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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年7月21日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

7月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/17終値)
前週末比
(7/10比)
日経平均 9,395.32 +108.04 +1.16%
NYダウ 8,743.94 +597.42 +7.33%
金利・為替 週末終値
(7/17終値)
前週末比
(7/10比)
長期金利 1.320% +0.025%
ドル/円 94.21  
ユーロ/円 132.85  

政治が絡むと市場は面白くなくなるが…

前週の総括

■総選挙は売り材料??

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。13日午後に入って「7月21日衆院解散、8月30日選挙」という報が伝わるのと歩調を合わせるように日本の株式市場は急落しました。解散から投票までの日数が40日間もあり、その間の政治空白などのポリティカル・リスクが市場の関心事になっています。従来、半分は諦めにも似た感じで政治には動じない日本の株式市場でしたが、今回は明らかにマイナス材料として意識しているようです。外国人投資家はなおさらかもしれません。彼らは政治が不安定なところへの投資は好みませんから。

 そうした流れは売買代金に素直に反映してきています。週末の売買代金は1兆246億円。この水準は今年の大発会を除く133営業日中、第3番目の薄商いで、過去1年間で見ても7番目の水準まで落ち込んでいます。もちろん、日本が三連休前だったということは割り引いて考える必要はあるかと思いますが、看過出来ない事実のひとつです。

■東証マザーズ・スワップ

 ちなみにこの日、対前日比の下落率は日経平均株価がマイナス2.55%で東証TOPIXもマイナス2.30%となっていますが、もうひとつの注目材料は東証マザーズの急落です。何と前日比マイナス9.83%もの急落を演じました。添付のチャートも一緒にご覧頂きたいのですが、7月7日を頂点に株価は下落傾向になり、13日に長い大陰線となりました。

 当然これは前述の選挙騒動に端を発したものと見ることもできるのですが、一方ではスワップ取引にかかわる特殊事情が加担したため、主力市場の4〜5倍の下落率になったとも言われています。すなわち、機関投資家ともヘッジファンドとも言われていますが、先物取引のない同市場の下落リスクをヘッジするため、同等の経済的効用があるスワップ取引のニーズを受注したブローカーが、同市場に連動するようなバスケット取引の空売りを行ったということです。ゆえに、その後あっという間に元の水準以上に株価は戻しています。

■NYダウとナスダックは5連騰!

 S&P500はマイナス0.36ptsとわずかに下落したため4連騰で止まりましたが、NYダウとナスダックは共に5連騰、前者が7.33%、後者が7.44%と週を通じて上昇しました。緊急レポートもお送りいたしましたが、立役者のひとつはインテルです。同社が現地時間7月14日の引け後に発表した決算は、パソコン市場に対する市場の悲観的な見通しを吹き飛ばすに充分な内容で、同日のアフター・マーケットで8%以上も急騰し、その余韻をもって翌15日はNYダウがプラス256ドルも急騰しました。当然、インテル株自体が上昇しているナスダックも前日比プラス3.39%となる63.17ptsの上昇、市場の勢いに弾みをつけてくれました。日本市場もこの米国株式市場の反応を見て、1日遅れで反応しました。

■米国住宅着工は3.6%増に改善で2カ月連続のプラス

 先日の楽天証券10周年記念セミナーの私の講演の中でもご説明させていただきましたが、このところ株式市場の上げにも下げにもひとつのきっかけとなる米国住宅着工の状況、現地時間17日に米国商務省が発表した数値によると、住宅着工自体は底入れしてくれたように思われます。市場の予想コンセンサスは53万戸でしたが、結果は季節調整済みの年率換算で58万2,000戸と大きく上回る結果となっています。先月発表となった5月の数値も上方修正されています。

 今年3月に発表された米国の2月の住宅着工が上向いたということが、世界の主要な金融市場が過度な悲観論から反転するきっかけとなりましたが、その後4月発表の3月分、5月発表の4月分と連続して裏切られ、景気回復に対する疑心暗鬼の対象のひとつとなっていました。とはいえ、住宅市場の規模でいえば、中古住宅市場の方が新築より10倍と圧倒的に大きく、またその中古住宅の在庫率も9カ月前後で高止まりしているため、気を緩めるのは時期尚早かもしれませんが、これはグッドニュースであることには違いありません。今週末発表になる米国中古住宅販売の数値に関心を寄せたいのはこうした視点からです。

 下の図は前述の講演会で利用した資料の一部ですが、水色のライン(住宅着工件数)は少なくともこのあとも下落しないで繋がったことになります。

マクロ経済・米国 5月の住宅着工件数は前月比17.2%増の53.2万戸となり、過去最高だった4月(45.4万戸)から増加に転じた(市場予測、48.5万戸)。先行指数となる許可件数は前月比+4.0%増の51.8万戸となり、3カ月ぶりに前月実績を上回った(市場予測、50.8万戸)。出所:米財務省、Quick
(作成:楽天投信投資顧問)


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは東証マザーズの1年間分の日足です。-----7月7日を直近の高値に約18%もの下落を演じています。>

今週のポイント

■IBMの好決算にも注目

 インテルの決算発表に続いて、IBMもなかなかの好決算を発表してくれました。売上高は市場の予想を下回ったものの、2009年通期の1株当たり利益の予想を、従来は9.20ドル以上との見通しで、市場のコンセンサス予想は9.12ドルでしたが、9.70ドル以上と大幅に引き上げてきました。なんでもかんでもクラウド・コンピューティングの流れと結びつけてしまいたくなりますが、同社のビジネスはまさにこのクラウド(雲)の中を作っていく話。仮想化技術という点においても、VMware社などと競っており、この世界が面白いことは、デバイス(端末)の世界(インテル社の決算などから見えてくるもの)からと両方で証明された形なっています。

■ハイブリッド・カーがますます面白くなってきた

 トヨタ自動車がマツダにハイブリッド・カーの基幹装置を供給することで提携したことは、今後の流れを見ていく上で実に興味深い話であり、また実に面白い話です。この現時点において、弊社で個別銘柄のストック・ピックでアルファを狙うアクティブ運用型ファンドをいまだ設定しないことが、前述のITの流れなどを含めて、残念でならないと思われるほどに、この世界もどんどん盛り上がってきています。まだ市場は何をどう評価していいのか考えあぐねているようですが…。だからチャンスなのですが…。

 ブログで「ハイブリッド・カーのモーターを考える」という連載も書いていますが、この提携の面白みはマツダの歴史に由来する部分もあります。同社は昨年まで、フォードの大事な虎の子でした。金融危機の資金難の中で、同社ムラーリCEOは泣く泣く同社の株式を手放したという経緯がありますが、そのマツダがトヨタ自動車からハイブリッド・カーの基幹装置の供給を受けるということは、多くのインプリケーションがあると思われませんか?付け加えると、マツダはご承知の通り、世界で唯一ロータリー・エンジンの開発で成功した会社で、またロータリー・エンジンは水素燃料との相性がレシプロ・エンジンよりも格段に優れているということは有名な話なのですから。

■選挙に対する機関投資家の見方は冷ややか

 私のようなベースが株式担当のファンドマネジャー、つまり“株屋”の発想は基本的に単純楽観論の場合が多いのですが、市場に金額ベースで一番資金を投入しているのは機関投資家の債券担当者(通称“ボンド屋”)。彼らは一般的にシニカルな場合が多いですが、彼らの今回の解散から選挙へと通じる流れの受け止め方を簡単にまとめてみました。

 ここから見えてくるのは、現状では政権が与野党どちらに移っても株式市場にはポジティブにはならず、債券市場にはネガティブにならないという図式です。

解散から総選挙の市場影響を考える

■結論:国内要因でのサマー・ラリーは望み薄

 夏休みシーズンに入ると「サマー・ラリーはあるか?」ということが話題によく登るようになりますが、残念ながら今年は政治空白の期間とも重なることから、サマー・ラリーは無いと考えた方が良さそうです。

 ただ一方で、企業決算の方が先行して始まった米国企業の決算発表を見る限りにおいては、ハイテク企業などを中心に市場の予想よりは良いところが出てきそうです。市場全体は投票前に夏枯れの様相を呈することも考えておかないとなりませんが、個別銘柄では拾っていけるものが増えてきそうです。市場全体の動きは先物やオプション取引などを使ってヘッジしながら、個別銘柄のアルファを狙っていくというような戦略も、こうした状況では面白いと思われます。先物ミニなどの登場で、ニュートラル戦略も機関投資家の専売特許では無くなりましたから。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪NYダウが週を通じて7.33%上昇。営業日ベース5連勝で推移!≫

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含むへの投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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