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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年5月7日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

5月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(5/1終値)
前週末比
(4/24比)
日経平均 8,977.37 +269.38 +3.09%
NYダウ 8,212.41 +136.12 +1.69%
金利・為替 週末終値
(5/1終値)
前週末比
(4/24比)
長期金利 1.395% -0.025%
ドル/円 99.15  
ユーロ/円 131.53  

薄れゆく5月危機説の可能性

前週の総括

■再度日経平均株価は9,000円台をトライ

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。週央に祝日を挟み、なおかつ週末からは5連休となるGWの中にありながらも、日経平均株価は週末金曜日の2時以降に今年に入って3度目とも4度目ともとれる9,000円台トライを敢行、残念ながら大引の板付き(引け成り売りが入っていた)でわずかに9,000円を割れたものの、14時59分までは9,000円台を維持する展開となりました。4月第4週に失ったものをすべて取り返した形です。

■為替動向に着目、鍵は米国景気

 いくつか理由は挙げられるかと思いますが、円高に振れ始めていたものが落ち着いたということが大きいかと思います。米銀ストレステストの結果発表待ちや、米国自動車産業の行方などに一喜一憂する状況が続き、再び消去法的に円が買われやすい状況が続いていましたが、米国で発表になった第1四半期(2009年1−3月)のGDP(国内総生産)統計で、在庫の記録的な減少が今年後半のプラス成長回帰の可能性を示唆したことから、安全通貨としての円の需要が後退したという側面が大きいかと思います。円は対ドルで99円台を回復し、対ユーロでは131円台となりました。

 実は前週末からの円高傾向は対ドルよりも対ユーロの方が1%以上も振れ幅が大きく、対ユーロでの円高に免疫力の低い日本企業にとっては厳しい局面とも思われたのですが、週末に向かっては対ユーロでの戻り(円安)の方が強く、心理的にもユーロが130円台を回復したというのは、外需依存の高い日本としては安心しやすかったのかもしれません。

■米国株式市場は回復基調に入る

 米国株式市場は、ストレステストの結果に身構えてはいますが、前述の通り、発表された国内第1四半期のGDPの落ち込みはマイナス6.1%と予想のマイナス4.6%より大きかったものの、個人消費が2.2%プラスになったことを受け急騰し、主要株式指数は軒並み戻り高値を更新しました。NYダウは安定的に8,000ドル台に乗せてきましたし、何より注目はNASDAQが1,700ptsを回復してきたことだと思います。大統領就任式以降の両指数の乖離は更に拡大し、すでに16%以上になってきました。

■クライスラーは連邦破産法11条を申請

 注目材料の大きな柱の一つである米国自動車産業の行方の鍵となるクライスラー問題ですが、同社は30日、ニューヨーク市の裁判所に連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請しました。フィアットとの提携や有担保ローンの69億ドル圧縮、医療保険基金への支払い義務の106億ドル削減を模索しましたが、事実UAW(全米自動車労働組合)との合意は取り付けたとも報道されていましたが、一部ヘッジファンド等の債権者が22億5000万ドルへの債務軽減を拒否したため、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを選択することになったようです。

■GM問題にはポジティブな材料となる

 これは6月1日を期日として同じく再建の方向性を模索しているGM問題に対してはポジティブな影響を与えたものと思われます。つまり、米国政府がなし崩し的に甘い結論はださないということを、債権者を含む同社関係者たちに明確に示すことができたということです。ヘッジファンド等の債権者たちが反対した理由のポイントは、ファンドへの投資家が納得するかどうかということです。ヘッジファンドが無策だったということではありません。この辺はGM問題の推移を見ていくうえでも注意を要すると思います。

 余談ではありますが、今後イタリア・フィアットとの提携を含む再編を通じ、事業を簡素化し、債務を圧縮する道を模索することになりますが、どうにもダッジ・ラムやジープ・チェロキーといった無骨なヘビー・デューティー・イメージに、真っ赤なアルファロメオの小粋なイメージを重ねることは、自動車好きとしてはかなりな無理があり、同社のダイムラーとの合併以上に困難を伴うのではないかと、今から心配になります。

■ストレステストの結果発表は7日に延期なるも

 米銀のストレステストの結果公表ですが、当初予定の4日から7日に延期されました。19行中最低でも2行、シティとバンカメは資本増強の必要性があると言われていますが、優先株式を議決権のある普通株式へ転換すれば事足りる内容であるとか諸説あり、公表まで時期を待つしかないのかもしれません。ただ、一方で例の不良資産を買い取る官民投資プログラム、いわゆるガイトナー・プランですが、財務省の発表によれば既に100社を超す資産運用会社が参加申請したとのことであり、すでに上記のことはマスコミ世論は別にして、資本市場参加者の間では織り込み済みとして物語は進んでいるともいえます。さらに付け加えるならば、オバマ大統領の経済回復諮問委員会の委員長であるボルカー元FRB議長は「経済は底入れしつつあり、追加刺激策は不要」と29日に発言されたということもポイントになるかもしれません。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは日経平均株価の日中足4日分です。----- 火曜日は豚インフルエンザの拡大懸念で腰折れしましたが、週末の終りに間違いなく9,000円を超えたのが見てとれます。>

今週のポイント

■わずか二日間ではありますが…

 このゴールデン・ウィーク、高速道路料金1,000円の魅力に駆られて行楽地へ出かけられた方々も多いかと思いますが、景気の気の字は気分の気というように、気分をリフレッシュするには一役もふた役も買ってくれたものと考えています。豚インフルエンザなどという話が出てこなければなお良かったのですが、ややこの点に関しては日本の世論は騒ぎ過ぎという感じもあり、リフレッシュ効果のポジティブな側面の方を高く評価していきたいと思います。とはいえ、今週の営業日は二日間しかなく、おそらくこのメルマガをお読みいただいた段階では、多くて一日と半場、ほとんどの場合、一日しか立ち会いはないと思われます。とはいえ、原稿執筆段階で確認できるシカゴの日経平均指数先物は高値9,450円を付けて9,350円で引けていますので、株価はショート・カバーを巻き込んで上昇基調で始まるものと思われます。

■米国市場は好調を持続

 まず米国市場の今週の状況ですが、NYダウは3ヵ月半ぶりの高値となる水準を回復し、NASDAQは半年ぶりの高値となる1,700pts台半ばを超えてきました。背景には3月の中古住宅販売成約指数は前月比3.2%上昇と、前月の2%上昇から伸び幅が拡大したことが挙げられます。予想は前月比変わらずでしたが、2カ月連続でのプラス成長は過去1年間で初めてとなります。また3月の建設支出も前月比0.3%増(前月は1.0%減)と、6カ月ぶりに増加に転じるとともに、予想(1.6%減)を上回りました。これら不動産関係の経済統計が市場に安心感を与えたことは紛れもない事実であり、ストレステストの結果云々を心配するトーンを跳ね飛ばして市場は上昇しています。

■バーナンキFRB議長も後押し

 こうしたことも背景として、バーナンキFRB議長が5日の米両院合同経済委員会での証言で「3年にわたり低迷していた米住宅市場が近く底を打つ可能性がある」との認識を示し、「金融危機が再発せず、リセッション(景気後退)が年内に終息することを期待する」と言われたことも安心材料の一つとなっていると思われます。7日にはストレステストの結果が発表になりますが、これに対しても「多くの銀行の状況を見たが、そのうちの多くは政府からの追加支援なしで、新たな資本の発行や転換・交換、資産売却や他の資本強化手段により資本の基準を満たすことができると考えている」との見解を示され、大きな不安材料にはならないと思っています。

■残りのGWを無駄にしないためのひとつの提案

 まだゴールデン・ウィークも少し残されていますので、ハイテク産業、とりわけパソコン業界の今後の展開にご興味のある方は、今月5日よりマイクロ・ソフトが始めた次期OS(パソコン用基本ソフト)「Windows 7」の最終製品版に近い「出荷候補(RC版)」のダウンロードを試されて、今後の展開を予想してみるのも投資アイデアの参考になるのではないかと思っています。英語版が先行していますが、画面イメージなどは充分に伝わるはずです。

■Windowsのロードマップを見る重要性

 おおよそこの20年間近く、世界のハイテク産業の中心には“Windows”のマイクロ・ソフトがあり、“ペンティアム(現在はコア2デュオなど)”のインテルがあり、その両者を持って“ウィンテル帝国”と呼ぶなど、ある意味では解りやすい時代が続いていたのですが、そのマイクロ・ソフトが初の減収になるなど、こちらでも大きな地殻変動が起こっています。詳細は現在楽天マネーニュースの私のブログの方に連載し始めていますが、少なくともこの両者の動き(ロードマップ)を追うことが、まだ当面はハイテク投資のひとつの道標になることだけは確かだと思います。

 Windows Vistaの未来を過信した半導体業界、とりわけDRAM業界は酷い目に会いました。でももし、今度のWindows 7が期待できるものならば、新たな展開もあるかもしれません。最終製品版に近い「出荷候補(RC版)」を自分で試してみることで、何か見えてくるかもしれません。ただ残念ながら、こうした方法はパソコンに関する知識がある程度ないと難しいかもしれません。というのも、製品版ではない無償交付なので、保証もなければ動作も確約されていません。なので、テスト・マシンとして使えるもの(使える環境)がないと試してみることができないからです。メインで使っているパソコンで試してみるなんてもってのほかだということだけはご認識ください。また現在は英語版だけの提供です。ただ、未来を感じるためにはとても面白いチャレンジだと思います。ダウンロードのサイトは下記です。時間があれば私も挑戦してみるつもりです。
http://www.microsoft.com/windows/windows-7/download.aspx

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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