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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年5月11日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

5月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(5/8終値)
前週末比
(5/1比)
日経平均 9,432.83 +455.46 +5.07%
NYダウ 8,574.65 +362.24 +4.41%
金利・為替 週末終値
(5/8終値)
前週末比
(5/1比)
長期金利 1.450% +0.055%
ドル/円 98.47  
ユーロ/円 134.24  

悲観から楽観へ、NY市場の動向に注目

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。といっても、日本市場の取引は木曜日と金曜日の二日間のみ、勝敗はすでに始まる前から決まっていたマーケットでした。つまり木曜日の立会い開始を前に、すでにシカゴの日経平均株価先物が米国市場の動向を織り込んで9,400円前後の水準を固めており、その水準を否定する(ダウンサイドに導く)ような材料は見当たらなかったということです。市場は先物主導で寄付きから急伸、それまで何度トライしても維持できなかった9,000円台回復というドラマを一気に達成し、高原状態を維持して週末となりました。

 上値がブレークされる“カタリスト(私のブログ、3月27日付もご参照ください。)は何か?”なんて、小難しい理屈をこねくり回す必要はなく、市場の水準訂正なんていつもこんなもんだというのが正直な実感です。だから今年のGWのように休日が長くなる時は、機関投資家などがポジションを取りがたくなり、また市場再開と共に一気に水準訂正が進むものと思われます。今回の水準訂正で8,000円台へ再度売り込むのは難しくなったのではないでしょうか。

■NYダウは9,000ドルへ挑めるか?

 日経平均株価が代替わりを達成できた背景にあるのは米国株式市場の動向であり、それはすなわちいくつかの米国でのビッグ・イベントがあったからなわけですが、節目を越えた感じのある日経平均株価に比べてNYダウの方はまだここからひと波乱待っているという感じがしないでもありません。もう一枚のチャートをご覧いただきたいのですが、NYダウも8,000ドル台は長く揉み合った水準であり、現在の水準は足元の上方への相場の勢いとは別に、どっちに転んでもおかしくはないレベルでもあります。こちらもやはり9,000ドル台への回復が待ち望まれるところです。そうすれば、頭一つ抜け出た安心感が出てきます。それまでは日経平均株価が勢い余って10,000円台トライをするという楽観的シナリオを描くには、時間稼ぎをする必要があるように考えています。

■トヨタ自動車の決算を市場がどう評価するかが問題

 先週末、東京市場の引け後にトヨタ自動車(7203)の09年3月期決算が発表になりました。米国経済に深くコミットしたのが同社の現状のビジネスであり、また車の環境対応技術という面においても、ハイブリッド・カーのトップメーカーとして業界全体の今後の試金石を担っているともいえるのが同社です。そして言うまでもなく、“株式会社ニッポン”を代表するという企業ということについては、その群を抜いた時価総額比率(下表参照)からも議論の余地がないと思われるのが同社です。そのトヨタ自動車の09年3月期決算が発表になったわけですが、終わった期の決算内容については市場のコンセンサスに沿った(すでに織り込み済み)もので、これをして何を論ずるものでもありませんが、今期10年3月期の見通しについては議論の分かれるところだろうと思います。

 つまり、最終損益の単体ベース5,500億円の赤字、同連結ベース8,500億円ベースの赤字という見通しについて、これを控えめ過ぎるとみるのか、妥当と見るのか、あるいは楽観的だと見るのかということです。
銘柄名(銘柄コード) 時価総額比率
トヨタ自動車(7203) 4.468%
三菱UFJフィナンシャルグループ(8306) 3.312%
ホンダ(7267) 2.203%
キヤノン(7751)         1.728%
NTT(9432) 1.495%
三井住友フィナンシャルグループ(8316) 1.485%
パナソニック (6752) 1.404%
東京電力(9501) 1.316%
ソニー(6758) 1.267%
任天堂(7974) 1.202%
(TOPIX構成銘柄全1705銘柄、2009年5月8日付、楽天投信投資顧問株式会社作成)

 米国自動車産業及び自動車市場の回復をどう見るのか、世界経済の展開をどう読むのかによってまず意見が分かれます。そして、同社が見通しの根拠として置いている為替の前提、ドルが95円、ユーロが125円という水準についても、先週末5月8日現在ドルが98.47円、ユーロが134.24円という水準と照らしても意見がわかれるところでしょう。円高論が消えたわけではありませんから。

 バリュエーションの議論をしようにも、会社側見通しが赤字ですからそれをベースにしたPER(株価収益率)は計算のしようがなく、また当然PBR(株価純資産倍率)も欠損が続く限りは更に高くなってしまいます。キャッシュフローなどの計算することになりますが、この先はつまり、総てがアナリストたちの腕の見せ所(さじ加減?)に掛ってくるということです。すなわち、しばらくは市場の評価も安定しないだろうということが言えます。

 私は積極的な買い材料は、一旦は出尽くし、されども売り込む材料はなく、当面は市場平均並みのパフォーマンスしか上がらないだろうと見ています。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャート1枚目は日経平均株価の日足2年分です。----- 9,000円水準に水平線を入れてありますが、抜け出た感じを確認してください。>


(出典:Bloomberg)

<今週のチャート2枚目はNYダウの日足2年分です。----- 綺麗なV字型反騰をしていますが、まだリーマン・ショック前後の水準を突き抜けた感じはありません。>

■基調はジリ高、ただし一気には上がらない

 これから主たる日本企業の決算発表がピークを迎えます。想定された市場材料の多くが、市場が懸念していた悪い内容にはならずに、市場はそれを好感する形でここまで来ました。基調全体は引き続き楽観的に見ていますが、市場のトーンが安易に楽観的見通しに振るようならば気を引き締めた方が良いだろうと思います。常にどこかに天の邪鬼な視点を残すというのがポイントだと考えています。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。
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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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