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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2008年11月4日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (10/31終値) |
前週末比 (10/24比) |
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日経平均 | 8,576.98 | +927.90 | +12.13% |
NYダウ | 9,325.01 | +946.06 | +11.29% |
株式 | 週末終値 (10/31終値) |
前週末比 (10/24比) |
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長期金利 | 1.480% | 変わらず | |
ドル/円 | 98.46 | ||
ユーロ/円 | 125.29 |
先週末の日経平均株価の終値は8,576.98円、前々週末と比較すると+927.90円、率にして+12.13%の上昇となりました。と、まとめてしまうとインパクトが薄くなってしまうのですが、28日(火曜日)につけた安値(6,994.90円)から30日(木曜日)につけた高値(9,030.85円)までの値幅はなんと2,035.95円、上昇率にして29.1%とかなりな大胆な動きです。そして週末の引けは高値から453.87円も下です。日経平均株価の7,000円割れ、トヨタの3,000円割れ、ソニーの1,800円割れなども含めて、またメガバングがストップ安で連日引けるなど、週前半を支配した市場のトーンはかなり悲壮感漂うものだったと思われます。
先週のこの悲壮感打開の立役者となったのは日銀。先週末からの急激な円高を受けて月末の日銀金融政策決定会合での利下げ期待がひと際高まったからです。市場は日銀が政策金利を引き下げることを期待し、そして0.25%の利下げを確実視ながらそれを織り込みに行き、為替が対ドルで98-99円水準まで、対ユーロで128-130円水準まで一気に円安に振れるのを見ると、株価も上げ足を速める形で9,000円台を回復するところまで上昇しました。しかし、実際に蓋を開けてみると、利下げは行われたものの0.2%という、市場が期待した0.25%と比べると中途半端な水準、週末金曜日はその失望感で大引けにかけて値を消したという感じです。
実は先週は日経平均株価が一番激しく上下しており、TOPIXは+61.01ptsの7.57%の上昇に過ぎず、東証マザースは+0.83%、JASDAQ平均はなんとマイナス0.62%となっています。週を通じた売買代金平均は先々週末対比で+11.49%となる2兆2,439億円となり少し回復しています。為替が大きな変動要因となったため、外需関連に影響を受けやすい日経平均株価の変動が激しくなったものと推察されます。
一方、米国市場の動きは徐々に安定感を取り戻しつつあるかにもみえ、NYダウ週末の終値は9,325.01ドルで先々週末対比11.29%もの上昇率になる946.06ドルの上昇、S&P500種週間ベースの上昇率10.49%は1974年以降最大の上げ率となるようで、NASDAQも10.88%の上昇率ですから市場が万遍なく上昇した様子がうかがえます。
それにしても、今年初めは、日経平均株価は14,000円台、NYダウは13,000ドル台で始まったにもかかわらず、いつの間にかNYダウの水準の方が上にあるのを釈然としない思いで見ているのは私だけでしょうか? この9月以降の下げの局面で日経平均株価がNYダウを追い越して下落し、その後、NYダウの方の戻りが早いという感じです。昨今の為替の動きも含め、ヘッジファンドの解約の影響(換金性と投資家属性)の出方で捉えてみると、ひとつの大きな絵を描くことができ、また今後の流れを読み説く上での鍵がここにあるように思われます。
原油は週を通じて60ドル台を維持、この水準は2006年第4四半期の水準までさかのぼることができ、円ベースで引き直すと2005年第3四半期の水準まで遡ります。実際週末給油したガソリンスタンドではレギュラー・ガソリンが125円の看板になっていましたので、正直「安くなったなあ」思ったものです。
<チャートは円ベースでの原油価格推移です。-----今年の夏までのファンダメンタルに対するシナリオの多く面が180度方向転換を余儀なくされる筈です。相当コストプッシュ要因として計算されていたはずですから>
今週のポイントは何と言っても現地時間11月4日に行われる米国大統領選挙だと思います。現在、米国発のサブプライム・ローン問題に端を発した金融危機問題で市場が振り回されているわけですが、この1年間、少なく見積もってもこの半年の間、中々当事国米国がまともな政治決断をできずに事態を長引かせた理由の一つが「レイムダック現象」だと考えています。そんな中でもポールソン財務長官やバーナンキFRB議長は最善を尽くされてきたのだと思いますが、何かを決める時に、金融当局のトップがブッシュ大統領にだけ相談するのではなく、民主党候補オバマ氏と、共和党候補マケイン氏の両方にもお伺いを立てなくてはならない状況なんて、通常では“あり得ません”。それは任期満了を目前に控えた上に、長引く米軍のイラク駐留などで支持率激減のブッシュ政権がほとんどまともな指導力を発揮できない状況になっていたからに他ありません。ブッシュ大統領が共和党であるのに対し、現時点では民主党代表候補のオバマ氏が選挙戦をリードしている様子にもその現状の一端を垣間見ます。
しかし、それもこれも、少なくとも今週現地時間11月4日には来年1月からホワイト・ハウスの主となるのは誰なのか、米国経済の少なくとも次の4年間の舵取りを任されるのは誰なのかははっきりした段階で幕です。ここでその政策の違いを議論することはあまり意味がないと思います。まずは兎に角「レイムダック現象」が終わるということが第一のポイント。その上で、経済対策などの違いなどによりどんな影響が出るかということになろうかと思います。つまり、少なくとも「現時点の中途半端な状態よりまし」ということです。今回の大統領選挙、オバマ氏にほぼ間違いないとも言われていますが、ただオバマ氏が当選した場合の方が、日本への風当たりは今後強くなる可能性があると、ある筋から聞いた話が若干気にはなっているのですが…。
いずれにしても世界景気にとって絶対欠かせない米国の次期リーダーが今週決まります。かつてようなのパンチ・カードの問題さえなければ…。まずこれがメインイベントです。そして週末7日には米国で10月雇用統計が発表になります。新大統領周りから必ずこれらについてのコメントが発信され、市場は一喜一憂するのではないかと思います。そして一方では6日頃にECBが再度利下げする可能性が高くなっています。このあたりの流れをよく注目していきたいと思っています。
それにしても、前述しましたがガソリンが大分安くなった気がします。この3連休、私も随分と出かけましたが、高速道路上の車が増えたように感じています。またイオンは11月から、イトーヨーカ堂は10月29日から円高差益還元セールを始めています。もちろん、ロジックとしては需要が減少したからOPECが減産決定しても下げ止まらない原油でもあり、消費者の委縮したマインドを喚起するための円高差益還元セールということで、悲観論を唱えることは可能だと思います。私の知る限りにおいても、まだまだヘッジファンドの解約は続くようですから、需給関係だって、そう簡単には好転しないかも知れません。しかし、これらのことをポジティブに捉えると、突破口が見えてくるようにも思える私は楽観主義者過ぎるのでしょうか? 日銀が利下げ幅を刻んで、当座預金に0.1%付利する決定をしたのは、糊代の少なさによると思います。なにより金融緩和です。これらを踏まえて、少し長い目線で前を見た時、足元の暗さとは違うものが見えてくるように考えています。
今週も素晴らしい一週間になることを願っています。
楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
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