※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年6月1日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

6月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(5/29終値)
前週末比
(5/22比)
日経平均 9,522.50 +296.69 +3.22%
NYダウ 8,500.33 +223.01 +2.69%
金利・為替 週末終値
(5/29終値)
前週末比
(5/22比)
長期金利 1.480% +0.051%
ドル/円 95.29  
ユーロ/円 134.71  

正念場で粘りを見せた市場に期待感は高まる

前週の総括

■意味ある水準を越え、下値が切り上がる

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価が終値ベースで9,500円台を回復したのは昨年11月5日の9,521.24円以来と約7カ月ぶりです。この日が何の日だったかと言えば、米国大統領選挙で民主党のオバマ候補が勝利し、次期大統領として史上初の有色人種大統領の誕生が世界中に伝わり期待感が広がった日です。

 少しおさらいをすると、その後、再び市場は大統領就任までの空白を再度悲観して11月21日には7,400円台まで一旦は下落するも、1月20日の大統領正式就任への期待値で1月7日にはザラバ9,300円まで回復しました。それでもやはり悲観的な市場見通しは根強く、すなわち一言で言えば「オバマ大統領だってスーパーマンではない。」という見立てもあって、3月10日は7,000円割れギリギリまで下がってから、ここまで反転してきたという流れです。5月27日には200日移動平均線も越えてきました。ナスダック総合指数も似たような足の運びになっていますが、NYダウは大統領選挙の時の水準からはまだ約12%は下回ったレベルにあり、その意味では回復感はまだ弱いと言えます。

■米国債への疑心暗鬼が拡がっている

 米国市場でも新興市場扱いされるハイテク株比率の多いナスダック総合指数に比べ、レガシーな米国ブルー・チップ30銘柄で構成されているイメージの強いNYダウが回復できていないように、あるいは後述するようにドルが対円でも、対ユーロでもこのところ軟調に推移していることの背景には、米国の財政不安を市場が気にしているという問題があります。英国債の格付け見通しをS&P社が「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたことも、この市場不安を煽ったという側面があります。ただS&P社もMoody’sも、米国債についての見通し変更の可能性については否定しています。

■しかし米国長期金利は上昇している

 市場の疑心暗鬼の根深さを感じさせるのが長期金利の動向です。日本も同様ですが、短期金利は中央銀行の操作がおよぶ範囲で、すなわち金融当局の意図が反映するレベルに調節することができますが、長期金利については債券市場がその水準を決定します。日米どちらも中央銀行はほぼゼロ金利政策に近い水準に短期金利を導いていますが、現在の10年債利回りで日米を比較すると、日本のそれは週末で1.480%であったのに対し、米国のそれは3.460%とおよそ2%も高い水準にあります。

 ちなみに、今年初めは日本の10年債利回りは1.195%ですから今年に入って0.285%の上昇ですが、米国債のそれは2.460%でしたから、今年に入ってからすでに1%の上昇ということになります。短期金利に連動するタイプの住宅ローンももちろんありますが、米国での主流は長期金利連動タイプであり、こうした流れが米国景気回復の足を引っ張るという主張の根っこにあるのは事実です。

■消費者信頼感指数などは好転している

 しかしながら、先週相次いだ経済統計発表の中で注目されたのは米調査会社コンファレンス・ボードが26日に発表した5月の消費者信頼感指数です。市場予想の平均が42.6のところを大きく上回る54.9となり、前月の40.8(改定値)も大きく上回る結果となりました。先行きの景況感を示す期待指数も72.3と前月の51.0から大きく改善、金融市場の見立てとずいぶんと乖離した状況になってきています。

 同様に注目されたのは住宅販売関係の統計ですが、中古住宅については2カ月ぶりのプラスとなる年率換算468万戸で3月の改定値に比べて2.9%上昇、新築住宅に関しても年率換算で35万2千戸と微増ながらも2カ月ぶりの増加となっています。同様に、耐久財受注も市場予想の0.5%増を上回る1.9%の上昇となる一方で、新規失業保険の申請件数は2週間連続で減少という状況になっています。

■GMは終わった

 そうした少し明るい話題がある一方で、市場センチメント改善の重石になり続けたのがGM問題です。全米自動車労組(UAW)との協議は医療保険債務の削減で基本合意に達したものの、270億ドルの無担保債務の削減に対する交渉では債権者から合意を得ることができず決裂、米国破産法の適用申請を経て、結局はGM(General Motors)がGM(Government Motors)と揶揄(75%国有化)される状態になることがほぼ確定的になったことです。

 GMが破産法の適用申請をすること自体はすでに株式市場のみならず多くの金融市場にとって織り込み済みと思われますが、取引のある部品メーカーや裾野などへの影響については未知数の部分が多く、その影がずっと低い雨雲のように市場を覆っていると言っていいかと思います。

■原油価格の上昇が気掛かり

 もうひとつ市場にとって気掛かりな材料が原油価格の上昇です。安値からほぼ2倍になりました。WTI原油先物は毎月限月交代が行われているため、当限の価格を繋ぎ合わせたチャートを添付しましたが、昨年末や今年2月には33ドル台にまで下落することのあったものが、週末終値は66.31ドルまで急回復をしています。さすがにこのまま100ドル台まで回復するというような安易な見通しを聞くことはありませんが、長期金利の上昇と併せて、景気回復の流れに水を差す要因であることは否めない事実であり、気になる展開が続いています。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャート1枚目は日経平均株価の日足2年分です。----- 水平に引いた白線が9,500円ライン。紫のラインが200日移動平均線です。>


楽天投信投資顧問 5月29日作成

<今週のチャート2枚目はWTI原油先物価格のチャートです。----- 各月の当限の価格を繋いで作成しました。この3カ月で約2倍になってしまいました。>

今週のポイント

■緩やかながらも、状況は改善し続けている

 前述の通り、GM問題や長期金利の上昇、あるいは原油価格の上昇など、まだまだ市場を取り巻く環境は簡単に楽観できる状況にはありません。月曜日に発表になるISM製造業景況指数、あるいは水曜日のISM非製造業景況指数にも注目は集まりますし、週末5日の雇用統計ではまだまだ悪い数値が発表になる可能性は充分にあります。

 しかしながら、当初から想定されていたように、景気実態を示す数値とは別に、いわゆる景況感、センチメントは間違いなく最悪期を脱してきていると考えています。その証左のひとつが先週発表になった消費者信頼感指数ではないでしょうか。紙面の都合でここでは多く触れませんが、回復期待の高い中国経済にとっても、米国が消費活動を取り戻すということは極めて重要な問題であり、その意味においても、米国での消費者信頼感指数の改善というのは大きなインパクトを持ちます。米国GDPの約7割は個人消費なのですから、ここに光明が見え始めたという点はGood Newsです。

■本当にユーロ圏は大丈夫なのか?

 前回も申しあげましたが、ユーロ圏の経済動向については引き続き慎重であるべきとの見方を変えていません。対ドルでユーロは先週1.40のレベルを回復しました。週末NY市場での終値は1.4137にもなっていますが、欧州系金融機関の抱えるレベル3資産の保有量とのその推定損失額は、決して欧州系金融機関の今後も増えるであろう通常貸出債権の不良債権化に耐えうる体力を提供するものではなく、時限爆弾は欧州にあるという見方を変えられないからです。

■本格化し始めたクラウド・コンピューティング

 昨年の夏以来、インテルのネットブックPC向けMPU(マイクロプロセッサ)『ATOM』の好調が伝えられる頃から何度か申しあげてきた“クラウド・コンピューティング”の流れが段々と新聞紙上などでも取りあげられるようになり、“身近な材料”となりつつあります。技術トレンドやビジネス・トレンドの最先端を追い掛けていても、それが市場の関心ある材料にならないとなかなか株価には反映されないものですが、そろそろ市場の関心を集める材料となってきそうな気配を感じます。

 クラウド・コンピューティングの考え方自体はそう新しいものではないのですが、多くの必要とされる要素技術が求められる水準に近づいてきたということがその大きな理由のひとつかもしれません。ネットブックPCと呼ばれるセグメントはその典型です。小さく、軽く、そして安い。にもかかわらず“ある程度”の演算処理能力は持っているということです。

 OSを含めて、この10数年間のIT業界の勢力図に大きな変革が起こるだろうと予想されます。マイクロソフトを取り巻くOSの話を中心に、ブログの方に連載中ですが、当然、そうした変革の時こそ、投資の収益チャンスであることは間違いありません。マーケットが次なるアップ・ターンを前に静かになる時こそ、関連銘柄の仕込み時と考えているのは私だけではないだろうと思います。

■NASDAQ好調!

 NASDAQが200日移動平均線に頭を押さえられている状態から抜け出せるかが注目と申し上げていましたが、見事にクリアしてきました。そしてNYダウとの乖離が大統領就任式以降で16.21%にも広がってきました。絶対的なリターンも同日から23.14%です。新興国市場の中にはもっと好調なパフォーマンスをあげているところもあるのは事実ですが、出来高、時価総額などからみて、世界の株式市場全体の方向感を見るINDEXとしての動きとしては、この動きを引き続き注視していきたいと思います。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪約7カ月ぶりに9,500円台回復!日経平均に連動をめざすファンドに投資!≫

■日経平均に連動するファンドに投資!

日経225ノーロードオープン

特徴:日本の株式を主要投資対象とする。株式については、原則として日経平均株価(日経225)採用銘柄の中から200銘柄以上に等株数投資を行う。日経平均株価(日経225)に連動する投資成果をめざし運用を行う。

ファンドのレポート情報はこちら

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。株式投資などの有価証券投資は、投資元本が保証されているものではありません。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2009 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.