※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年9月24日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

9月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(9/18終値)
前週末比
(9/11比)
日経平均 10,370.54 -73.79 -0.71%
NYダウ 9,820.20 +214.79 +2.24%
金利・為替 週末終値
(9/18終値)
前週末比
(9/11比)
長期金利 1.335% +0.035%
ドル/円 91.29  
ユーロ/円 134.34  

思考停止の日本市場、その原因は明らかなのだが…。

前週の総括

■長期休暇前と“超”不透明な政治

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。振り返ってみると、それでも上下に「273.06円!もあったのか!?」と思ってしまうほど、もし大きなアクティブ運用のポジションを持つ立場であったら、こんなにイライラする時も少なかっただろうなと思わずにはいられない一週間だったと思います。それはふたつの要因からです。ひとつ目は年末年始やゴールデン・ウィークなどの長期休暇前に運用者が当然感じる「ポジションをどうしようか」と考える悩みからですから、これはカレンダーがある限り仕方のないことです。

 しかし、もうひとつの問題はそうも言っていられません。すなわち政治の問題です。鳩山新政権での閣僚人事が発表になりました。308議席を獲得した民主党議員がその大半に就任したとはいえ、わずか7議席の社民党や3議席の国民新党からも閣僚入りが発表されました。そしてそれこそが現在の“超”不透明な政治状況を作り出しており、市場関係者を相当イライラと悩ませていることだと思います。

■郵政・金融担当相などの発言の重み

 市場関係者がまず真っ先に耳を傾ける新閣僚の発言といえば、直接的に金融市場に関係する郵政・金融担当相の発言です。就任直後に官邸で行われた記者会見の内容などについても、恐らく多くの市場関係者が眠い目をこすりながらも深夜のTVにかじり付いていただろうと思います。もちろん、私もその一人でしたが、新大臣達の記者会見番組が進むにつれ、そしてすべての新閣僚の記者会見が終わった段階で私の脳裏に浮かんだものは「???」です。与野党の逆転、政権交代があり、政権移行チームなどの充分な準備が為されていなかったから、あらかじめ人事の内示などもなく、心の準備も完全でなかったから、だから仕方がないと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、正直、個々の準備不足は否めませんし、政権与党としての調整が行き届いているとは思えない発言が多いと思いました。

 中でもかねてから中小企業の支援を主張していた国民新党から政権入りを果たした亀井新郵政・金融相の「債務返済の3年間猶予」発言、あるいは「日経平均先物不用説」などには、市場関係者の多くが眠気も酔いも醒めるような思いを抱いたはずです。また為替が円高(実際はドル安)に動いて市場が神経質になっている時に、藤井新財務相は為替介入について微妙な言い回しをするわけでもなく「公の介入はよくない、自由経済の牙城だ」と断言されました。元FRB議長のグリーン・スパン氏のスピーチのように、市場に充分に咀嚼する余地を与えるような名スピーチをして欲しいとは思いませんが、これでは新政権は「円高放置」と市場に受け取られても仕方ありません。確かに介入についての発言は自由に前言撤回できるという暗黙のルールはありますが…。

■スピーチ・ライターは居ない?

 「Yes、We Can!」のオバマ大統領の名台詞は若いスピーチ・ライターが書いたものだったと記憶していますが、従来、日本の政治家の発言には優秀な官僚の人たちの知恵が入っていたのは事実です。今回の民主党政権を国民が支持した基本の部分が“脱官僚政治”なのは確かですから、そうした彼らの知恵や充分なサポートを意図的に拒絶してスタートしているからという見方はできなくはありません。ただ、外交政策、とりわけ対米政策を中心に、国家の存在は継続性があってこそ国家としての永続性があるわけですから、そうした点も踏まえて、是非慎重に事を進めて欲しいというのが市場関係者の偽ざる気持ちだと思います。国家の重責を担う閣僚が不慣れとはいえ、与党内での擦り合わせなどが充分でないままに、不用意に私見を発するのはいかがなものかと。そもそも閣僚に私見などというものはないのですから。

■国民が支持した政策とは

 そしてもうひとつ、選挙結果が示す圧倒的多数の国民が支持したマニフェストは民主党のマニフェストだということです。連立政権を組むがために、308議席を支持した国民の意図を汲まずに7議席や3議席の少数野党のそれに振り回されるようなことがあれば、それは国民の意図とは違ってくるはずです。しいてはそれは政権の不安定さを想起させるもので、そうした不透明感を市場は最も嫌います。「結局、永田町のやっていることは分からない」と言われないためにも、そこは明確にして貰いたいというのが市場からのメッセージであり、ゆえに日本市場は今取り残されているのだと思います。気の早い人は「もって来年の参議院選挙までだな」と言い出しているくらいですから。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャート1枚目は日経平均株価のこの1年間の日足です。---- 衆院解散が決まってからというもの、ずっと泣かず飛ばずです。>


(出典:Bloomberg)

<今週の2枚目のチャートは注目の米国ナスダック市場のこの1年間の日足です。---- 上の日経平均株価のチャートと比べてみてください。明らかに市場の勢いが違います。オバマ大統領の支持率が低下していると言われているのに、この違いです。>

今週のポイント

■連休の谷間、上半期末前など様子見材料には事欠かない

 ある種のヘッジファンドのように毎日売り買いを繰り返して収益を上げて行く投資手法は別として、ポートフォリオを組んで、よく言われるような「ベンチマーク運用(TOPIXなどのインデックスに対してプラス・アルファの超過収益を狙う運用手法)」をしているファンドマネジャーならば、少なくともこの24日、25日で超過収益を稼ぎに行くようなポジションを取りには行かないはずです。現実に「シルバーウィークは有給休暇を消化して9連休にします。」という年金運用関係者の話はよく聞いています。

 日本市場は好調な米国市場には取り残された感は強いですが、3,000ptsをいったん回復した上海総合指数は、8月下旬の戻りの時と同じように、やはり前回指摘した75日移動平均線に絡んで打ち返されておりちょっと心配な感じもしています。

 為替についても、この原稿執筆時点(23日正午)の水準で見ると、ユーロは134円台ですから問題ないですが、ドルが再び90円台(90.74円)を付けてきていますので、政治要因などを含めて、全体感も基本姿勢は慎重論でいます。ゆえに、少なくともこの二日間は動き難いだろうと思います。

■結論:街に出てみませんか?

 シルバーウィーク前半は、高速道路の混雑を見ていても、相当多くの方が海に山に行楽にお出掛けになったと推察します。景気回復、景気浮揚という意味では、国民経済にとって少なからずプラスになっただろうと思います。財布の紐は堅く、消費は伸び悩んだというデータがのちに発表されるかもしれませんが、実体験とあわせて考えても、家族や気の合う仲間との行楽こそ、リフレッシュして気分一新するのに最高の妙薬だと思うからです。「景気の気の字は気分の気」と常々考えている者として、数字には表れない効果がたくさんあったはずだと思っています。

 そしてこの週末は、ぜひ、街に出て近くのカー・ディーラーや家電量販店、あるいは普段は行かないスーパーなどに出掛けてみることをお勧めします。住宅展示場なども面白いかも知れません。

 これは昔から自分自身がファンドマネジャーとしてこんな市場環境の時に好んでしてきたことですが、普段は乗らないタイプの車を試乗してみたり、最新の電化製品を見てみたり、きっと新しい発見が必ずあるはずです。それこそが投資アイデアの最大のヒントだと思っています。

 巣篭もり消費が言われてスーパーにPB商品が増え始めてから1年です。その種類や品数は信じられないほどに増えています。最新の住宅展示場に行けば、太陽電池や燃料電池などエコの新しい方向性を体感することもできます。そんなことに時間を費やされても、決して無駄になることはないだろうと思います。逆にいえば、モニターを見ながらそわそわしてもあまり意味のない二日間だということです。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪日経平均は、週を通じて10,000円台を推移!インデックス型投信に投資!≫

■日経平均株価に採用されている銘柄に投資!

MHAM株式インデックスファンド225

日本の金融商品取引所に上場されている株式に投資する。日経平均株価採用されている銘柄の中から200-225銘柄に、原則として等株数投資を行う。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。株式投資などの有価証券投資は、投資元本が保証されているものではありません。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2009 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.