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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年11月16日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

11月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(11/13終値)
前週末比
(11/6比)
日経平均 9,770.31 -19.04 -0.19%
NYダウ 10,270.47 +247.05 +2.40%
金利・為替 週末終値
(11/13終値)
前週末比
(11/6比)
長期金利 1.340% -0.110%
ドル/円 89.67  
ユーロ/円 133.64  

悪い話ばかりというのが、良い話なのかも知れない

前週の総括

■さらに売買代金は低調を極め、ボラティリティも再度低下

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。先週の日本株式市場の動きを一言で表すなら「これ以上ないほど低調です」とでも言いましょうか。前日のNY市場の堅調を受けて前場は小高くなるものの、後場に入ると急速に萎える状況が続き、週を通じたザラバの値幅も高値が9,979.46円(10日10:31)、安値が9,719.38円(13日9:29)と上下に300円もありません。売買代金は1兆2千億台が3営業日(13日は辛うじて65億円だけ上回っただけです)、残る2営業日は1兆1千億円台と前週よりもさらに低調となりました。この流れを受けて、いったんは戻りかけていたボラティリティも再度低下、しらけムードは極まったという感じです。

■NY市場は2週連続で上昇、年初来高値も更新

 そんな日本市場の体たらくをよそに、NY市場はNYダウ、S&P500及びナスダック総合ともに好調で、それぞれ2.40%、2.26%そして2.62%の週間上昇率となっています。12日にNYダウが94ドル程度下落する場面がありました、市場からの声は「7連騰だからいったんは利益確定の売りが出ても仕方ない」といった前向きなトーンのものが多く、その翌日は再び70ドル以上の上昇となりました。背景にあるのは米国企業の第3四半期決算の好調があり、S&P500種の構成企業のうちでいえば、その80%以上の企業が市場の予想平均を上回る決算を発表しているからと考えられます。

■日本も電子部品企業などは収益好調

 翻って日本の場合はどうかといえば、ずっと申し上げている通り、ハイテク企業の収益状況はおおむね好調、とりわけ『ネットブックPC』の好調やパソコン用OSのメジャー・リニューアルとなるマイクロソフト社(MSFT)の『Windows 7』の投入に恩恵を受けたような企業の決算は好調です。たとえば、ハード・ディスク・ドライブ(以下、『HDD』)はパソコンが1台売れれば、ほぼ間違いなく1台売れる(最近はフラッシュメモリーだけの『SSD』というのもあるため、全部とは言えなくなりました)わけで、その中心で駆動しているモーターの市場をほぼ独占している日本電産(6594)は四半期として過去最高の出荷台数を記録し、一方でそのモーターにより回転するガラス製のHD基板を作るHOYA(7741)は工場の新設を決めるほどに好調、そのガラス基板へのデータ読み書きを担うヘッドを作るTDK(6762)なども好調です。

 さらに、DRAM価格もこのところ好調に一本調子で値上がりしており、エルピーダ(6665)などからも元気な声が聞こえ始めています。これらはこのところ手控えられていた半導体製造装置への投資を間違えなく喚起するものであり、今後の流れには注目したいところです。

主要電子部品黒字化、DRAM価格急騰
(作成:楽天投信投資顧問)

<電子部品主要7社の7−9月期決算の内容は売上が全社2ケタのプラスであり、営業利益も全社黒字へと変わりました。右のチャートはDRAM価格のチャートですが、ひと世代前のDDR2のタイプでさえ、リーマン・ショック前の水準を取り戻し、またDDR3のタイプは3ドルが見えるまで戻ってきました>

■補正予算の一部停止が響き始めた内需

 外需関連はそれなりに基調を上昇方向に戻しつつあるものの、内需関連のファンダメンタルズは2番底を窺う様相を呈してきました。景気回復のために前政権が行った補正予算が停止となったことがボディブローのように内需に効き出しているようです。新聞報道にもありましたが、H型鋼などの鋼材価格の下落が顕著です。前回の下落局面では過剰に膨らんだ在庫が原因となり、その適正水準に戻るまでは厳しいだろうと思われました、在庫水準が適正になっても、需要が回復しない(止められるものもあるため)ため値下がりが顕著です。素材の値下がりは一面では製造原価の低下に繋がるので景気にとっても好材料となる時もありますが、需要が回復しない中での、それも従来適正水準といわれていた在庫水準まで低下しても続く価格下落というのは恐ろしい問題を孕んでいるといえます。デフレ・スパイラルに陥る可能性が高まって(もうそうなのかも知れませんが……)います。

■長期金利は急低下

 長期金利が一週間で0.110%も低下しました。前週末(11月6日)の新発10年国債の金利水準は1.450%で、一部に「悪い金利上昇」が懸念され1.50%台回復のシナリオも聞こえ始めていましたが、先週末(11月13日)の水準は1.340%、地銀勢を中心とした買い戻しに債券市場は買いタイミングを睨み合うチキンレースを一気に諦めたのかも知れません。来年度予算や財政再建に絡む問題は、この週何もクリアになっていませんので、供給サイドの問題より、債券を買わざるを得ない金融機関(貸出しが全く伸びない)の需要サイドの問題が動き出したという感じです。

今週のポイント

■気になる日米関係の行方

 株式市場関係者が今回のオバマ大統領の来日を含め、普天間問題などに端を発する日米関係の行方に気を揉む理由は、足もとの現実として米国市場に依存せざるを得ない外需型経済構造の日本に対して、いくらでも切ることができる経済的な「いじめカード」を米国が持っていることをよく覚えているからです。

 単純な話、円高ドル安を容認するどころか、少しぐらい誘導することは米国政府にとってとても簡単なことです。「強いドルは国益に適う」と言っていますが、基軸通貨の国が債務の削減を通貨安によって行うことは簡単な理屈であり、またグローバル化した米国企業にとって、ドル安はトヨタ自動車が円安で潤うのとまったく同じ理屈で潤いを与えます。米国はその気になれば、農産物や原油など多くの資源を自給自足できる、いわばあまり輸入をあてにしないでも良い国ですから、ある意味「強いドルは国益に適う」という主張は額面通りに受け取らない方が良いともいえます。現実に90年代に円高で日本をバッシングした歴史があるのですから、だから株式市場関係者は日米関係の行方に気を揉むのです。

■日経平均株価とTOPIXの相関低下が示す暗雲

 何度かNT倍率という「日経平均株価÷TOPIX」の水準ということで、対TOPIXに対する日経平均株価の割高感をお伝えしてきましたが、両指数の相関度という視点で見ても、嫌な予感がしてきました。私のような、根は楽観論者が悲観に傾き過ぎた時が「買いタイミング到来」と揶揄されることは承知で理屈をご紹介します。

 日経平均株価とTOPIXの相関性は、当然定量的に計測でき、通常はその相関係数はおおむね1に近い、すなわち多少のぶれはあっても、だいたい同じ動きをしています。しかし、過去に何度かその相関係数が急低下し、その後に株価が下がっている局面を何度か確認することができます。この10年間程度でいえば、2000年ミレニアムに向かってソニーなどハイテク株が連騰してITバブルの頂点に向かった局面や、その崩壊後、いったん日経平均株価が10,000円の大台を割り込んでから戻るような2002年初めの動きなどにそれら見られます。

 じつは今、現在の状況がまさにその状態で、印象としては2002年初めの状況に酷似していると見て取れます。当時、日経平均株価は12,000円程度まで回復するのですが、そこから再びつるべ落としのように8,000円割れまで下落します。ちなみに、現在の日経平均株価とTOPIXの相関係数の状態は1999年末と同等の水準まで低下しています。前述のファンダメンタルズに響く状況などと合わせ、嫌な予感がしてなりません。

NT倍率と相関係数
(作成:楽天投信投資顧問)

■結論:出動準備をする用意をしましょうか?

 正直、いい加減に慎重論や悲観論ばかりを口にするのに飽き飽きしてきました。前段で申し上げたように、日本企業の中にはたくさんの魅力的な投資先があるからです。ただやはり、短期で収益を上げなくてはならない機関投資家などの目線になると、「買いましょう」とはなかなか言えないのも事実です。日本株の投資信託の人気が全くなくなってしまっているように。

 ただ、安くなった時こそ、あるいは安くなりそうな局面こそ、本来的には買い出動をして仕込み始める好機であるのは事実です。市場コメントをすると「上がるでしょう」とはとても言い難い状況が続いています。ただ、仕込むには良い状況が始まりつつあるとも言えます。

 メガバンクの大型増資開始の号砲が予想通り鳴りました。今の体たらくな日本株式市場の状況では大変不安な話です。でももしそれが何かの刺激となるのなら、いったんはヒヤッとするような水準訂正があって、ボラティリティが上がるというのも、今の市場にとってはむしろヘルシーな出来事なのかも知れません。

今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含むへの投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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