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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年8月17日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

8月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(8/14終値)
前週末比
(8/7比)
日経平均 10,597.33 +185.24 +1.78%
NYダウ 9,321.40 -48.67 -0.52%
金利・為替 週末終値
(8/14終値)
前週末比
(8/7比)
長期金利 1.380% -0.050%
ドル/円 95.19  
ユーロ/円 135.85  

日経平均株価10,500円回復の実力が問われる!

前週の総括

■動きの良さでは大型株より中小型株のお盆期間

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。市場は前週末8月7日に発表された米国雇用統計などを好感する形で連騰、週初に10,500円台を回復するとその後の5立会日中4日間で10,500円を上回った状態となりました。ただ、週末のオプションSQがあった日を含めても売買代金は極めて少なく、1兆3千億円台前半の日が続きました。日経平均株価や東証TOPIXがプラス1.76〜1.78%の上昇率に留まる中、中小型株指数は2%台の上昇となり、なかでも東証マザーズは2.20%の上昇となっています。機関投資家がお盆休みで動きが鈍る中、値動きの良い中小型株に個人投資家の物色が向かったという見方ができるのかもしれません。

■一方、米国市場はマイナス推移

 日本市場が米国雇用統計を好感して上昇したということで、さぞかし本家米国市場の株式市場は好況を呈したかと思いきや、実はNYダウはマイナス0.52%、S&P500種がマイナス0.63%、ナスダック総合はマイナス0.74%と揃って下落しています。前回、S&P500もナスダックも台替わりとお伝えしましたが、S&P500種こそわずかに4.09ptsほど1,000ptsの大台を上回って週末を迎えましたが、ナスダックの方は1,985.52ptsと2,000ptsの水準は維持できていません。

 雇用統計に好感し、9か月ぶりに前月比プラスになった鉱工業生産指数は見たものの、8月の米消費者態度指数が7月の確報値よりも2.8ポイント低下して63.2ポイントとなったということで個人消費の動向に神経質になっているという感じです。市場は景気の下げ止まりには自信を持ち始めつつも、“景気回復”ということについてはまだ自信を持てていないということなのだと思います。

■上海株に変調の兆しか?

 気掛かり材料のひとつとなりつつあるのが中国上海株の下落です。米国に次ぐ第二の世界景気回復のエンジンとして期待されている中国経済の象徴として、年初来好調に回復していた中国上海株市場ですが、8月4日に上海総合指数が、高値3,478.010ptsという高値を付けた後、その後は右肩下がりに下がり続けて週末現在3,046.972ptsはマイナス約12.4%の下落。バブルとも言われる中国経済の現状に何らかの規制が入るかも知れないと噂が広がるなど、市場がやや高値警戒感を強めつつあることが窺われます。

■日本株出遅れ論について、ひとつの考え

 日本株が出遅れているという議論をこのところあちらこちらで見ることができますが、それは日本株をどのカテゴリーで見るのかによると言うのが私の考え方です。直近の株価の反騰は4-6月期決算の発表で、ゴールドマン・サックスやインテルが市場予想よりも好調であったことがきっかけですが、その意味で7月10日の株価と先週末8月14日のそれとを比較してみると、日米の株価騰落率はほぼ似通った水準であることが分かります。

  8月14日 7月10日 騰落率
日経平均 10,597.33 9,287.28 14.11%
TOPIX 973.57 872.50 11.58%
NYダウ 9,321.40 8,146.52 14.42%
S&P500 1,004.09 879.13 14.21%
ナスダック 1,985.52 1,756.03 13.07%

 確かにTOPIXはわずかに出遅れているとも言えますが、騒ぐほどのものではなく、むしろ日経平均株価とNYダウやS&P500種とがあまりに似通っていると思われませんか?

 もうひとつ比較方法として、米国オバマ大統領が就任されてからの株価推移での比較と言うのが私のよく利用するストーリーなのはご承知の通りですが、大統領就任式のあった今年1月20日の株価を基準に比較すると、最も高い上昇率はナスダックで37.80%になり、次が日経平均株価の31.39%ということになります。最も出遅れているがご覧の通りNYダウの17.26%となり、日本株に出遅れ感があるという議論には簡単には組せない理由はここにあります。

  8月14日 1月20日 騰落率
日経平均 10,597.33 8,065.79 31.39%
TOPIX 973.57 805.03 20.94%
NYダウ 9,321.40 7,949.09 17.26%
S&P500 1,004.09 805.22 24.70%
ナスダック 1,985.52 1,440.86 37.80%

 確かに、先程上海株、あるいはBRIC’s市場などと比べると出遅れている議論はあてはまるのかも知れませんが、それは日本を新興国市場として捉える事ができるのかどうか、という議論と同義に思えてしまうのは私だけではないはずです。

■為替は日米金利差で動いているかに見える

 週初には98円台をも望む水準で始まった為替ですが、週末には94円台前半をもつける水準まで円高に振れました。同じく、ユーロも139円台近くまで行っていましたが、週末は134円台で引けています。

 為替はいろんな要因で動くことは事実ですが、現状、市場の着眼点は日米の金利差にあるように思われます。日米欧がゼロ金利に近い超低金利政策を継続している中において、市場が気にしているのは長期金利のスプレッド。添付のチャートのように、日米の10年金利差とドル円相場を重ねてみると、直近は極めて相関性が高いことが見て取れます。米国長期金利が上昇するようだとドル高になり、下がるようだとドルが売られています。


(出典:Bloomberg)


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは中国 上海総合指数のこの1年間の日足です。---- 7月末までは25日移動平均線でだいたい支えられてきましたが、今回は75日移動平均線を目指す展開となっています。そこで止まれば良いのですが・・・。>

今週のポイント

■売買代金的には夏枯れ、材料は乏しい

 現時点での日本の株式市場の動きは、主として米国株の動向にほとんど左右されていると思われます。それは騰落率の比較をざっとしてみただけでも、日本市場がどこと似通った動きをしているかという感覚論的な捉え方をしても明らかだと思います。

 日本市場が基本的にまだお盆休みという状況においては、株式市場を左右する話は国内要因よりも海外要因と言うことになり、その意味において、今週注目材料は、18日に発表される米国7月の住宅着工件数であり、21日に発表される米国中古住宅販売件数と言えるかもしれません。これを受けて、米国株式市場が堅調に推移するようだと、日本株もバリュエーションの議論などを無視して、まだ上値をトライするかもしれませんし、先週末の消費者態度指数のように市場の期待を裏切るような内容になると緩む場面も想定しておく方が良いかと思われます。

■結論:政治・選挙の動向を注視しておきましょう

 なかなか選挙が市場に好影響を与えてこないことは残念です。前述、日本株の出遅れ議論についてでも触れましたが、もし本当に日本に出遅れ感があるとするならば、それを求めるならば、それは日本が新興国並みに“成長性”が描ける国となることに尽きると思います。少子高齢化の逆三角形ピラミッドの人口動態から抜け出られる絵の描ける国、そして年金制度なども含めて、若い世代が将来に期待と夢を抱くことができる国になれそうだと思えることです。新興国に活力があるのは、日本の高度成長期の時と同じように、頑張って働けば明日の自分たちの暮らしは良くなるという夢を国民が描けるからだというのは議論の無いところだと思います。

 そのためには、日本は変わらないとなりません。2005年に外国人投資家が日本株を買い越した背景にあるのは、日本が構造改革で変わるだろうという期待値があったからです。

 選挙を控えて、与野党の舌戦が始まっています。マニフェストが発表になっています。日本が具体的な成長戦略を財源も含めてきちんと描けるようになるのか、日本のプライマリー・バランスがゼロに向かい、そしてポジティブになっていく絵は描けるのかどうか?そうしたことを冷静に見て行きたいと思います。現状のバリュエーションが高いという議論など吹き飛ばせるような政治になることを期待していたいと思います。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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