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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年9月14日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

9月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(9/11終値)
前週末比
(9/4比)
日経平均 10,444.33 +257.22 +2.52%
NYダウ 9,605.41 +164.14 +1.74%
金利・為替 週末終値
(9/11終値)
前週末比
(9/4比)
長期金利 1.300% -0.030%
ドル/円 90.72  
ユーロ/円 132.19  

政権交代しても、日本だけがもたついている危機感

前週の総括

■材料難とSQへの思惑

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。正直に言えば、先週の日経平均株価の動きくらい「嘘くさい」と思ったのも久し振りです。それは「市場が間違っている」というような意味ではなく、何か「人為的に操作されているなぁ」ということです。この1週間の日中足の推移を見ていただければ一目瞭然ですが、9月限の日経平均先物とオプションの同時SQとなる週末11日の寄付きに向かって、かなり意図的に前日に10,500円回復が作られたという感じだからです。10日の引値で10,500円が回復し、SQ算出時においてそれは維持したものの、後場にはもう10,500円は一度もつけていません。ちなみに、週末のNY市場などの動きも織り込んだシカゴの日経平均株価の終値は10,445円ですので、週明けも冴えない動きから始まることが予想されます。

■出来高の減少がさらに続いている

 前回、前々回も触れましたが、株式市場の売買代金減少が続いています。週明け9月7日に至っては1兆475億円まで減少、米国市場が休場で外国人投資家がお休みだからという言い訳もありますが、個人投資家が主なお客様である楽天証券でも株式の取扱いが足元は減っていると聞いていますので、外国人ばかりが減っているとは言えません。週末こそ先物とオプションの同時SQであったことから売買代金も2兆円台を回復していますが、6月のSQ時は約3兆円であったことと比較すると、力不足は否めません。材料不足とだけ片付けてしまうにはちょっと不安を残す現状です。

■SQ後に不安を残す理由

 これだけ出来高が少なくなると、先物主導で株価を先導することは、ある程度のポジションを持つことが出来るならば容易なことです。大きなファンドを動かすファンドマネジャーにとって、自分のファンドを動かす(銘柄入れ替えなどの売買を行うこと)ことによるマーケット・インパクト(1市場が変動してしまうこと)が最大の気掛かりであることの裏返しで、それを意図的に行えば簡単なことだからです。

 ましてや今回のSQに向かっては、ボラティリティの低下から、オプションの建玉枚数も相当膨らんでいました。「10,500円未満だとアウト、それ以上だとセーフで利食い」というようなポジションを積み上げていたとしたら、それを取りに行くために、先物と裁定ポジションでその利益を確定させに行くことは道理です。裁定ポジション自体も通常は利益を生みますから、ある程度のポジション枠を持っている運用者であれば可能な取引の結果に思えてなりません。

 もしそうしたことが背景にあるとすれば、一旦はそうした引力から解放された市場は、自由演技であるべき水準に落ち着くように動き始めるはずです。そのあるべき水準が、現時点、日本国内の要因だけでは11,000円方向にあるとは思えないのは単なる慎重論とは言えないと思います。

■中国株(上海)市場も米国市場も株価は強い

 8月4日に年初来の最高値を付けた後、あれよあれよと言う間に2,800pts割れまで2週間足らずで売り込まれ、一度は3,000pts手前まで切り返しながらも再び月末には2,600ptsまで売り込まれた上海総合指数も、先週末には再び2,989.792ptsまで回復、3,000ptsの回復も目前となっています。前回が75日移動平均線で頭打ちになっていますが、今回は3,019pts界隈にそれがあるため、今回の上昇波動の注目はまずそこを超えられるかということかも知れません。

 米国株式市場も好調です。9月2日を起点に連休を挟んで5連騰、9月10日にはNYダウ、S&P500種、ナスダック総合共に年初来高値を更新してきます。1月20日の大統領就任式以来の上昇率は、最もパフォーマンスの悪いNYダウでも20.84%、注目のナスダック総合はその2倍以上の44.42%もの上昇率となっています。参考までに付け加えれば、同期間の日経平均株価は29.49%の上昇、上海総合指数は49.93%の上昇となっています。東証TOPIXの上昇率は18.06%に過ぎません。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは日経平均株価の1週間の動きです。---- 2週連続で1週間の日中足をお届けしますが、木曜日の上げ方に作為を感じるなと言われても…。もちろん、見てきたわけではないので、あくまでも推測でしかありません。されど…、です。>


(出典:Bloomberg)

<今週の2枚目のチャートは注目の為替、ドルとユーロのこの1年間の日足です。---- リスク許容度の回復で、逃避先であったドルから資金が動き始めているということは、確かに言える水準まで戻しています。>


(出典:Bloomberg)

<今週の3枚目のチャートは注目の為替、円とドルのこの1年間の日足です。---- 金融危機と共にドルと共に資金の逃げ場になっていたのが円のため、ドル・ユーロのチャートと暫くは一緒の動き(意味は逆の動き)でしたが、少なくとも衆議院解散が決まった7月下旬以降の動きは逆(意味は一緒)になっています。>

今週のポイント

■GDPだけでなく、株式売買代金でも上海に抜かれた日本

 注目の衆議院選挙が終了し、与野党逆転による政権交代が起こり、連立政権樹立のために民主党、国民新党および社民党の党首協議に時間が掛ったり、当然閣僚人事の決定に時間が掛ったりして政治的な空白が続いている間にも、どんどんと日本の地盤沈下は続いているという気がしてなりません。

 これは今の足元の政治が悪いとかいう意味ではなく、すでにその流れにあった日本丸の動きを、政権交代というだけのショック療法では止められなかったという意味です。世界第2位を誇った日本のGDPが中国に追い越されて世界第3位になるということは、別に昨日今日決まったことではありませんから、これはある意味仕方ないのかも知れません。

 しかし、東京証券取引所の株式売買代金までもが、上海証券取引所の売買代金の後塵を拝する、それも30%近くもビハインドという現実には驚きを隠せません。新興国株式市場の代名詞となったBRIC’sのCは言わずと知れた中国です。「新興国市場の株式には新興国市場としての未整備な部分なども多いため、流動性や情報開示などの面でいろいろと先進諸国のそれとは違ったリスクが伴います」というのが、よく言われる新興国市場のリスクですが、そのCの一部である上海証券取引所の売買代金に東京証券取引所のそれが負けています。その意味するところは、日本の証券市場に関わる者としてとても憂うものです。

 そもそも、日本の国民の将来の糧となる公的年金でさえ、自国企業の株式投資を全体の20%も行わない(米国年金の場合は50%以上が自国企業の株式で運用されています)で、他国の経済成長に依存しようとしているのが現状ですから、なるべくしてこうなったとも言えるのですが、GDPベースでも、証券取引所の売買代金でも日本がその後塵を拝するとしたら、日本は先進国ではなく、新興国に対する反対語として衰退国とでも言わざるを得ない、先に進んではいたけれど、もう興す魅力ある成長性はない国と見られている危機感を共有しないとならないということなのかも知れません。少なくとも、政権交代が明らかになっても、その期待感で株価も、出来高も伸びないのですから。

 もし、「円高なんだから為替市場では円が強いと評価されている」という見方があるのなら、それは大きな間違いだと思います。基軸通貨に対しての見方と、その他通貨に対しての見方は決して同次元では語れないものです。その意味でも、新政権の対米政策はきちんと見て行きたいと思っています。

■結論:ハイテク関連の拡大に希望をつなぐ

 このところ、パソコンに使われるDRAM価格が回復傾向にあります。『Windows Vista』が当初の期待を大きく外して伸び悩んでしまったこともあり、またリーマン・ショックなどの経済危機によりパソコンの需要が大きく落ち込んだことがDRAM価格の下落に拍車を掛けていましたが、ここにきていくつかの理由によってDRAM価格の上昇が始まり、採算ラインに乗る水準も見えてきました。

 DRAMとひとことで呼ばれてしまいますが、実は半導体微細化技術の流れとは別に、DRAMとしての技術革新で世代交代があります。現状は『DDR2-SDRAM』から『DDR3-SDRAM』への世代交代のタイミングに当たります。とはいえ、実はこの世代交代、本来の流れからいえば、1年以上前に起こっているべきもので、前述のパソコン需要の落ち込みが故に久しく遅れてきたという事実があります。

 それがここにきて、もちろん景気回復という大きな流れもありますが、ネットブックPCの普及拡大や、個人向けにも10月から発売開始される『Windows 7』へのパソコンOS(基幹ソフト)の更新需要などで、にわかにパソコン需要が回復し始めました。生産が『DDR3-SDRAM』にシフトする一方で、ネットブックPCが使うのは『DDR2-SDRAM』だからという特殊な需給のゆがみもありますが、全需が伸びているというのも事実ではあります。これはHDDモーターの需要からも見て取ることができます。ナスダック総合に連動しやすい日経平均株価がTOPIXを10%以上アウトパフォームしているということが、その証左でもあり、今はそこに投資機会を見いだせるものと考えます。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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