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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年4月20日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

4月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(4/17終値)
前週末比
(4/10比)
日経平均 8,907.58 -56.53 -0.63%
NYダウ 8,131.33 +47.95 +0.59%
金利・為替 週末終値
(4/17終値)
前週末比
(4/10比)
長期金利 1.445% -0.005%
ドル/円 99.15  
ユーロ/円 129.34  

もう一段上抜けるには好材料が足りない

前週の総括

■日経平均株価9,000円台に2度トライするも…

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は月曜日と木曜日に9,000円台突破を目指して2度トライするも、2日間とも大引けまでは9,000円台を維持できず、とりわけ16日木曜日については、中国の1-3月期実質国内総生産(GDP)が前年同期比6.1%増と昨年10−12月の6.8%増から減速、輸出の急減が響き約10年ぶりの低い伸びにとどまったことが公表されるとその下げ足を速め、上下に250円も振れる結果となりました。市場が9,000円台を固めていくには、もう少し何か好材料が必要なようです。

■GS、JPモルガン、シティ。決算は市場予想を上回る

 一方米国株式市場では、ゴールドマン・サックスが4月13日引け後に当初予定を一日繰り上げて突如決算発表を実施、2009年1-3月(第1四半期)決算は、アナリスト予想を上回る黒字となりました。16日寄り前決算発表したJPモルガン・チェースも1-3月(第1四半期)決算は、前年同期比10%減益となったものの、利益は市場予想を上回りました。今週のしんがりは最も米銀の中では状態が悪いとされるシティ・グループでしたが、会計規則の変更で16億ドルの黒字となりました。とはいえ、優先株関連の支払いを含んだ1株当たり損失は0.18ドルとなり、市場予想を上回り、また総収入も予想を上回っています。ただこれらに共通することは低金利政策による資金調達コスト低減及びトレーディング収入増加に依存していることで、先週のウェールズ・ファーゴのそれ程には市場にインパクトは与えていません。もちろん、足は引っ張っていませんし、状況の改善は評価すべきです。

■中国需要が日本に好影響

 前述、中国の1-3月期実質国内総生産(GDP)が前年同期比6.1%増と昨年10−12月の6.8%増から減速とは言いましたが、とはいえ、新車販売が3月には前年同月比で5%増加して世界最大市場に発展しているような同国の状態は、多くの面で好影響を与えているようです。そのひとつが電子部品関連ですが、報道によるとテレビ用液晶パネルの需要が中国向けを中心に底堅く価格も上昇し始めているとのこと。またDRAM価格のみならず、フラッシュメモリーの価格も底値からリバウンドしてきています。これらはメーカー側の生産調整の影響が大きいことは言うまでもありませんが、巨大市場の需要回復には大いに期待したいところです。

■円高、というよりはユーロ安

 先週、日経平均株価が9,000円台回復を維持できなかった大きな要因は為替です。対ドルでも14日には100円台を割り込み始めましたが、添付のチャートでも明らかな通り、ユーロがダラダラと売られています。週末NY市場でのユーロの終値は対ドルで1.30450と4日続落、昨年10月以降で最長の下げとなりました。背景には欧州中央銀行(ECB)政策当局者間の意見不一致に対する投資家懸念、欧州連合統計局(ユーロスタット)が16日発表した2月のユーロ圏鉱工業生産指数が同統計開始の1986年以来で最大の落ち込みとなったことなどが挙げられますが、「欧州にあるリスク」がやはり気になることを明らかにした週だったとも言えます。

■原油価格は横ばい、金価格は下落

 ニューヨーク金先物相場は週間ベースで4週の連続安となっています。2月に1,000ドルを付けた時にも行き過ぎを指摘しましたが、中銀や国際通貨基金(IMF)が金を売り、相場を押し下げるとの観測が広がったことが背景にあります。通貨危機、基軸通貨ドルへの不信感が市場では囃されてもいますが、米国債券の最大保有国の米国債に対する投資姿勢を見ている限りは、なかなか市場の思惑通りにはならないようです。原油価格はこのところ安定しておりNY市場のWTI原油先物価格の終値は50.33ドル。ゴールデンウィークを前に、最近ガソリン価格が戻り歩調なのがやや気になるところです。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは円ユーロの5日連続の日中足です。----- 13日以降、だらだらと下がり続ける(円高)になっていることが解ります。>


(出典:Bloomberg)

<今週のチャート2枚目は金価格です。----- 2月20日に1000ドルを付けた後はダラダラと下がり続け、25日移動平均線と75日移動平均線のデッドクロスが目前になっています。>

今週のポイント

■5月危機説は当たるのか?

 日経平均株価の上値が伸び切らない大きな理由の一つが、本格化する3月期決算の発表を前に「5月危機説」がまことしやかに囁かれ続けていることです。確かに「決算を作れない」「監査法人に認めて貰えない」といった大手企業の資金繰りが破綻するという可能性を否定するだけの合理的な根拠はありません。もしそれがあるとするならば、まさにインサイダー情報ですから。

 ただ、株式市場やメディアが噂する程には、こうしたことに最も敏感である短期金融市場やCDS市場が落ち着いている、あるいは落ち着きを取り戻しているあたりに、杞憂に終わる可能性の方が高いと考えています。どこからどう情報が漏れるのかは定かではありませんが、昔から企業の破綻に関わる情報は株式市場の聞き耳よりも、彼らの方が早かったのは事実であり、株式市場はほとんど予想していなかったのに、後で調べると短期金融市場やCDS市場では周知の事実であったなんてことはよくありました。

 もちろん、これには日銀がCP買取りなどを含む最大限の努力で資金供給を続けているからという見方ができるわけでもありますが、短期金融市場のみならず、長期金利(債券市場)などの状況を鑑みても、現時点ではあまり神経質になる必要はないと思われます。

■米銀問題が峠を越えれば、残るはデトロイト

 4月19日の日本経済新聞朝刊によれば、日本の自動車部品メーカーも取引リスク回避に米政府の支援制度を活用する動きが出始めているようです。逆に言えば、それだけ現場レベルではGM(ゼネラル・モーターズ)をはじめとしたデトロイト3のクレジット問題が心配されているということの表れです。実際にチャプター11を申請された場合、GM向けの売掛金は不良債権化することが予想されます。

 しかし、自動車の環境問題に対する技術的ノウハウは日本勢が完全にリードしていることは衆目の一致するところ、リードというよりも「日本の技術がなければ」とも言えます。一方、自動車の環境対応はオバマ政権のみならず世界の一致したニーズであり、流れでもあることから、チャプター11を申請するにせよしないにせよ、日本の部品メーカーからの調達ルートを断ち切るようなことは有り得ない選択肢であることも事実です。それを踏まえて米国政府も今後対応せざるを得ないことは頭においておいた方がいいと思われます。

 ただ一方で、全米自動車労組(UAW)を含む債権者との交渉が一筋縄ではいきそうもないことも事実であり、引き続きビッグスリー問題は注視していく必要性がありそうです。今週はバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーなどの決算発表もあることから、なかなか米国市場の動向からは目が離せない一週間となりそうです。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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