※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年8月24日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

8月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(8/21終値)
前週末比
(8/14比)
日経平均 10,238.20 -359.13 -3.39%
NYダウ 9,505.96 +184.56 +1.98%
金利・為替 週末終値
(8/21終値)
前週末比
(8/14比)
長期金利 1.305% -0.075%
ドル/円 94.40  
ユーロ/円 135.25  

30日は投票に行きましょう!

前週の総括

■上海市場の下落に引き摺られた日本株!?

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。前回のレポートでも懸念材料として注目しましたが、上海株式市場が引き続き軟調に始まり、週半ばには75日移動平均線どころか、100日移動平均線をも下回る2,761.395ptsまで下落、これは前週末14日の終値に対しても9.4%のマイナス、8月4日の高値3,478.010ptsからすると20.6%ものマイナスとなり、日本株市場も引き摺られるように下落しました。先週の日本市場は中国市場のバブル懸念と金融当局の引き締めに関する噂に振り回された感じですが、週末、再度中国当局の動きに対する懸念で安く終わった日本に対し、中国市場は堅調に戻して引けたという皮肉な結果になっています。

■米国住宅市場には光明が差し込んできた!

 これもやはり前回今週の注目材料として取り上げた米国の住宅市場の動向ですが、19日に発表になった7月の米国住宅着工の状況は、着工件数全体は市場予想を若干下回る58万1千戸となる一方、全体の8割を占める「一戸建て」は7月もプラスとなって昨年10月以来の水準まで回復しました。

 また21日に発表された7月の中古住宅販売件数は季節調整済みの年率換算で524万戸となり、対前月比+7.2%で4カ月連続の増加となりました。これは市場予想の500万戸を上回り、2005年11月以来前年同月比でもプラスに転じる結果となりました。新築住宅販売件数の方は週を跨いで26日に発表になる予定ですが、新築住宅件数よりも圧倒的に市場規模が大きいのが中古住宅市場ですので、米国株式市場は大いにこれを好感したようです。

■バーナンキFRB議長も強気コメント

 バーナンキFRB議長も21日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれた年次シンポジウムで講演し、「米国と世界経済は景気後退から脱却し始めた」と表明したと伝えられています。また同時に議長は「経済活動は過去1年にわたり大幅に縮小したあと、米国とほかの国で底入れしつつあるようだ。短期的なプラス成長への回復見通しも明るい。」と先々に強気なコメントを発しています。ただ世界経済については引き続き「重大な試練に直面している。世界の多くの金融市場では緊張が続き、金融機関はかなりの追加損失に直面、企業や家計は依然として借り入れが非常に難しくなっている。景気回復は初期段階で比較的鈍く、失業者の減少も緩やかなものにとどまるだろう。」と金融市場が一気に楽観論に傾かないように釘をさすことも忘れてはいません。

 ただ、これらを受けてNYダウの週末終値は9,505.96ドルと昨年11月5日以来となる9,500ドル台を回復、S&P500種及びナスダック総合指数については昨年10月初旬の水準まで回復してきました。

■半導体製造装置のBBレシオが回復基調、DRAM価格も上昇!

 今週注目したのは19日に日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した7月の日本製半導体製造装置のBBレシオ(3カ月移動平均の受注額/出荷額)です。前月に比べて0.07ポイント上昇と4カ月連続の上昇となり1.34となりました。これはつまり、100の出荷額に対して134の受注額があるということで、再び半導体業界の設備投資が動き始めたということを意味しています。

 併せて、半導体メモリーの代表格であるDRAMのスポット価格がこの1カ月で4割近く急騰してきています。主力の1ギガ・ビット単品の単価が1個1.55ドル、これならばDRAMメーカーが利益を出せる水準になります。

■ソニーが新型プレイステーション3とその値下げを発表

 ハイテク周りのニュースが多い中で、ソニーが9月3日に、新型「プレイステーション3」の発売と現行品と比べて1万円の値下げを発表しました。ポイントは45nmのデザインルールを採用したセル(主要半導体)を搭載すること、また電源ブロック、冷却機構に至るまで本体各部を徹底的に見直したこと、また体積・厚さ・重さともに約3分の2の薄型・軽量化を実現し、消費電力も初期モデルの約3分の2に削減し省電力化を図ったことが挙げられます。これらにより従来から、これは私自身がユーザーとして確認もしていますが、リビング・センターに置くAV機器として最大のネックとなる静粛性をより高めること(ファンノイズの低減)に貢献しています。やっとブルーレイ・ディスクの再生機としても魅力ある内容と価格になったと思われ、ネット上で見かける評判も悪くないように思います。

■長期金利低下が意味することは?

 6月11日には1.550%も付けていた日本国債新発10年物の利回りが再び低下傾向にあり、週末の終値は1.305%にまで低下してきています。当時の株価動向は日経平均株価が10,000円を回復するかどうかが期待されるような局面で、また債券の大幅増発から需給悪化懸念が広がり金利が上昇し易い局面であったことは事実ですが、日経平均株価でいえば10,000円以上にある現在において、当時を大幅に下回る水準に長期金利が低下していることのインプリケーションは考えてみる必要があるように思います。それも選挙投票の僅か1週間前に。

 近時、米国でこれとは逆に長期金利が急騰し4%台を付けたことがありましたが、それは逆に景気回復期待から年末にFRBが利上げするのではないかとの憶測までも巻き込んでの話。つまり市場が景気回復を期待し始めると利上げ観測が起こり、長期金利の上昇をも招くということになるわけですが、我が国においては国政選挙の投票日を翌週に控えて長期金利が低下しています。つまり、大幅な財政悪化による国債増発による需給悪化懸念を市場が描いていないことと同時に、民主党圧勝の可能性が伝えられ、政権交代がなされようと絵が描かれる中で、市場関係者は景気回復を描いていないということの証左ということになります。単に、株価が今週は下落したからという意味ではありません。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは米国NYダウの1年間の日足です。---- 9,500ドルに水平線を引いておきましたが、昨年10月頃の水準を上回ってきました。>

今週のポイント

■米国の個人消費の動向と中国の金融当局の動きに注目

 世界経済をこの先牽引するのは、やはりGDPが世界第1位の国と、第2位の国だろうとすると、もう直ぐそれは米国と日本ではなく、米国と中国になってしまうというのは、日本国民としては極めて嘆かわしいと思わざるを得ないものだと思います。今まで、バブルが崩壊しようと、何が起ころうと、それでも「我が国は世界第2位の経済大国なのだから」というのが、市場関係者の最後のよりどころだったような気がするのですが、もう間もなく日本は世界第3位に転落します。

 それを象徴するかのように、このところの日本の株式市場を中心とした金融市場の動きは、為替の動向も同様ですが、米国の経済統計や中国株式市場の動向などに良いように振り回されている気がしてなりません。

 今週は米国で25日に8月の消費者信頼感指数がカンファレンス・ボードより発表になり、翌26日には耐久財受注が発表されます。同時に新築住宅販売件数も発表になります。現在、雇用や生産について市場は安心感を取り戻してきていますが、個人消費についてはまだ半信半疑な面があり、内容によっては波乱要因となるかも知れません。

 一方、中国市場については、当局が金融政策を変更するのではないかという疑心暗鬼が広がっており、まだ当面“噂”に振り回される可能性は否定できません。慎重に動向を見ていく必要があるかと思います。

■結論:30日は投票に行きましょう!

 新聞等でみる世論調査にあるように、このまま民主党が圧勝するのでしょうか?それとも、これからまだ自民党の巻き返しがあるのでしょうか?しかし、いずれにしても私の知る限り、市場関係者は今回の国政選挙には白けているような気がしてなりません。そうならざるを得ないとも言えますが…。

 先日ある通信社の記者の方と話していると「今回の選挙については、皆さん論理的でなく、かなり感情的なコメントをされます」と言われました。それは本来、機関投資家として論理的且つ合理的に選挙の趨勢を見極めて、それによる経済の影響を図りつつ、その後の状況に合わせたアセット・アロケーションなり、ポジション構築を考えていくというあるべき流れにならないと踏んでいるジレンマの表れかも知れません。

 「政権交代」の4文字ばかりがクローズアップされますが、金融市場が知りたいのは「その後」です。そこに論理的な構築ができるような材料が提供されない限り、市場は自国の国政選挙の投票直前というにもかかわらず、外需動向に関係する事象にばかり反応することになるのかも知れません。日本国債の取引により変動する長期金利の動き(前述)がその何よりの証左です。政権が交代する可能性が高まっているのに、長期金利が低下しています。まずは週末、たかが一票、されど一票の重みを行使しに行きたいと思います。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪昨年11月5日以来となる9,500ドル台を回復!NYダウに連動する成果を目指す≫

■NYダウに採用される米国主要株式の30銘柄に投資!

中央三井ダウ・ジョーンズ インデックスファンド

ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。株式投資などの有価証券投資は、投資元本が保証されているものではありません。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2009 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.