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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2008年9月22日 楽天証券株式会社

楽天証券

チーフストラテジストが、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

マーケット概況

株式 週末終値
(9/19終値)
前週末比
(9/12比)
日経平均 11,920.86 -293.90 -2.41%
NYダウ 11,388.44 -33.55 -0.29%
株式 週末終値
(9/19終値)
前週末比
(9/12比)
長期金利 1.465% -0.065%
ドル/円 107.38  
ユーロ/円 155.53  

前週の総括

 先週末(9月19日)は対前週末(9月12日)比で日経平均はマイナス293.90円(−2.41%)、週初にリーマンショックで605円安と急落した割には、半分以上値を回復して終了となりました。新興市場では東証マザーズ指数が今週もプラス2.43%と他市場とは違う動きをしているのが特徴です。先週の私の一番の注目点は、ヒストリカル・ボラティリティ(注)が週末に向かって45.776まで急上昇していることです。7月4日にご案内した緊急レポート「急落に備えよ」で着目したのもこの数値ですが、今回は反対方向に過去10年間で5回しか示現していない水準まで上昇しています。私がこの指標を投資判断上で意識するようになった94年9月から数えてもこのレベルは7回しかありません。詳細は別途掲載しました緊急レポート「コツンと聞こえたかも知れない」をご覧ください。

 東証一部の売買代金は週を平均して一日当たり約2兆5,098億円と、先々週の全日平均よりも更に6.88%増加してきています。ただ、弊社の個別銘柄の売買動向を、週を通じて集計してみると、市場全体の急落時には積極的に押し目買いを入れたものの、週末の高くなったところでは一旦利益を確定させる、といった取引が目立ったように思われます。

 こうした先週のロデオ・ライドのような市場展開となった最大の理由は、もう皆さんも新聞やニュース等で散々ご覧になったと思いますが、米国金融不安の再燃です。第一幕はまさかのリーマン・ブラザーズの破綻で切って落とされ、第二幕がAIG保険のFRBへの繋ぎ融資申請から公的資金投入による救済、そしてもうこれで大団円かと思いきや、更にどんでん返しの第三幕、モルガン・スタンレーへの不安やまさかゴールドマン・サックスまでがという緊張高まる展開があって、やっとフィナーレ、「公的資金を数十兆円の金融安定化への総合対策発表」というやっと大団円を迎えて週末となりました。途中、幕間での寸劇も多々ありましたが、メイン舞台でのストーリー展開をまとめるとこんな感じです。

 これを受けて週末のNYダウ終値は11,388.44ドルとなり、前週末(9月12日)対比でマイナスは僅かに33.55ドル(マイナス0.29%)という展開となりました。先週ご案内した下値抵抗線になるかと思われたラインなど、週初に何のためらいもなくぶち抜かれてしまいましたが、週末は同様に上値の抵抗線として引くこともできた線を簡単に上に飛び抜けています。

 一方、為替の動きはちょっと気になる週末です。一週間を通じた動きでいえば、ドル円で103円台を見つつも週を通じてみれば105円前後で終わるかと思われていましたが、NYでの終値は107.38円。前々週末(9月12日)との比較ではドル円は今週も50銭程度の違いに収束しているのですが、ドルが対ユーロでジワジワと売られている感じが若干の不安材料です。と言っても、5月〜7月にかけてのような1.600台トライといったレベルではないので、ドル安!と喧伝するような水準では全然ないと思っています。これにつられて円ユーロは週末155.53円です。今は毎日ロデオ・ライドのような株式市場を気にするよりも、私は為替市場、ドル・ユーロ相場を注視しています。と言っても、為替もかなり派手に振幅していますが…。

<チャートは日経平均とボラティリティのグラフ-----45まで急騰、底打ちか?>

今週のポイント

 今週は月曜日が飛び石連休の谷間になるので、この時期、投資家によっては動き難いと考える人も多いとは思いますが、週末になると実質月替わり商いとなって受け渡しが下半期入りする10月となります。従って、もしかすると需給面での改善が見られるようになるかも知れません。

 ただ、24日には米国で中古住宅販売件数、翌25日には新築住宅販売件数が発表を控えており、悲観論の重要な論点である「米国市場での住宅価格の下落が止まるまでは金融不安は収まらない」という論拠に燃料を注ぐような話が出る可能性をまだ払拭はできず、また更に26日は米国の第2四半期GDPが発表になることを併せ考えると、まだもう暫くは荒れ馬に乗ることを覚悟しておいた方が良いのかも知れません。だからこそ、ボラティリティが高いわけでもありますから。

 日本の株式市場でありながら、米国市場の動向に振り回されるのというのも釈然としない思いもありますが、経済がこれだけグローバル化する一方で、日本株式市場における日本の投資家のプレゼンスが現在のように低下している状態が続く限り、米国市場の動向を注視せざるを得ないのは、認めざるを得ない現実なのかも知れません。

 とはいえ、先週市場の波乱要因のひとつでもあったリーマン・ブラザーズの先物の建玉残(破綻時で第二位の買建残(15,000枚以上!)がありました)は先週の大幅高の中を淡々と反対売買されたようです。これはひとつの安心材料です。

 また大きな時代の変革を感じているのは、週末に報道されたいすゞ自動車(7202)による米ゼネラル・モーターズ(GM)の商用トラック事業の買収です。かつて、いすゞが経営難に陥った時、同社はGMに支援を仰ぎました。その頃、私はGM本社を投資家として訪問し、同社CFOに直接取材をしたことがあるのですが、CFOは「いすゞは我々の大事な戦略的位置づけにある。同社の開発するディーゼルエンジンに期待している」といった趣旨のコメントをもらったことがあります。その時の認識としては「いすゞはもうGMのディーゼルエンジン部門に過ぎなくなってしまったんだな」という少し寂しい気もするものでした。しかし、時は流れて、今やそのGMの商用トラック部門をテイク・オーバーしようという、正に時代は大きく変革しています。そういえば、マツダ(7261)も、今では苦境に喘ぐフォード(F)の大事な、大事な虎の子になっているんですから。

 ボラティリティからみた大局観については、是非、今朝の緊急レポート「コツンと聞こえたかも知れない」をご参照下さい。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

注)ボラティリティ(volatility)
 一言で言うなら、振幅の強さ。同じ上下に200円の値幅だとしても、ジワジワ上がったり、下がったりする場合と、ドスン、バタンと動く場合とでは当然が違います。前者がボラティリティの低い状況で、後者が高い状況になります。因みに動きの荒い状況を「ボラタイルだなあ」とも言います。

 

PROFILE

大島和隆

楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。

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