※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年1月5日 楽天証券株式会社

楽天証券

チーフストラテジストが、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

マーケット概況

株式 週末終値
(12/30&09/1/2
終値)
前週末比
(12/26比)
日経平均 8,859.56 +120.04 +1.37%
NYダウ 9,034.69 +519.14 +6.10%
株式 週末終値
(12/30&09/1/2
終値)
前週末比
(12/26比)
長期金利 1.165% -0.035%
ドル/円 91.83  
ユーロ/円 127.87  

*日本市場の日経平均株価、長期金利は2008年12月30日付、米国市場のNYダウ及び為替については2009年1月2日付

謹賀新年

 新年明けましておめでとうございます。昨年は一昨年から問題が拡大し始めたサブプライム問題とその影響の拡大で「100年に一度の危機」とまで言われた大変厳しい一年となりましたが、今年はそれがひるがえって「100年に一度の好機」となることを期待して幕を開けたいと思います。何と言っても、今年は「丑年」、個人的にも年男ですから。

  下の写真は金融の中心地Wall街にある有名なブロンズの「BULL」です。牛は戦う時、角を下から突き上げるので強気の象徴として讃えられていますが、これにあやかれるよう、そして、少しでも皆様の投資判断の一助となるような情報配信を心がけていきたいと思っております。その第一弾として年末に行いました「楽天DI新春特大アンケート」の結果も公開しておりますので、そちらもご参照ください。ご協力いただきました皆様には厚く御礼申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。

前週の総括

■4年振りに大納会が陽線で終了!

   先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。かつて東京証券取引所が場立ちの人達で溢れていた頃、大納会と大発会はたとえそれが午前中だけの取引の短縮立会だとしても、やはり一年の締めくくりであり、そして一年の始まりであり、一種独特の興奮に包まれていたものです。大納会最後の手締めを聞いて「何はともあれ一年終わったな」と感慨に耽るものがありました(東証今昔ものがたり)が、実はその大納会が陽線になったのは、つまり値上がりしてプラスで終わったということは、案外、2008年の市場の締めくくりとしては大事なことだったように思われます。

■2008年は引けに向かって切り上げた陽線

  2005年大納会は前日比マイナス232.77円ですが、寄付きが高かったため300円分の長い陰線、2006年は前日比こそ+1.02円とプラスですが、始値が終値より2.66円上のため極めて薄いながらも陰線、2007年は前日比マイナス151.32円で寄り付いたため、終値は前日比マイナス256.91円になりましたが、長さは少し短い105.59円の陰線です。そして大変厳しい一年となった2008年締め括りの大納会はと言うと、前日比で小安く始まったものの、徐々に切り返し、前日比プラスの112.39円、ボディーは143.28円となる立派な陽線が立ちました。言うまでもなく、日経平均株価の絶対水準が低いですから、その変化率で捉えると、それなりの意味があり、引けに向かって切り返していった感触は2009年相場へ期待感をつなぐ後味を残せたように思います。もちろん、出来高は低調なままですが・・・。

■米国市場は9000ドルを回復!

  一方、米国市場ですが、米国政府がGM再建策の一環として金融子会社GMACへの支援を決めたことや、原油価格が切り返したことなどを受けて連日続伸しNYダウは9,034.69ドルと前週末対比プラス519.14ドル(+6.10%)で取引を終了しています。因みに9,000ドル台回復は2009年最初の取引となった1月2日のことで、一日だけでプラス258.3ドルも上昇しています。週を通じてみると、S&P500がプラス6.76%と最も上昇しており、新年2日だけ見るとハイテク株比率の高いナスダックがプラス3.50%で一番上昇しています。

 背景となった原油価格の上昇ですが、米国の石油製品在庫が予想ほど増加しなかったことに加え、27日に終わった一週間の新規失業者保険申請件数が予想を大幅に下回り、需給が引き締まる可能性を市場が感じて前日比で5.57ドル(14.27%)も上昇、44.60ドルで2008年の取引を終えています。中東情勢に緊張感が高まっているということも背景にはあると思われます。

 為替の動きですが、週末終値はドル円が91.83円、ユーロが127.84円となっています。ドル円は1月2日に一時92円40銭台までドルが買い戻され、ドルは対ユーロでも一時1.385を超える水準まで買い戻されています。


(出典:Bloomberg)

<チャートは日経平均株価の先週の動きの日中足です。----- こうして見ていただくと、月曜日の後場から戻り歩調だったことを確認して貰えると思います。>

今週のポイント

■穏やかに2009年(丑年)は始まりました

  1989年の大納会が異常な興奮の中で日経平均が38,915円をつけて幕を閉じにも関わらず、そのお正月の新聞を見た時「あ、今年は終わったな」と思ったことをとてもよく記憶しています。そして当然のごとくに大発会からマイナスで1990年は始まりました。

  ひるがえって、2009年お正月、皆様はいかがお過ごしになったでしょうか? NY市場が前述のようにポジティブに年末を迎え、そして1月2日の取引開始早々に9,000ドルを回復したからかも知れません。或いは、この一年余りで不景気な悲観論に慣れっこになってしまった私が驚くような目新しい話が新聞紙上になかったからかも知れません。事実、私の新聞記事の切り抜きスクラップには「こりゃ大変だ」と思って貼り付けたものは31日以降ありませんし、日経新聞の一面を飾った記事も超時事性のあるものではなく「危機が未来をひらく」という見出しのもの。例年になく穏やかなお正月だったと感じているのは私だけでしょうか?

  元旦、いつものようにもう20年近く通っている神社に家族揃って初詣にも出かけてきましたが「不景気な時ほど初詣客は増えるんだよなあ」とは実感しつつも、特段渋滞が緩和されていることもありませんでした(つまり渋滞にしっかりとはまりました)。それはガソリンスタンドを選べばレギュラーが100円を切る値段で給油できるようになった恩恵かも知れませんが、巣篭りしていた人々も少しづつ動き出した気配を感じます。「正月位は出かけるのは当然だ!」或いは「日比谷公園のホームレスの話を知っているのか?」とのご批判もあるかも知れませんが、少なくとも、この正月休みの間に更なるネガティブ・バイアスを掛けなくてはならないようなことは起こらなかったと思っています。

■米国オバマ次期大統領への期待と現実

  とはいえ、週明け早々6日は米国では上下両院本会議でオバマ次期大統領の就任が正式に決議され、20日は新大統領としてホワイトハウスの住人になります。多くの批判の中で幕を閉じるブッシュ政権に対する反動を含めた、かなり高い期待値の中で米国の新政権がスタートするということです。もうそこからは期待ではなく、現実になるわけです。相場格言を持ち出すまでもなく、金融市場は期待値で動き、現実で反転します。本当の意味での正念場、オバマ次期大統領率いる米国の試練はこれから始まるという穿った見方もできなくはありません。それが正しいかどうかは別にして。

  恐らく、すべての金融市場の参加者が一旦はそこで現実にできることとできないこと、夢と現実、早期に解決することと時間のかかる問題、などなどをすべて図り直すはずです。日本市場においても、年末に皆様にご協力頂いた「楽天DI新春特大アンケート」の結果を見ても明らかですが、個人投資家の皆様は日本の解散・総選挙という政局より、オバマ次期大統領の手腕を2倍以上の得票差をつけて注視されていることが明らかになっています。そして米国、いえ世界経済の現実の進捗を見極める段階を経て、次なる絵を描き、そして観に行くはずです。こうした絵巻は連続して続いています。

 ただ一方で、日本では2008年度第3四半期が終わり、第4四半期に入っただけという認識のタイミングですが、カレンダー・ベースの決算が中心の欧米では2009年度の新たなスタートでもあり、すべてのバジェット(予算)がリスク許容度も含めて新規に始まりました。その意味ではこの1カ月間は2009年を占ううえではとても大事な期間となります。まずは穏やかなお正月を迎えられたことを慶びつつ、じっくりと状況を判断していきたいと思っています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

 

PROFILE

大島和隆

楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。株式投資などの有価証券投資は、投資元本が保証されているものではありません。

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

Copyright © 2009 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.