。株価が大きく下押しするような局面では、テクニカル・リバウンド狙いも含め、冷静に出動できるような準備をしておきたいものです。

 前回のレポートでも書きましたし、またブラック・フライデーの状況などを見ていても、『Windows 7』登場にかかわって恩恵を受ける企業というのはひとつの着目点だと思います。日本は多くの面で閉塞感が漂っていますが、それが世界の状況を象徴していないことは、株価動向の比較からだけでも明らかです。外需関連が下押しをするような局面を拾い始めるというのは、ひとつの選択肢だと思ってみています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪一時1ドル84円台への突入し、14年振りの円高水準に注目!≫

■円安反転を期待し、外貨建てMMFで為替差益をねらう!

米ドル建てMMF(ゴールドマン・サックス米ドルMMF)の詳細はこちら
米ドル建てMMF(ゴールドマン・サックス米ドルMMF)

マスターファンドに投資することを通じて、高格付けの米ドル建て短期金融商品に投資し、米ドルベースの元本と流動性を確保しつつ最大限の収益の獲得を目指します。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)より「AAAm」、ムーディーズから「Aaa/MR1+」とそれぞれ最高位の格付けを取得しています。

ファンドの詳細・注文はこちら

ユーロ建てMMF(ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド)の詳細はこちら
ユーロ建てMMF(ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド)

ユーロ建の短期証券で運用し、好利回りを目指します。質の高い金融市場証券に投資することにより、元本を維持し流動性を保ちながら、好収益を得ることを目的とします。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。株式投資などの有価証券投資は、投資元本が保証されているものではありません。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2009 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.