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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年8月3日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

8月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/31終値)
前週末比
(7/24比)
日経平均 10,356.83 +412.28 +4.15%
NYダウ 9,171.61 +78.37 +0.86%
金利・為替 週末終値
(7/31終値)
前週末比
(7/24比)
長期金利 1.415% +0.035%
ドル/円 94.69  
ユーロ/円 135.00  

期待は確信に変わりつつある!

前週の総括

■4-6月期決算は市場予想を上回る感じ

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は週を通じて10,000円台を割り込むことなく安定的に推移し、売買代金の方も週末には1兆7,434億円まで回復してきました。一方、注目の日本企業4-6月期決算の発表も始まりました。マクロに対する不信感や政治状況に対する不透明感から慎重論を消しきらない状況ではありますが、発表され始めている主力企業の4-6月期決算の状況をみる限りにおいては、年初来想定してきたメイン・シナリオの中でも“上々の部類”で事は進行しているように思われます。つまり、1-3月期が企業収益的には底だったということが確認されつつあり、現時点では高すぎると言われているバリュエーション指標などに正当性を与える環境が整いつつあるということです。

■とりわけ自動車関連とハイテク関連が好調

 リード役となっているのはやはりかねてからご案内の通り自動車関連とハイテク関連です。これはある意味では極端な悲観論が最も強烈に向かった矛先であるからとも言えますが、春先からのリバウンドが単なる期待値だけではないことを証明してきています。前回注目先として指摘したホンダ(7267)と日産自動車(7201)からは29日に4-6月期連結決算で営業損益が黒字化したことが発表され、また31日には同じくアイシン精機(7259)とデンソー(6902)から市場予想を大幅に上回る決算が発表されました。市場関係者の間からは相次いで「ポジティブ・サプライズ」というコメントが発せられましたが、これだけ時価総額の大きな企業が市場にサプライズを与えてくれることは喜ばしい限りです。

 またある意味、肝心な時によくお騒がせ材料を提供してくれることの多いハイテク企業の代表格ソニー(6758)も、今回は同社大根田CFOの「5月時点の予想より1,000億円強、良かった」とのコメントと共に1-3月期対比約2,600億円改善となる営業損益を発表しました。ソニーと同様に、シャープ(6753)も中国需要を中心に薄型TV需要の回復と価格回復が寄与する決算を発表しています。日立グループの再編の報も、市場は好材料として受け取ってくれたようです。

■電子部品関連には材料が豊富

 さらには、インテルやアップルなどの好決算については、すでにお伝えしてありますが、これらに部品を供給する企業や、これらに共通するハイテク企業の決算も相次いで良好なものが発表されました。具体的には直接的にインテル製CPUパッケージを手掛けるイビデンや新光電気工業であり、あるいはそうしたものが搭載されるITデバイスに必ずや必要なセラミック・コンデンサーのトップ企業の村田製作所(6981)であり、HDDのガラス・ディスク基板を作るHOYAやシリコンウェハーの信越化学(4063)などです。24日にすでに発表されていた日本電産(6594)の決算内容からある程度の想像はできましたが、市場は事実をあらためて確認して好感した様子です。

 残念ながら、ITとか、ハイテクと呼ばれる企業群の中には、日本が業界そのものをリードする分野は少ないということは認めざるを得ません。パソコンもネットワークも、ハードもソフトもしかりなのですが、常に縁の下の力持ち的にそれらを支えているのは日本の技術だということは言えます。故に米国の同分野のトップ企業の状況を分析することに意味があるのですが、電子部品の分野は日本の得意とするところのひとつであることは、今回の決算が多くを語っていると思います。

■米国住宅市場の状況も改善

 米商務省が27日に発表した6月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調節済みの年率換算で38万4000戸と市場予測の35万2000戸を大きく上回る結果となりました。これで6月の米国住宅市場関連の経済統計は、住宅着工、中古住宅販売そして新築住宅販売と三つ揃って市場予想を上回る結果となり、2月からの反転のきっかけに水を差す結果となった3月、4月に対して、2カ月連続で好調を示した結果となりました。

 住宅価格の下落と在庫率の高止まりを懸念する考え方もありますが、これは米国の住宅ローンがノンリコースと言って、住宅を手放せば住宅ローン債務までは引き取らないでよい、つまり家は競売に掛けられて無くなってしまったのに、住宅ローンの残債だけが残ってしまったというような日本の住宅ローン事情とは違うという点を踏まえてみて行くと、ある意味では昨今の情勢では至極当然なことと言えます。住宅価格の下落はしばらくまだ続くかもしれませんが、状況が好転してきていることは確かです。

■政治問題は不完全燃焼のままだが…

 選挙に向けて与野党の攻防(舌戦?)が盛り上がり始めているようですが、株価を支援するような材料はまだありません。むしろ「政治がリスク」という状況はより深まりつつあるようにも思われます。2日日曜日の日本経済新聞朝刊の社説「自民と民主は成長戦略の具体策で競え」の内容は、株式市場関係者ならば誰もが賛同するものではないでしょうか。株価は企業の成長を織り込んで上昇していきますが、そもそもその国の成長なくして、当該国の企業株価の上昇などありえません。逆の視点で、国の成長が期待できるからこそ、新興国の企業株価は軒並み上昇しているとも言えます。たとえ外国人投資家がその企業の真の実態を理解していなくてもです。トヨタやソニーだけではなく、日本には世界に冠たる企業が山のようにあります。にもかかわらず、日本の株価が出遅れているとしたら、この社説の言わんとしているような視点が欠落しているからだと思わざるを得ません。そしてそのリスクを排除するような出来事は、残念ながら今週はまだありませんでした。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートはあらためて日経平均株価のこの1年間の日足を見てみることにします。---- 週末、窓を開けて陽線が飛び上がっています。見方によっては、「ポン!」と言って突き抜けた感じもします。そして11,000円超までは跳ね跳んでもおかしくないような…。ただ、テクニカルな過熱感を同時に指摘する声もたくさんあります。>

今週のポイント

■トヨタの決算を確認したい!

 根が「楽天家の株屋」なため、楽観論をドーンと展開したい(ファンド運用で言うと、組入比率をフル・インベストメントに高めるとか、ベータ値を1以上のハイ・ベータ型運用にするとか言います)衝動に駆られる部分もありますが、週末現在で確認ができる日経平均採用225銘柄ベースの今期予想PERは42.54倍。配当利回りも1.43%と新発長期国債の1.415%をわずかに上回る程度だと、バリュー投資家からは「高すぎる」と指摘されてしまいそうです。

 まずは今週4日に発表されるトヨタ自動車の決算に注目したいと思います。すでに系列部品メーカーの4-6月期決算は出揃い、上方修正が相次いでいる以上、それなりに期待できる結果が発表になると思われますが、同社が前広な決算を発表してくれれば、おのずと今後の展開への期待値はグッと高まるものと思われます。何せ同社の時価総額は7月31日現在、たった1社で東証1部上場全1697社中の4.19%をも占める巨大企業であり、またGMが国営化されて縮小してしまった今、名実共に世界最大の自動車メーカーであることは紛れもない事実なのですから、どこの決算よりも同社の決算には要注目です。

■新型プリウスの納期目処のご案内(平成21年7月23日時点)

 そのトヨタ自動車が、というよりトヨタ自動車グループが総力を挙げて開発し、そして生産に取り組んでいる現在の主力車種について、その納車状況について同社Webページで確認すると「新型プリウスにつきましては、多くのご注文をいただき、誠にありがとうございます。現在、弊社といたしましては、お客様への納期短縮に向け、最大限の取組みをしておりますが、予想を上回るご注文を頂いており、生産・出荷までに時間を要しております。平成21年7月23日(木)以降のご注文分は平成22年4月以降の工場出荷予定となります。」と表示されています。同社のような大量生産を得意とする企業が、機会損失からある意味では人気離散のリスクに晒されるまでの納期遅延を招くほどに生産が追い付かないハイブリッド車の需要と言うのは、おそらくどの市場関係者も予想をしていなかった事態だと思います。フェラーリやかつての日産PAOやBe-1と特殊な車とは訳が違うのですから。その裾野効果まで含めて、期待は膨らむところです。

■結論:過熱感は目先無視できるかも知れない

 添付チャートのコメントにも示しましたが、テクニカルな過熱感も短期的には無視して11,000円トライがあるかもしれません。日柄調整を必要とする、あるいはバリュエーションの割高感解消が必要といったロジックの方が適しているのかもしれません。ただ市場に勢いがある時は材料に乗って順についていくというのも収益を上げる手段のひとつなのも確かです。今回の決算発表で収益改善が明らかになってきたような企業のダウンサイド・リスクはかなり小さくなったと思われます。

 ただリスクのひとつは、例えばトヨタ自動車(7203)が市場の期待をはぐらかすような決算を発表することです。上期決算を上方修正した企業は多いですが、デンソーやアイシン精機などは通期見通しを据え置いています。その理由は下期までは強気になり切れないということがあります。もちろん、トヨタ自動車の決算発表前に通期予想まで上方修正すると、同社からの値下げ要請が厳しくなるからという裏事情もあるはずですが、それだけではないと思われます。

 またあるいは米国のISM製造業景況感指数(3日発表)や雇用統計(7日発表)が市場予想を裏切ることで再び円高に動くようなことがあれば状況は変わるでしょう。ホンダなども95円見通しを更に円高に修正しているようですが、為替動向は間違いなくリスク要因です。

 そして何度も繰り返すようですが、日本の政治状況は見極める必要があります。どちらが政権を取ろうとも、日本の成長シナリオを描けない限り、株価の長期的な上昇の絵は描きづらくなります。中国は確かに米国債券の第1位の保有国になりましたが、日本も大量に保有している事実(第2位)には変わりありません。米国のエアフォース・ワンが日本上空を旋回するだけで通り過ぎるようなことを再びしてはいけないという認識も必要だと思います。ゆえに、選挙前の議論の高まりと、それを受けての選挙結果は非常に重要です。

 そうした事実を踏まえて、冷静に投資方針を練っていきたいと思います。今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

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 「ドラクエIX 星空の守り人」は原稿書き上げと同時に、やはり近所に買いに走りました。そして現状細切れながら時間を見つけては遊んでいますが、その無線LANを活かした機能には感心しました。従来は大画面で子供たちと遊んでいましたが、DS版になって、無線でリンクしながら楽しんでいます。詳細はまたブログの方でご報告します。任天堂の決算については、同社岩田社長のコメント通りなんだろうなと実感しています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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