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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年6月29日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

6月第5週

マーケット概況

株式 週末終値
(6/26終値)
前週末比
(6/19比)
日経平均 9,877.39 +91.13 +0.93%
NYダウ 8,438.39 -101.34 -1.19%
金利・為替 週末終値
(6/26終値)
前週末比
(6/19比)
長期金利 1.395% -0.050%
ドル/円 95.20  
ユーロ/円 133.94  

センチメントの振り子は揺れ続けている

前週の総括

■過度の楽観は落ち着きつつある

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。週を通じた騰落率をみると日経平均株価もNYダウも共に絶対値1%前後のプラスマイナスの範囲に収まりますが、上下の振れ幅でいえば、日経平均株価が約4%、NYダウで約3%とそれなりな変動幅を示した一週間となりました。日経平均株価の終値は9,900円目前となりましたが、週央の安値は9,500円ギリギリまで下がっています。今週の特徴は、円が対ドルでも対ユーロでも円高に振れ、一時対ドルが94円台、対ユーロが131円台まで動く局面があったことです。この円高を受けて、株価の方も週の安値を付けに行ったという感じでもあります。過度な楽観論は落ち着きつつあり、取材を受けた新聞記者の方からも「慎重論が増え始めました」と聞いております。

■長期金利も落ち着きつつある

 過度な悲観論が修正され、逆に楽観論に振れゆく過程で、景気回復の阻害要因として懸念が広がっていた長期金利の上昇については、ここにきて落ち着き始めています。添付のチャートでも明らかなように、直近米国の長期金利の4%乗せが話題になりましたが、前週に引き続き米国債の入札が堅調だったことも手伝い、債券市場は落ち着きを取り戻しつつあります。長期金利の上昇は米国の場合、住宅ローンの金利に大きく影響するため大幅な上昇は住宅市場回復の阻害要因と考えられていました。

■FOMCはやはり上手く当局の意思を伝えたかに思える

 前回「バーナンキ議長の微妙な舵取りに期待」と書きましたが、23日と24日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、予想に違わず市場へ上手に意思表示をすることができたようです。FOMCが発表した声明は下記の通りです。

  1. 経済縮小のペースは若干緩やかになってきている。また、金融市場は安定と改善が見られる。
  2. 企業は、人員削減や投資縮小などを行っており、景気後退に対応している。また、在庫調整も順調に言っている。
  3. インフレは当面抑制された状況が続く見通しである。経済状況は軟調な状況が継続すると思われるが、引き続き対応をしていく予定である。

 またあわせて国債の買い取り規模を据え置くことも発表され、これらが相俟って年内の利上げ観測も消えると共に、債券市場も落ち着いたと思われます。また米国債券市場の動向に合わせるように、日本の長期金利・国債市場も安定化し、新発10年国債の週末終値は1.395%まで低下しています。

■米国の住宅市場はまだ不安定なことが確認された

 全米不動産業協会が23日に発表した5月の中古住宅販売件数は、市場予想の482万戸を下回る477万戸となり、中古住宅価格は前年同月から17%下落の17万3000ドルとなりました。販売不振と差し押さえ物件の増加が背景にありますが、住宅在庫は先月比3.5%減となって在庫比率は9.6カ月分となったようです。しかしながら中古住宅の適正在庫比率はおおよそ7カ月程度と言われており、引き続きまだ余剰感の強い状態が続いています。

 さらに、その翌日24日に米商務省が発表した5月の新築一戸建て住宅の販売件数も、季節調整済みの年率換算で32万2000戸となり市場予測平均の36万戸を下回りました。前月水準を下回るのは2カ月ぶりですが、前週に発表になった住宅着工件数とは裏腹に、まだ米国の住宅市場の回復は期待したほどには進んでいない状況を示した結果となりました。今回の一連の金融危機の発端が米国住宅バブルの崩壊である以上、景気回復のためには住宅市場の一刻も早い回復を期待したいところです。


(出典:Bloomberg)

<今週の1枚目のチャートは日経平均株価、NYダウ、ナスダックの日足です。----- オバマ大統領就任式以降の比較ですが、如何に日経平均株価がNYダウよりナスダックに相関性が高いかが一目でお解りいただけると思います。>


(出典:Bloomberg)

<今週の2枚目の米国10年国債の利回り変化です。----- 31営業日のデータですが、3.1%前後から4%を付けるところまで上昇し、直近3.5%まで低下してきました。>

今週のポイント

■大きな問題点のひとつは国内の政治

 今週は日米欧ともに経済統計の発表が目白押し。日本の鉱工業生産指数(29日)も気になれば、米国の雇用統計(2日)も気になるところ。日銀短観(1日)も材料とはなるでしょうし、6月米ISM製造業景況指数(1日)も市場の注目を集めるでしょう。中国の経済統計(PMI)(1日)の発表も影響が大きくなってきました。

 その一方、日本市場でありながら、あまり金融市場でカウントされているとは思えない状態が久しく続いている日本の政治問題ですが、にわかにゴタゴタ感が噴き出始めそうな感じになってきました。日本の政治が日本の株式市場などにあまり影響を与えなくなってきたのは、結局は「何も変わらないから」という“諦め感”が根底にあると思われますが、外国人投資家はそれでも政治の不安定さを嫌がるものです。また与野党共に“世論に日和やすい選挙対策向け政策オンパレード”の様相を呈し始めており、長期投資でリターンを稼ぎたい資金にとっては先々に不安をばら撒く感じもあります。

■骨太から骨細へ、プライマリー・バランスはどうなる?

 その代表的な問題のひとつが2010年度予算の概算要求基準(シーリング)の策定で、一般歳出の上限が51兆円前後と歳出の膨張が再び顕著になってきたことなどが挙げられます。税収の増加が望める環境下ならばこうした議論も健全なのかもしれませんが、公的年金の2008年度の市場運用実績も10兆円もの損失に膨らんでおり、今後こうした将来の負担増を議論することなく、目先の世論に耳に心地好い政策が「選挙対策」の名の元に横行し続けるようだと、日本の財政改革はどうなるのかと不安になります。「消費税を上げれば良い?」というのはあまりに安直な議論であり、財源確保を明示しないような話は論外です。

 まずはプライマリー・バランスを早期に均衡させ、さらにプラスに持っていく方策が示されない限り、米国の財政赤字を材料にドル不信を唱える論法が、そのまま日本にもあてはまる事態になっているということです。こうした流れの中で円安に向かうようなことがあれば、それは「円資産の売り」という流れであり、株式のみならず、日本国債も売られるという大変な事態を迎えることになる可能性を含んでいると見ておかなければなりません。骨太の方針が、どんどん骨細になっていくようであるなら、長期的に見た日本の金融資産の魅力は相対的にそれに比例して薄れていかざるを得ないとも言えます。選挙に向かっての与野党の政策論議には慎重に耳を傾けていく必要があります。

■インテルとノキアの提携は実に面白い話

 あまりパッとした話のない中で、先週発表になった世界半導体最大手のインテルと世界携帯電話最大手のノキアの提携の話は、これは実に今後のテーマとして面白い多くのインプリケーションを持った話だと思います。インテルは90年代、マイクロソフトと共に「ウィンテル帝国」と呼ばれるパソコンの心臓部と基本ソフトでドミナントとなるビジネス・モデルでIT業界、更には世界景気自体をも牽引したと言えます。片面では今回の提携はこのウィンテル帝国の崩壊を意味するものでもありますが、クラウド・コンピューティングという時代の流れを踏まえてみた時、実に有意義な、そして未来に広がりを描くことのできる提携話だと見ることができます。

■結論:全体感は慎重に、個別の面白みを探る

 先週末にアップした楽天マネーサービスのブログの方では、「ハイブリッドカーの時代だからこそ、ハイブリッドカーのモーターを考える」というテーマで新しい連載を始めました。電気自動車についても同様ですが、燃料タンクである電池の話ばかりじゃなく、動力源であるモーターの話を考えましょうという話をしていくつもりですが、前述のインテルとノキアの話などもあわせて、徐々にですが面白いテーマも実業の世界で出始めたように思われます。

 あらためて申し上げるまでもなく、現代は日本株、外国株なんてくくり方は意味のないことだと思っています。これは90年代からの私の変わらぬ投資判断上のポリシーでもありますが、ネット社会がインフラを整え、外国株式をもクリックひとつで売買できるようになった今だからこそ、こうした世界の面白い流れに目を向け、個別銘柄のピックアップに挑戦してみるのも有意義な投資手法だと考えています。全体感は慎重にならざるを得ない水準・状態になっているからこそ、目線を横展開することもお勧めします。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪一時、対ドルが94円台、対ユーロが131円台まで動く局面を展開!≫

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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