※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2008年9月29日 楽天証券株式会社

楽天証券

チーフストラテジストが、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

マーケット概況

株式 週末終値
(9/26終値)
前週末比
(9/19比)
日経平均 11,893.16 -27.70 -0.23%
NYダウ 11,143.13 -245.31 -2.15%
株式 週末終値
(9/26終値)
前週末比
(9/19比)
長期金利 1.460% -0.005%
ドル/円 107.38  
ユーロ/円 155.53  

前週の総括

 先週末(9月26日)は対前週末(9月19日)比で日経平均はマイナス27.70円(−0.23%)。週初は、前週末「金融安定化のため7,000億ドル(約75兆円)に及ぶ公的資金を投入して不良債権を買い取る」という案が米国で発表されたことを受け、週末のNYダウが前日比プラス368.75ドルと急上昇した流れを引き継ぎ、週末比169円高い12,090.59円と12,000円台を回復してスタートしました。東証マザーズやジャスダックはまちまちでしたが・・・。

 しかし、すでにその晩のNY市場では公的資金7,000億ドルの使い方などを巡っていろいろな議論や思惑が飛び交い、一方では財政赤字が拡大するとの懸念から原油価格が25ドルも上昇して130ドルをつける場面などもあり、NYダウは372.75ドルの急反落、翌日23日もドット上院銀行委員長が「現行案では受け入れ不可能」などと7,000億ドルをかけた金融機関救済計画の議会通過が遅れるとの認識を示したことから、更に161.52ドルに突っ込みました。現地月曜日と火曜日で都合あわせて534.27ドルの急落! 日本ではなす術もないまま秋分の日で休日。

 翌水曜日、日本がのんびりと休日を過ごしたこの2日間でNY市場が延べ534.27ドルも急落した以上は相当な混乱を覚悟していましたが、やはりボラティリティが先週急騰した影響(緊急レポート「コツンと聞こえたかも知れない」をご参照ください)もあり、また配当落ち狙いの買いも入って、わずか25円ではありますが上昇しました。翌日こそ日経平均は108.5円ほどマイナスになりましたが、計算によるとこのうち82.円28銭は9月の配当落ち分なので、実質はわずか26.22円のマイナスという下げ幅と見ることができます。

 ただこの間も米国での金融動乱は続き、まず破綻したリーマンのアジア太平洋、中東及び欧州のビジネスを野村證券が買収することを発表すれば、米証券第二位のモルガン・スタンレーの株式を20%所有する筆頭株主になることを三菱UFJフィナンシャル・グループが発表したり、一方で米大手のゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社に移行した上で、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイからの50億ドルを含む総額100億ドルの資金調達を発表したりと、業界再編成のドラマはものすごい勢いで進みました。更にS&L(貯蓄・貸付組合)最大手のワシントン・ミューチュアルが当局に接収され、これをJPモルガンが買い取るというドラマで週の幕を引きました。ワシントン・ミューチュアルは米国の預金取扱金融機関としては史上最大規模の破たん劇です。

 結局日本時間での週末は、金融安定化法案が簡単に成立しない可能性が取り沙汰され、週を通じてみると対前週末(19日)対比でみると、わずかですか27.7円のマイナスというレベルで終了しました。売買代金は受け渡しが年度替わりした25日に1.7兆円台と3週間ぶりに2兆円台を割りましたが、週を通じてみると2.1兆円程度となります。

 しかし一方、NY時間に入ると、米国株式市場では金融安定化法案が成立しそうだという見方が広まり、週末は前日比プラス121.07ドルの11,143.13ドルで引けています。ただ週前半の急落がたたり、週を通じてみると前週末比マイナス245.31ドル(−2.15%)となります。

 為替はNY終値でドルが106.11円、ユーロが151.97円、前週末に比べてドルが1円27銭の円高、ユーロが3円56銭の円高になっています。週央にかけてはドルが対ユーロで1.47まで弱含む場面もありましたが、週末は逆にユーロが売られています。

 原油価格ですが、130ドルをザラバで見るなんてこともありましたが、週末はニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物11月限は前日比1.13ドル(1%)安の1バレル=106.89ドルで終えています。でも100ドル越え。高いです。

<チャートは日経平均の一目均衡表-----10月中旬の雲の薄いところを狙って>

今週のポイント

 今週は名実共に下半期入り。米国のヘッジファンド・マネージャーなどにとっては決算前の最後の四半期入りともなるわけ(ここで稼がないと彼らは成功報酬を貰えないから、かなり必死です。世界中のほとんどのヘッジファンドが現在水面下のパフォーマンス(要はマイナス・リターン)で苦戦しているようですから)で、とりあえずは年度末9月30日のお化粧買いなどを期待しつつ、一方では年金基金などの機関投資家がリスク・バジェットを調整したあらたな計算期間の運用がはじまる可能性に期待するというのがひとつオーソドックスな見方です。

 ただ、米国銀行系のすったもんだは大体のメジャー・ネームがこれで出揃いましたが、欧州系の金融機関にこの金融危機が飛び火したという話をまだ具体的には聞いていませんので、ちょっと気になっています。欧州系の金融機関も当然グローバルにビジネスを展開していますし、私の耳にさえ噂が聞こえてきていないわけではないので。(追記:原稿を書き終えた後、欧州のフォルティスが国有化される話が聞こえてきました)

 しかしながら、先週の日銀の金融調節の仕方などを見ていても、このところ通常の誘導レンジをはるかに下回ることを気にせずに、断固とした流動性確保の姿勢を見るにつけ、各国中央銀行の姿勢は本腰が入っていることが見て取れます。

 7,000億ドル(約75兆円⇒ご参考:日本の20年度国家予算、一般会計は約83兆円)もの大金の使い方に関しては、そもそもそんな簡単に一朝一石に決まるものではないことがあたりまえです。米国の国防予算だって5,154億ドルにすぎないのですから、それを上回る7,000億ドルに抵抗がないわけがありません。27日早朝現在、まだ法案は可決していませんので、まだドタバタは続くでしょう。ただボラティリティの動向は目下のところ、緊急レポート「コツンと聞こえたかも知れない」に記載した通りになっています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

#追記:やはり原稿書き下ろし後、金融安定化法案で議会の合意が得られたようです。ホッとしました。

 

PROFILE

大島和隆

楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。株式投資などの有価証券投資は、投資元本が保証されているものではありません。

配信停止 配信先の変更
メールマガジンの配信停止は、下のボタンから楽天証券取引ページにログインをしていただき、「メールマガジン選択」にてお手続きください。 メールマガジンの配信先の変更は、下のボタンから楽天証券取引ページにログインをしていただき、「メールアドレス登録・変更」にてお手続きください。
配信停止する 配信先を変更する

商号等:楽天証券株式会社
楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

Copyright © 2008 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.