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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年4月6日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

4月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(4/3終値)
前週末比
(3/27比)
日経平均 8,749.84 +122.87 +1.42%
NYダウ 8,017.59 +241.41 +3.10%
金利・為替 週末終値
(4/3終値)
前週末比
(3/27比)
長期金利 1.420% +0.09%
ドル/円 100.27  
ユーロ/円 134.97  

NYダウ8,000ドルを回復! 日経平均株価9,000円台をトライできるか?

前週の総括

4週間連騰、最悪の短観にも強い抵抗力を見せる

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。2008年度末と2009年度入りを週央で迎えた日経平均株価は、着地してしまえば前週末対比で+1.42%の上昇、添付のチャートにある通り、上下に700円以上のアップダウンを見せてのプラス終了です。年度末のお化粧買いもほとんど入らなかった一方で、やはりヘッジファンドの解約売りもほとんどなかったと言えます。

■市場は悪材料には鈍感、好材料に敏感になっている

 ご承知の通り、日銀が4月1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では、企業の景況感を示す業況判断DI指数が大企業製造業で「マイナス58」と過去最悪となりました。結局年度末3月31日が週の安値になったわけですが、この短観の内容を聞いても市場が上昇したという事実は素直に好感していいと思います。

 もちろん、短観の内容も悪いだけだったらこうはならず、それは同じく大企業製造業の3カ月後の景況感が「マイナス51」と現状のマイナス58から改善、絶対値はマイナスのままなれど、先行き見通しの改善は実に3年振りだったからです。ただ悲観にバイアスが掛ったままの市場ならば、眉間にしわを寄せた悲観論者が幅を利かせたはずです。

■米国NASDAQ市場が大健闘

 この間、NYダウの上昇率も+3.10%となって8,000ドルの大台を回復しましたが、何とNASDAQは+4.96%と大幅に上昇、前回指摘した1,600ptsを超えて週末を迎えています。オバマ大統領がホワイトハウスにも持ち込みたいと言って話題となったブラックベリーの会社、リサーチ・イン・モーションが予想を上回る決算を発表したことなどが背景にありますが、かねてから指摘している通り、日本を含む欧米の主力株式市場のインデックスとしては最も良好なパフォーマンスを示しています。

 とりわけ注目しているのが、世界経済が新しい局面に入ったともいえるオバマ大統領の就任式(1月20日)以降のパフォーマンスですが、今週NYダウがやっとプラス0.86%となった段階で、既にNASDAQはプラス12.56%、NYダウよりNASDAQに連動性が高い日経平均株価でも同8.48%の上昇ですから、いかにNASDAQ市場が好調かがお分かりいただけるかと思います。因みに、TOPIXは+3.27%、東証マザースはマイナス5.36%、ジャスダック総合指数もマイナス5.82%となります。

■円が売られる形での円安

 週末のNY市場での為替の終値はドルが100円27銭、ユーロが134円97銭。前週に比べてドルが2円41銭、ユーロが4円86銭と共に円安で、1ドル100円台の回復は昨年11月4日以来となります。欧州中央銀行(ECB)の利下げ幅が、市場が予測していた0.5%より小幅となる0.25%となり、金利差が予想されたほど縮小しなかったということも言えますが、ユーロは対ドルではわずかながら買われており、3通貨の中では円が一番売られたことになります。日本が北朝鮮のミサイルに狙われているから、ということではないと思いますが・・・。

■長期金利の上昇が気がかり

 気がかりな材料としては長期金利の上昇があります。本来は債券が新年度入り後買われやすい(金利低下)環境が整っていたにも関わらず、政府・与党が検討している追加景気対策をにらんで国債増発懸念から需給悪化を市場は予想、債券の上値が抑えられるどころか値下がりしてしまっている状況があります。週末の新発10年債の利回りは前週末対比+0.090%となる1.420%となりました。この水準は日銀が政策金利の誘導目標を現状の0.1%に引き下げてから初めてであることはもちろんのこと、昨年11月の水準まで戻したことになります。日銀の舵取りはこの先ますます難しくなることが予想されます。

■G20は成果を残し、新興国市場には好材料となった

 閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)はそれなりの成果を残して閉幕したと言えると思います。この恩恵を一番受けたのが新興国市場であり、とりわけ各通貨は勢いよくリバウンドしました。国際通貨基金(IMF)を通じた新興国・途上国向け融資の拡大が確認されたからですが、本格的な回復に繋がるかどうかは懐疑的に見ています。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは日経平均株価の日中足5日間分です。----- 2008年度末の3月31日に向かって500円超下落するも、見事に700円以上も反発。4月1日には最悪と言われる日銀短観発表がありました。>

今週のポイント

■目先注目は日経平均株価が9,000円台を回復できるかということ

 先週木曜日のNY市場(現地4月2日)、米国財務会計基準審議会(FASB)が保有資産などを現在価値で算定する時価会計の適用基準を緩和することを決定したことから、銀行株をはじめとして買い物が入りNYダウは216ドル上昇、これを受けてシカゴで取引される日経平均先物(CME)も9,000円台に乗せて東京に戻ってきたにも関わらず、東京市場では添付のチャートでも解る通り、寄り直後こそ高値8,884.63円まで上昇したものの続かず、引けてみると前日比30.06円プラスの8,749.84円。ザラバでさえCMEを上回ることがなかったことは残念です。やはり心理的節目として9,000円台というのは壁になっているのかもしれません。

■3月期決算発表への不安感

 市場に根強いのは3月期決算発表で梯子を外されることへの不安感です。3メガバンクも予想される将来の不良債権への引当金積立増加のみならず、欧米銀行への投資を減損処理することから揃って最終赤字に転落するなど、決算発表を聞くまでは安心できないというセンチメントが市場の底流を流れています。楽観論を言うより、慎重論を言っておいた方が、コメントとしてもヘッジが効くからとも言えます。

■出来高はかなり回復してきました

 とはいえ、先週1週間の売買代金の平均は1兆5,676億円、週末に向かって増加し金曜日は1兆8,913億円まで回復してきています。いろいろな見方をする人がいるとは思いますが、トヨタのような超大型株が4月に入ったこのわずか3日間で、チャートに窓を開けながらも20%以上も上昇するエネルギーは高く評価できると思います。窓埋めが起こる可能性を否定はしませんが、そんなに斜に構える必要はないというのがスタンスです。

■雲の上に出ました!


(出典:Bloomberg)

<今週の2枚目のチャートは日経平均株価の一目均衡表です。----- 4月下旬に薄くなりますが、当面は8,200円を上の淵とする雲の上に出ました。>

 もう1枚のチャートは一目均衡表です。雲が厚くなる前の最後のチャンスで上に突き抜け、いったんは押し返されましたが、やはり雲の上でリバウンド、現在は穏やかにたなびく雲海の上にいます。この先、ちょうど決算発表のさなかで雲が薄くなるのですが、それまでにはまた何か材料があるだろうと思われます。

■低炭素革命の話題は尽きない

 前回もハイブリッドカーや家庭用燃料電池や太陽光発電の話題に触れましたが、この手の話題には事欠かなくなってきました。先週も政府がエコカー購入に補助金を付けることなどが発表されています。これはドイツでは先行して成功を収めている制度で、平均的な車両使用年数11.67年を上回る13年を超える車をエコカーに乗り換えると最大30万円の補助金が出るというものです。

■需要の先食い??

 もし、ハイブリッドカーが何も技術的なイノベーションを伴わないものであるならば、税制などの補助支援による需要は、将来の買い替え需要の先食いにしかならないかもしれません。しかし、ハイブリッドカーのそれは違います。極論を言えば、T型フォードの時代から続いた車の心臓部が、内燃機関からモーターに変わるという大変革なのです。ホンダ・インサイトのハイブリッドは既存の内燃機関プラットフォームにシステムを付けただけのものとも言えますが、トヨタ・プリウスのそれは内燃機関やミッションも含めたまったく新しいハイブリッドカー専用のものです。だから単なる先食いだけのインパクトには終わらないと言えます。

■多くのものが変わらないとならない

 前回、車載電装品のニーズが変わると書きましたが、少し具体的に話します。夏場の車の中の温度ならば実感されやすいと思いますが、ダッシュボードの近辺の温度は70℃を超えると言われています。一方、一般にパソコンのCPUは70℃になると強制的にシャットダウンされるように設定されており、またコンデンサーなども室温30℃からおよそ10℃上昇するごとに寿命が半減すると言われています。これが家電品向けの部品が車の使用には簡単に向けられない根拠の一つでもあります。

 車内電装品の耐熱温度はマイナス30℃〜プラス85℃くらいまで余裕を見て設計される必要がありますが、エンジン・ルーム内でハイブリッド・システムの制御を担わないとならない電装品類の耐熱性能への要求がどれほどのものか、これだけでも想像に難くありません。そしてその要求を満たしたものを市場に供給しなければ、上述のエコカーの需要は満たせないということです。パソコンでよく起こるような再起動をしなければならないようなフリーズは、車の電装品に限っては起きてはならないことだからです。だから多くのものが変わらないとならないのです。だから大きな変革が起きるのです。株式投資の王道はそうした変革期をとらえることだと私は考えています。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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