(1) ポートフォリオの最適化

国内株式「注文約定-シミュレーション」にて提供(画面上段)している項目『期待収益率』,『最適投資比率』では、『最適化計算』ボタンの押下により、現在保有している銘柄及びシミュレーションにより仮想保有している銘柄の最適化ポートフォリオ(最適投資比率)を計算いたします。

1. ポートフォリオの効果

証券投資を行う際、一つの銘柄にだけ集中して投資を行うより、ポートフォリオへ複数の銘柄を組入れ、投資対象を分散することでリスクの低減効果が期待できます。同一な値動きをしない銘柄を組み合わせることにより、そのポートフォリオの分散(リスク)を減少させることが可能になります。すなわち、上手に証券を組み合わせて保有することにより、ポートフォリオのリスクを減少させることが可能です。この考え方は、「分散投資」と呼ばれています。

2. リスクについて

証券投資を行う際のリスクの一つが『価格が変動するリスク』です。将来の価値が決まっていない証券を購入するわけですから、儲かるか損をするか、現時点では誰にも分かりません。一般に、このリスクを測る尺度として分散(標準偏差)が用いられます。これは、「将来の証券価格分布のバラツキの程度」を意味しています。すなわち、分散が大きいということは、将来の証券価格分布のバラツキが大きいことを意味しており、大きな収益を得られる可能性は高まりますが、逆に大きな損失発生の可能性も高くなります。

分散投資効果の例

下記の3社(銘柄)があったとし、気象庁の長期予報によると、この冬が暖冬,平年並み、厳冬になる確率はそれぞれ三分の一であるという。

A社:スキー用品メーカーであり、収益率に最も大きな影響を与えるのは、冬から春にかけての気象条件である。厳冬で大雪が降れば、スキー用品が大量に売れて株価が上がるが、暖冬になったら赤字必至である。
B社:ビールメーカーであり、A社とは逆に冬は暖かいほど消費が増え収益が上昇する。
C社:アパレルメーカーであり、寒いほど売り上げが増えるが、A社・B社ほど気象の影響は少ない。

銘柄 暖冬 平年並み 厳冬 平均収益率 標準偏差
A社 -4 10 21 9 10.2
B社 9 7 5 7 1.6
C社 6 7 8 7 0.8
確率 1/3 1/3 1/3

これらの投資判断材料より、B社とC社は平均収益率がともに7%であるが、C社の標準偏差はB社の半分のため、C社の方がB社より投資対象として望ましいことが分かります。次に、A社とB社を比較すると、平均収益率ではA社が望ましく、標準偏差ではB社の方が良いため、甲乙つけ難いと思います。それでは、C社が投資対象として良く、A社,B社は投資すべきではないのでしょうか。

そこで、A社に20%,B社に80%ずつ分散投資してみます。そして、この銘柄を合成銘柄D社とします。

暖冬の場合 : 0.2×(-4)+0.8×9=6.4%
平年並の場合 : 0.2×10+0.8×7=7.6%
厳冬の場合 : 0.2×21+0.8×5=8.2%
D社平均収益率 : 6.4×(1/3)+7.6×(1/3)+8.2×(1/3)=7.4%
D社標準偏差 : {(6.4-7.4)2+(7.6-7.4)2+(8.2-7.4)2} /3の平方根=0.75

銘柄 ポートフォリオ 暖冬 平年並み 厳冬 平均収益率 標準偏差
C社 1.0C 6 7 8 7 0.82
D社 0.2A+0.8B 6.4 7.6 8.2 7.4 0.75

上記より、合成銘柄D社は、気象条件がどうであってもC社より平均収益率が高く、標準偏差が小さくなっている。これらより、A社,B社の組み合わせ次第ではC社に完勝し、分散投資の効果が出ていることが分かります。

3. ポートフォリオの最適化について

各証券の投資比率はポートフォリオの『効率性』に影響します。何をもって『効率性』の尺度とすればよいのか、いろいろと考え方はありますが、『期待収益率が同一であればリスクは最小であった方が望ましい』という基準を採用するのが一般的です。この基準に従い、最も"効率的"なポートフォリオを構成するための個別銘柄の最適投資比率を計算します。
したがって、ポートフォリオの最適化では、ポートフォリオに含まれる個別銘柄の『効率的』な投資比率を計算し、この割合で個別銘柄を保有することにより、ポートフォリオのリスクを最小化することが可能です。

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