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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2008年10月6日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (10/3終値) |
前週末比 (9/26比) |
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日経平均 | 10,938.14 | -955.02 | -8.03% |
NYダウ | 10,325.38 | -817.75 | -7.34% |
株式 | 週末終値 (10/3終値) |
前週末比 (9/26比) |
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長期金利 | 1.445% | -0.015% | |
ドル/円 | 105.32 | ||
ユーロ/円 | 145.12 |
先週末(10月3日)は対前週末(9月26日)比で日経平均はなんとマイナス955.02円(−8.03%)と大幅な下落となりました。米国議会で可決が期待されていた「金融安定化法案」が、事前の議会合意の発表にもかかわらず、蓋を開けてみればまさかの「否決」。正直、これには驚きました。詳細は緊急レポート「大統領の指導力が問題」に記しましたが、これを受けて現地月曜日のNY市場ではダウが史上最大の下落幅をもって急落(777.68ドル)、正にブラック・マンデーの再来でした。もちろん、下げ率で言えば87年のブラック・マンデーはマイナス22.6%にも及びますので、今回のマイナス6.98%に比べれば約3.25倍にもなりますが、下げ幅で言えば当時は508ドルですから…。また歴史的な現場を目撃したことには変わりません。
この一週間は9月決算月という要因にはあまりおかまいなく、基本的に「金融安定化法案」の行方といった海外要因に日本市場も振り回された一週間だったと言えると思います。また先週の本文でも気掛かりなこととして触れた“欧州金融機関への飛び火”は、正に危惧した通りにドラマが始まってしまいました。2日に開かれた欧州中央銀行の定例理事会では政策金利を年4.25%で据え置きましたが、こうした状況を踏まえてトリシェ総裁は記者会見で利下げの選択肢も議論したことを明かしています。これらを受けてユーロが対ドルでも、対円でも大幅下落、先週末1.4622から1.3779までドル高ユーロ安、対円でも155.53円から145.12円へと10円以上も円高ユーロ安になっています。
先週の株式市場は世界的に見ても金融関係と世界景気に影響を受けるグローバル・シクリカル・セクターが下がっています。更に言えば、東証マザーズ指数の下落率が週間でマイナス16.76%となっていることが気掛かりです。世界的な金融不安の高まりから“新興”という名前が株も国も投資家から敬遠されているからかも知れません。
原油は先週末の106.89ドルから大幅下落、週末NYの終値は93.88ドルと13ドルも週を通じて下落しています。
■「不気味なボラティリティの動き」「急落(暴落)に備えよ!」「コツンと聞こえたかも知れない」という二つの緊急レポートの論拠としたボラティリティと株価の相関関係が歪んで不気味な動きをしています。同じ感じの歪み方を観測したのは、私の記憶しているのはほんの数回なのですが、古くは1995年1月中旬〜2月終わり、新しいところでは今年の1月終わり〜3月中旬に同じような状況をみることができます。お解りの方もいらっしゃるかも知れませんが、前者が阪神大震災からベアリングス破綻までの期間で、後者がソシエテ・ジェネラルのデリバティブ取引による多額の損失発生事件です。共通項は意図せぬ相場変動に、オプションをつかったポジション・ディーラーが多額の損失を抱えた事実を、無理な市場操作などによって隠ぺいしようと無茶苦茶な売買を行った結果、破綻したということです。9月末をまたいだこの期間、相次ぐ米銀の破綻やヘッジ・ファンドの閉鎖が聞こえてきていますが、投資判断を伴わない不自然な売買が大きな規模で行われている可能性を否定できなくもありません。なにせこの2週間の間にウォール街に君臨した5つの投資銀行がすべて無くなった(一部は業態転換ですが)のですから。
<チャートはドルユーロの日足-----ドルの暴落説は何処へ行った??>
米国で3日、期待通り「金融安定化法案」が可決されたのにもかかわらず、NYダウが午後1時頃から下落に転じているのが嫌な予感がします。確かに雇用統計は市場の予想をはるかに上回る悪化を示し、非農業部門雇用者数が前月比15万9,000人減(市場予想10万5,000人減)と5年ぶりの大幅減少となりましたが、これが法案可決というポジティブ要因を打ち消したネガティブ要因とは考え難い面もあります。もうひとつ気になるのは、同法案が可決したので、SECによる空売り禁止措置は10月8日11時59分に失効するというものです。この段階で今週水曜日に規制解除すると何が起こるか解りません。
嫌な予感のもうひとつの理由は、先週、米銀第5位のワコビアの銀行部門はシティグループが買収することに決まったと報じられていましたが、3日になって、なんとウェルズ・ファーゴが総額約151億ドルの株式交換で買収することで合意したと両行揃って発表したことです。これを受けてシティグループの株価は前日比マイナス18.44%の18.35ドルまで急落しています。実はだいたいこの時間と前述のNYダウが前日比プラス200ドル界隈を推移していたところから下落に転じるタイミングが一緒なんです。シティグループは16日に決算発表を予定していますが、それまでの動きが注目されるところです。
また現状格付けはS&Pから最上位のAAA格を得ているジェフ・イメルトCEO率いる世界のブルーチップ、ゼネラル・エレクトロニクス(GE)がこの時期に1.5兆円もの増資を行ったことです。「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット氏がそのうちの約3,000億円を引き受けるということで安心感を与えてはいますが、「この時期になぜ?」という疑問符への答えにはなっていません。ただ一方で、環境開発を名目にGMをはじめとするビッグ・スリーが約2.7兆円もの政府からの低利融資話を取り付けたことは秘かな安心材料となるかも知れません。
今回、「金融安定化法案」可決と共に発表されるかもしれないと期待されたFRBの緊急利下げですが、まだバーナンキFRB議長はそのカードを温存したようです。まだその手は残っています。週明けからは日本でも日銀の政策決定会合がはじまります。先週発表になった日銀短観は5年3カ月ぶりに大企業製造業DIがマイナスになり、また9月末の株価や債券価格からすでに評価損やそれに伴う減損処理の話もあちこちで出ていますので、景気に関するマクロ数値や企業決算の見通しに良いものが出るとは思えませんが、中央銀行の断固たる姿勢が確認され続けることが、今の資本市場にとっては一番大事なことなのだと思っています。
前述のように、基軸通貨ドルの動きは、この一連の流れの中で多くの識者の論評裏腹に堅調です。今はこれがとても重要なことの筈です。サブプライム問題が深刻さを増す過程で言われ続けた危機の一つは正に「ドル暴落!」なのですから。対円でも3月にすでに一度つけている95円台程度なら暴落とは言いませんし、対ユーロで急落しているのはドルの方ではなく、ユーロの方ですから。
勿論、もっと究極に一番大事なことは、米国では早く大統領が決まること、日本でも政治が党利党略や政権奪取のことばかりではなく、明日の日本を見据えた前向きな議論が始まることなのは言うまでもありませんけどね。
今週も素晴らしい一週間になることを願っています。
楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
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