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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年11月24日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

11月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(11/20終値)
前週末比
(11/13比)
日経平均 9,497.68 -272.63 -2.79%
NYダウ 10,318.16 +47.69 +0.46%
金利・為替 週末終値
(11/20終値)
前週末比
(11/13比)
長期金利 1.305% -0.035%
ドル/円 88.88  
ユーロ/円 132.09  

笑っていられない政府の「緩やかなデフレ」認定

前週の総括

■テクニカルには売られ過ぎとも見られなくはないが…。

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。10月6日に付けた日経平均株価の安値9,628.67円は下回らないだろうと見ていた向きには驚きもあったかも知れません。それは何の抵抗をすることもなく、株価はスルスルとその水準もブレークしてしまったからです。日経平均株価は週間で△2.79%の下落、TOPIXにいたっては△3.24%の下落と冴えません。昨年末との対比でみても、残念ながらTOPIXについてはついにリターンがマイナスの領域に入ってしまい、年初来パフォーマンスは△2.39%という不甲斐なさです。日経平均株価の方は外需の影響を受けやすいこともあり、まだ年初来パフォーマンスはプラス7.20%ですが、米国市場の主要株価3指数(NYダウ、S&P500種、NASDAQ総合)の中で最も出遅れているNYダウでさえ年初来パフォーマンスはプラス19.03%ですから、いかに日本の株式市場(すなわち日本経済の今後に対する見通し)の状況が病んでいるか一目瞭然です。

■政府でさえ、3年5カ月ぶりに“デフレ”と認める酷さ

 政府が20日の月例経済報告で日本経済は「緩やかなデフレの状況にある」と認めました。デフレとは、基本的には需要が供給に届かず、値段を下げないとモノが売れないという経済状況が生み出す産物であり、インフレでモノの価格が上がってしまう状況よりも性質が悪いと思います。人々が、必要最小限のものを、それも少しでも安く買おうと汲々としている様子が伝わってきます。インターネットの普及で経済構造が変わったからとか、消費者が賢くなって選択的な消費行動をとるようになったからなどという意見もあります。学術的な解釈を加えれば、もっと別な言い方もできるとは思いますが、要するに人々が不要不急の出費を抑え、効用が同じものならば、より安いモノへ流れるようになっているからです。その根幹にあるのは将来への漠たる不安、無駄を抑えようという心理です。そのデフレを政府が認めながらも、その俯いたマインドを持ち上げるような政策は見えてこないことが、今の日本株式市場の根本的な問題だろうと思われます。

■ボラティリティの水準が危険水域まで急低下しています

 市場関係者ならば独自に市場の状況を見極めるために注目している指標類がいくつかはあると思いますが、私の場合のそのひとつは「ヒストリカル・ボラティリティ(10日間)」で、実に90年代から着目してきました。チャート化すると明らかなのですが、ボラティリティと原資産価格との間には負の相関関係があります。この点に着目した見方をもって、昨年7月4日に「急落に備えよ!」という緊急レポートをお届けしたことがあります。その後の顛末については言うまでもなくリーマン・ショックへと市場は向かっていくのですが、現状、日本株式市場のその指標が示す限りにおいては、残念ながら状況はリーマン・ショックが起こる前よりも悪い状況になってきました。

 11月第3週には、20台はあったのですが、先週急落、11月18日は危険水域である一桁台に突入し8.619、週末時点のそれは9.220です。更に悪いことには、NT倍率までが底打ち反転しており、この2つの状況を勘案すると、実はかなり居心地の悪い事態になっていると言わざるを得ません。

 ボラティリティは原資産価格(この場合は日経平均株価)が上でも、下でも、動いてくれさえすれば基本的にある水準以上に上がるのですが、過去の経験則として、一桁水準まで一度落ち込むと、それは原資産価格の上昇による場合よりも、急落することにより上昇するという習性があります。株価の上昇により多少はボラティリティが戻ることもありますが、90年代以降の市場で見ていく限り、だいたいはその後にヒヤッとする場面を迎えています。

 
(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは日経平均株価のヒストリカル・ボラティリティ(10日間)と日経平均株価のこの1年間の推移です。本来はもっと長い期間でみているのですが、足もとご覧いただけるように、危険水域と考える一桁の水準になってきています>

■長期金利は引き続き低下中

 政府がデフレと認めるような状況ですから、長期金利が低下するのは至極当然と言えば当然なのかも知れませんが、一方で、歳入と歳出予定のバランスが取れずに国債の発行予想額が膨張しそうな雰囲気ですから、需給悪化による悪い長期金利の上昇を想定することも理に適っています。しかし現状の軍配はデフレの方に上がっています。

 前回も触れましたが、景気が回復過程にあり、企業の資金需要が旺盛であれば、銀行は貸出を伸ばすことで、預金で集めた資金の運用先を確保することができますが、設備投資は「下げ止まりつつある」という政府見解とは裏腹に、銀行は貸出しが伸びずに運用難に陥っています。とはいえ、リーマン・ショック以降、株式などへの投資は手控えられる方向にあり、国債買い入れのニーズは根強いというのが現下の金利動向(債券市場)のようです。

今週のポイント

■米国の住宅関連統計とその市場反応には注目

 今週、米国はサンクス・ギビング・デーで26日が休場となりますが、そもそもこの週には外国人投資家の動きは例年きわめて鈍くなります。そんな中、先週発表になった住宅着工に続き、今週は中古住宅販売と新築住宅販売そしてケースシラー住宅価格指数など、米国の住宅市場関係の統計発表が相次ぎます。市場予想を下回る結果となった住宅着工について、いったんは大目に見た感じの米国市場ですが、中古住宅販売などに再度陰りが出ると、再び嫌がるムードが出てくるかも知れません。NYダウが10,500ドルを目前に足踏みをしている感じもありますが、日本市場と違って多くの投資家が年初来で利が乗っており、いったんは利益確定の動きに出てきてもおかしくなく、そのきっかけは何になるかはわかりません。

■『Windows 7』が好調なのは朗報

 注目すべきはハイテク株というのは今年の一貫した主張ですが、先週マイクロソフト社のCEOであるスティーブ・バルマー氏のコメントは、暗雲立ち込める株式市場関係者にとって朗報の一つになったと思われます。それは「『Windows 7』の売上は、過去のOSの2倍の勢いだ」というものです。それを裏付けるかのように、世界の主要半導体メーカー65社が加盟する世界半導体市場統計(WSTS)が発表した2011年の世界半導体出荷額の予想は、過去最高だった2007年を上回り、過去最高になる見通しだということが17日に発表されました。

 DRAMの話ばかりではなく、当然これにはフラッシュメモリーなども含まれるので、必ずしもパソコン需要ばかりがその理由にはなりませんが、少なくとも、人々がモノを買わないことで悩んでいる日本の経済状況にとっては何とも朗報であることに違いはありません。ただ残念ながら、日本のそれはそれほど芳しくないという見通し、というオチがあるのですが…。

■結論:“その時”がくる準備をしておきたい

 株式のみならず、通貨選択という意味においても人気剥落、地位低下が著しい日本市場の金融資産ですが、円ベースの投資家にとって、日本株や日本の債券は決して最後まで見捨てることのできないものであることは事実です。ブラジル・レアルに投資しようと、中国・人民元に投資しようと、最後にそれを消費する時には、それが日本国内である限りにおいては、絶対に円資産に戻さないとならないからです。

 そして為替予約をすることによって、どんな高金利通貨などに投資しようとも、その投資収益は円金利に収斂するという金利裁定(為替予約メカニズムそのものですが)がある限り、それは確実なリターンではなく、為替リスクを背負ったが故のリターンであるということも事実です。だから決して円資産に対する投資の準備を怠るべきではないと思っています。

 目先、日本株にとってはもう一度は厳しい局面があるようにも予想されますが、そうした時に冷静に投資が出来るように、逆にいえば、そういう局面こそ投資の最大の好機になるのですから、今から“その時”が来たら何を買うのか、買うべきなのかを考えておくのが現在の一番有意義な過ごし方のように思います。もちろん、デイトレーディングができるならば他の方法もたくさんあるとは思いますが…。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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