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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2008年9月8日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (9/5終値) |
前週末比 (8/29比) | |
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日経平均 | 12,212.23 | -860.64 | -6.58% |
NYダウ | 11,220.96 | -322.59 | -2.79% |
金利・為替 | 週末終値 (9/5終値) |
前週末比 (8/29比) |
---|---|---|
長期金利 | 1.435% | +0.03% |
ドル/円 | 107.51 | |
ユーロ/円 | 153.03 |
先週末(9月5日)は対前週末(8月29日)比で日経平均はマイナス860円(-6.58%)となり、週末の終値の水準は3月19日以来の安値となりました。もとより7月4日の緊急レポート以降、何度もご案内してきた通り、市場全体に対する見方については3月安値をトライする場面は十分にあり得ると思っておりましたので、状況としては想定の範囲内です。
先週世界的に株式市場が下落した主な理由は二つ、ひとつ目はドイツ連邦統計庁が1日発表した7月の小売売上高指数が市場予想以上の落ち込みとなったことなどを背景に、ユーロ圏経済にさらなる低迷の兆候が示され、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏経済のリセッション(景気後退)入り回避に向けて利下げに踏み切るとの観測が広がり、また豪州の利下げなども加わり、世界経済の停滞懸念が市場を席巻したことです。
もうひとつは米国で相次いで発表された経済統計、ISM製造業景況指数やベージュブックが、米国景気が回復の兆しを見せていないことを示唆し、更に雇用統計が予想以上に悪化しているということで市場全体がリスク回避的になったことです。米国の債券ファンド運用最大手の投資責任者が“金融の津波”が来るなどと発言したことも追い打ちを掛けたと思います。ただ週末に米国で発表された雇用統計は市場の予想よりも悪いものでしたが、既にそれらは織り込み済みということで、週末のNYダウはプラスで終わっています。やはり市場で有名な元ストラテジストが底値宣言に近い発言をしたからとも言われており、まあ、そんな程度のものでもあります。
為替についても、ドルが105円台、ユーロが150円台を付ける場面もありましたが、NY株式市場の回復に連れて値を戻し、週末のNY市場の終値はドルが107円半ば、ユーロが153円台となりました。
日本市場では福田首相の突然の辞任で「株安、債券安、円安」のトリプル安になるといううがった論調もありましたが、ある意味残念ながら(我が国の存在感という意味で)、海外の投資家からみるとやはりほとんど材料視されなかったようです。株は上述の理由などグローバル・マクロ要因で売られましたが、日本国債と日本円が売られなかったということが何よりそれを証明しています。私の考えは「首相辞任はポジティブ」と思っています。これは外国人投資家的な見方だったようですが、自民党総裁選に複数の候補が立ち始めたことで、膠着し、何も起きそうになかった政治に多少の動きは始まりましたから。売買代金も尻上がりに膨らみ後半2日間は2兆2千億円、2兆3千億円となり、先週より1兆円は増えています。
<チャートは日経平均の一目均衡表>
週末(9月5日)のNY市場が安値から回復して引けたこともあり、先週の流れのままにズルズル下がるとは思い難いですが、今週は12日が株式先物とオプションの同時SQであることもあり、多少の波乱は覚悟しています。12,000円が見える水準(オプションの行使価格で12,000円がアット・ザ・マネー)になってしまった以上、仕掛け的な売り込みがあってもおかしくありません。新聞報道等でもありますが、CTA(商品投資顧問)など、先物だけで運用する参加者が増えている結果として、指数が振れやすくなっています。先週来、債券先物の変動幅が拡がっているのですが、債券先物の限月交代も10日のため、債券先物と株式先物を組み合わせたポジションからの影響もありそうです。
添付のチャートは日経平均の一目均衡表ですが、テクニカルにはこのまま雲から遠く離れるよりも、一旦は雲に近づく方が可能性は高いと思われます。週末の日足が12,400円台前後に窓を開けているのも戻りの“ネタ”にはなります。
しかし、そんなことよりもファンダメンタルズの材料として、原油や穀物価格の高騰によるインフレ懸念や原材料費の値上げなど、従来はマイナス要因であったものが明らかに改善傾向になってきていることに目を向けるべきだと考えています。またレームダック化が進む米国(日本はもっと悪いかも知れませんが・・)ではありますが、民主党も共和党も党大会を終えて、いよいよ大統領選が本格化します。市場にとって何がマイナスかといえば、新しい材料が出ないことです。その意味では、日本の政治も同様、議論が増えることはよいことです。誰が頼りになりそうで、どいつがボンクラなのか、ここはじっくり見定める時です。
とここまで書いた段階(土曜日(6日)午後)で「米財務省、住宅公社への公的資金注入発表へ」というニュースが発表されました。「そうまでしないとドル暴落が危惧されるような状況にまで事態は悪化しているようだ」と言った悲観的な見方などいろんな見方ができるとは思いますが、私は日本の時がそうであったように、公的資金注入はポジティブな話だと思います。少なくとも昨年来サブプライム・ローン問題が深刻さを増していく過程において「公的資金を金融機関に入れる話になるまではこの問題は収まらない」というのが常識的見解でもあり、またそれが解決策と考えられていましたから。よほどその前提を変えない限り、この話はよい話です。
最後に、最近よく「悲観の中で新しい相場が生れ、楽観の中に相場は終わる」という相場格言を思い出します。経験に照らしても資本市場の現実をよく言い当てていると思います。ならば、私は前者が日本や米国市場の置かれた現状で、後者が新興国市場というのが現状の認識です。
今週も素晴らしい一週間になることを願っています。
楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。
日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
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