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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2009年9月28日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (9/25終値) |
前週末比 (9/18比) |
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日経平均 | 10,265.98 | -104.56 | -1.01% |
NYダウ | 9,665.19 | -155.01 | -1.58% |
金利・為替 | 週末終値 (9/25終値) |
前週末比 (9/18比) |
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長期金利 | 1.305% | -0.030% | |
ドル/円 | 89.65 | ||
ユーロ/円 | 131.68 |
先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価の下落率でみると日本市場は踏み止まったように感じられるかも知れませんが、市場全体の動きを表す東証TOPIXベースでみると下落率は△1.79%となり、その922ptsレベルは7月24日(920.48pts)と同水準となります。じつは、その翌営業日7月27日以降、日経平均株価は10,000円の大台を超えるのですが、同日はまだ9,944.55円でした。
添付の表は過去1年間のNT倍率の推移を表しています。ご覧の通り、週末の11.1264は過去1年間の最高値となります。ちなみに最低値は昨年10月24日の9.4889で、詳細は後述しますが、奇しくも同日はドルが1995年8月以来の95円割れを示現した日で、今回、ドルが7カ月振りに90円割れを示現というタイミングと合っていることに不思議な因縁を感じます。NT倍率の過去1年間の平均値は10.4061、これに単純に週末終値の東証TOPIXを掛け合わせると9,601.40となり、すなわち市場全体の過去1年間の水準感と照らすと、日経平均株価は週末に限らず、すでに10,000円の大台を割っている感じでもあったと言えます。かかって数字のマジックと言えるのですが、逆算するとTOPIXが960.97pts程度が日経平均株価の10,000円レベルとも言え、当月に入ってから先物で変に日経平均株価だけ高止まっている感じがしていたことを裏付けることができるのかもしれません。
(作成:楽天投信投資顧問)
NT倍率が上昇している背景は、趨勢的には内需関連株よりもハイテク関連の株価が好調であったからであり、これはかねてから申し上げている「ハイテク関連に投資妙味がある」ということ、あるいは「NYダウ関連銘柄よりもオバマ政権始動後は(日経平均株価の連動性の高い)ナスダック関連銘柄に魅力がある」といった見通しの正当性を裏付けていると思われます。
しかし、直近のNT倍率急騰の背景にあるのは週末顕著となった金融関連、不動産関連銘柄などの急落が効いていると言えます。
その背景は(1)野村ホールディングス(8604)の増資発表が金融機関の増資ラッシュ開始を想起させ、需給悪化を連想させたこと、(2)亀井郵政・金融担当相の3年間モラトリアム発言が銀行の不良債権増加を想起させたこと、そして(3)G20で金融機関の自己資本規制が強化される見通しとなったことなどが影響しています。
市場全体に悪影響を与えているもう一つの大きな材料が円高です。G20開催に先立つ24日、ガイトナー米財務長官が「強いドルは米国にとって非常に重要だ」と発言、ドルが対ユーロで1.48前後から1.46レベルまで買われる場面もありましたが、対円では藤井財務相があらためて為替介入に否定的な発言をされたため終始円高となっています。
その後、米国8月の新築住宅販売件数が前日発表になった中古住宅販売に続いて市場の期待ほど芳しいものでなく、さらには耐久財受注も伸びていないことから、米国の低金利政策は当面続くという思惑、さらには英国発のポンド安が加わって円高が加速しました。
(出典:Bloomberg)
<今週のチャートはドル円為替の1年間の日足です。---- 7カ月ぶりの水準。円高が止まらないと、株価はちょっと厳しい展開になるかもしれません。>
残念ながら普通にG20から発信されたニュースや、マクロ経済の統計、あるいは政治家の発言を聞いている限りでは、なかなか明るい絵は描き難いというのが本音です。野村ホールディングスの増資発表は、単体では5000億円程度の増資に過ぎませんが、これが多くの金融機関の増資ラッシュ開始の最初の号砲だとしたら需給悪化は避けられません。JAL(9205)の公的資金申請問題も、何のために民営化したのかという話を含めて、まだまだひと悶着もふた悶着もありそうです。
ただ一方、ハイテク業界からは変化や革新を含む、いろいろなニュースが聞こえてきており、またそれにあわせてリアルに景気の良いストーリーも伝わってきています。まずその代表例がサンフランシスコで9月22日から開催されている「Intel Developer Forum(IDF)」でしょう。これは半導体世界最大手のインテル社(INTC)が半年に一度開催している開発者向けフォーラム(私も何度か投資家として参加したことがあります)で、まず最初に聞くべきはCEO(最高経営責任者)の基調講演です。要は世界中で、パソコンの心臓部であるMPU(Micro Processing Unit)のほとんどのシェアを握っている企業の最高経営責任者による、ビジネス環境に対する基調講演ですから面白くないわけがありません。日本経済新聞 9月24日の朝刊にもその引用がありましたが、今回ポール・オッテリーニCEO曰く2009年の世界パソコンの出荷台数は「横ばいか微増になる」と強気なコメントをしました。現在主要な調査会社であるIDCなどは減少を予想しており、またセルサイド・アナリストの多くもマイナスを予想していましたので、これは朗報です。すでにゴールドマン・サックスなどは見通しを引き上げ始めています。
これに呼応するわけではないですが、米国ハードディスクドライブ・メーカー最大手のSeagate Technology(シーゲート、ティッカー:STX)も22日に7-9月期の売上高を従来予想の「24億ドルから26億ドル」というレンジから「26億ドルを若干上回る」と発表しています。
心臓部であるMPUと主たる記憶媒体であるHDDの最大手が揃ってパソコンの見通しを上方修正しているということは、当然、それらに関わる日系電子部品メーカーが恩恵を受けないわけがありません。技術トレンドなどを追いかけていても、この部分には大きな変化を感じます。
「東京ゲームショウ2009」がこの24日から27日まで千葉市の幕張メッセで開催されました。昨年は19万人以上が来場した世界最大級のゲームの祭典で今回は18カ国・地域から180の企業・団体が出展し、新作ゲームや開発技術などを披露しましたが、外国企業の出展が2社にまで減ってしまった東京モーターショウとは違って、かなりな熱気に包まれていました。
新作が発表されるごとにグラフィックス水準が上がっていくという流れと別に、やはり注目すべきはワイヤレス通信機能をハード、ソフト共にどんどんと取り込んでいっている流れです。ゲーム・ソフトそのものを媒体を使わずにダウンロードするという発想であり、『PSP』や『Nintendo DS』同士がアドホックに通信をして楽しむというものです。どんどん世代間格差で私も含めて取り残されていく宿命ですが、ゲームを繋ぎながら、ゲームとしてもコミュニケーションのひとつの形態としても発展している状況には目を見張るものがありました。
週末の為替の水準から考えるに、恐らく今週の株式市場は厳しい展開になることが予想されます。30日は上期決算日でもありますから、何らかのドレッシング(お化粧買い)が古典的な発想としては期待される部分もありますが、それもあまり多くは期待出来ないだろうと思います。またNT倍率の修正があるようだと、日経平均株価の位置は案外スルスルと水準訂正をするかもしれません。ただ実質的な水準は前述の通りですので、たいして驚くものでもないと言えますが。
その一方で、ハイテク産業のように大きな転換点をむかえているものがあります。クラウドコンピューティングのような大きな流れから、『Windows 7』の発売開始など諸々です。そうしたことで恩恵を受ける企業を探すことこそが、本来の株式投資の醍醐味だと思います。身近な製品から辿れる米国企業の株式に投資することも、以前のように敷居の高い話ではなくなりました。今こそ、そうしたグローバルな視点に立つことも面白いのではないでしょうか。ただ全体を見てしまうと悩みは多いかも知れません。森を見ず、木をみて過ごしましょうという感じです。
今週も素晴らしい一週間になることを願っています。
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楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。
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